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日記2020+2/12/1
閣下、研究の成果が出ました
「成功したのか?!」
結論から申し上げさせていただきますと、時間を止める研究は失敗しましたが、不老不死の研究は成功いたしました
「でかしたぞ」
ただ、不老不死になる副作用として体感的な時間経過のスピードが100倍になります
「それでもいい」
左様でございますか、しかし、この技術は希少資源を使用しているなどの要因もあり、何人もの人間に施術することは出来かねます
「私一人を不老不死にすればよいのだ」
しかし、100倍のスピードで時間が進み、閣下以外の人間は、閣下自身の体感で1年以内に皆死にます
「それでもいいのだ」
本当ですか?
「ああ、嘘なものか」
かしこまりました
…………………
岩になったその星で男はただひとり生き続けた
今はもう岩になった星だけが浮いている
岩の地表にはロケットの噴射された痕跡が残っているらしい
…………………
もしも、いつか出逢うべき誰かとすれ違って、そのまま進み続けてしまって、止まりたくても止まれないとしたら、どうする?
…………………
こんにちは
はじめまして
さようなら
……………………
ロケットはその後方に青い線を引いて遠くへ遠くへと去っていく
男の名前は男自身も忘れてしまった
出逢うべき誰かはまだどこかにいると信じて、ロケットは青い線を引き、暗く水と重力のない海の中を潜り続ける
……………………
寝る
おやすみなさい