いい歯のために～親知らず編～
親知らずの痛みに苦しんだ事がない。
親知らずとは本当に抜くべき物なのか？てかなんで20過ぎてから生えてくるの？エロなの？多い人だと一日四本ヌクんだって。やっぱりエロなの？
エロでよいこととして、では何故物心ついた時から筋金入りのエロ、筋金ちゃんだった私に痛みを伴う親知らずが生えてこなかったのか？ということを考えると、「親知りの御加護」とでも言おうか私が「歯だけは大切にしなさい」という母の教えを徹頭徹尾守って生きてきたからではないか、と私は思う。歯だけは大切に、
#投歯
というやつだ。
好奇心が向く物こそ学び、人の信仰に文句付けてこなかった様に、基本的人権レベルの”あたりまえ”みたいな所に”いい歯のために”の絶対はいつもいて、命を奪われそうになればなにがなんでも生存の権利を主張する様に、おやつを食べたらなにがなんでも歯磨きをして、”ぐらぐら”が始まったのなら歯医者に行って抜いて貰って、それらが侵害されるようなら「はて？」「すんっ」どころではなくてフッツーにめっちゃキレていた。
母娘物のコンプレックスを見て”男”の私が「共感できる」というのもおこがましいのかもしれないが、「これって私でいうアレだよな」と思うのが、料理や裁縫、歌や踊り、見た目や所作ではなくて、…真っ白はトゥーマッチで…近藤はマッチで…健康的でいい感じに白い真直ぐに揃った”いい歯”なのだと思う。母の教えは絶対だった。
ちなみに↑の様にトゥーマッチ、マッチ、まっつぐ、と母音や子音をいい感じで揃える試みを韻：ライムを意識した文章といい、人に気色良い体験を与える事があるので多少「なんのはなしですか？」と脱線した文章表現になろうとも、これは私の遊び心である。
そんな私は定期健診の御知らせが届けば、歯医者さんに出向いて先生に虫歯チャックをして貰ってフッ素を塗って貰ってきた。”フロス”担当が御姉さんの時は歯間がいつもよりきつくなる気がしたものだ。
実際に歯と歯がギュギュっと寄ったのか？成長期に起こり得る事なのか？というとそんな事は全然なくて、これは「口に御姉さんの手を突っ込まれる」という事を思春して緊張している内心を比喩的に表現している。というのも、比喩的表現が通じあった時、「どうにも文学的なことを体験したぞ」といった具合に人は気色良くなるものだ。これも私の遊び心である。
「C3オッケーPOオッケーR2D2オッケー」
みたいな虫歯チャックが終わると毎回褒められたし、…遺伝による「やすい」「にくい」があるとも聞くが…私の”オトナの歯”は一本も虫歯に蝕まれていない。
↑日本語にはダジャレという言葉遊びがあり、同じ音で意味の違う事を立て続けると、「あれ、なんだか愉快だな」と人は気色良くなる事がある。これも私の遊び心である。
何故ここまで読者の皆様を気色良くさせようと努めてきたかと言うと、今日私はこれからいつにも増して自己中心的な語り方を取って、実に気色悪い話をさせて頂くからだ。
私は大怪我を負って、右下半分、中央から奥歯までを全部横に倒した。「それはショックだね」「咀嚼できんの？」ショックです。出来ません。ではどうしたか？フッツーにめっちゃ手術した。プレートで割れた顎をくっつけて倒れた歯を針金で強制してレクター博士みたいなマスクで固められて鼻から胃まで栄養を流した。
要するに、物心ついて以来大切にしてきた”いい歯”の整列は26歳にしてガッタガタになった。「歯だけは大切にしなさい」というそれだけの母の教えすらも守れなかったのだ。
ICUで目を覚まし、手鏡に写るそれへの感想は「はて？」であり、「すんっ」であった。
私の投歯 は歯ァ～っと破綻した。いい歯の為に二十年以上毎食気を使って生きてきて、一瞬でなくなって、いい歯なんてなくても生きていけるんですよ、本当のあなたの人生へようこそ、って感じだった。
治療が終わった頃には筋肉が衰えていて、何を噛んでも岩の様に硬かった。60gの焼き鮭を食べきるのに30分かかった。
よくグルメ番組で「歯がいらないです～」「顎使ってない！」などと言うが、あんなもんはウソだと分かった。
歯がなくなっても、顎が使えなくなっても人は鼻から栄養を送って生きていける。「歯だけは大切にしなさい」そんな事は全然なくて、それこそ他の物事に”投資”していたら、もっと豊かな大人になれていたのかもしれない。
そんな気付きから数年、針金もレクター博士のマスクも取れて歯並びも良し、鮭だって60gどころか熊かって勢いで一匹丸ごと食べれる気さえし、ふるさと納税の返礼で冷蔵庫を一杯一杯にし、フッツーに連日焼き魚をバクバク食っている。旨い旨いと。
そんな最近の晩飯で「嬉しい」と彼女の声が聞こえて、見上げると、鳩尾がここまで焼き魚を楽しめる日が来てよかった。みたいな事を言った。この「おいしい」ひとときを共有できる事が嬉しいらしいのだ。
嬉しくて、おいしかった。ちっちゃいアジ開いたやつを30分かけて食べた。なぜわざわざ30分もかけて食べたのか？そんな注釈を書く必要もないだろう。気色良かった。
歯や顎がなくては、そう簡単に咀嚼出来ないし、どれだけのホスピタリティでどれだけ旨い物を食べても、全く気色良くない。私の場合はこの歯を失ってから取り戻す事が出来て本当によかったが、この世界には「失ってからでは遅い」事ばかりだ。
あって当たり前、いつの日かパァ〜っと消えて無くなってしまうかもしれない。他の事に投資した方がためになるのかもしれない。でも一本一本に愛を以ているからこそ出会える気色良い体験が沢山ある。いい歯がなければできないのだ。だからいい歯の為に気を遣って生きた方がいい。気色良い日常の為に頑張った方がいい。
と、いい感じにまとめた所で私は今更気付いた。
「いい歯のために」応募期間終わってんだってさー
ダガ歯科シ！私はそんな物分かり良くないし読んでほしいし、何よりも自分が気色良くなりたいし、
書き切れてない注釈まだまだあるし。思い出し振り返ればその昔無縁だったな親知らず抜歯。この歳でまだ親泣かし笑止。してねーのに疑われる浮気、てかこのサラリーじゃインスタでギャルばばッと摂取。巷に猖獗大手の搾取。人知れずマダムが窓際でキッシュ、横目に帰れば焼き魚臭強烈。もうねーのか？行列に並んでたあの頃の情熱。もっとね、欲しいよね世帯年収。まだ落ち着くの早くね？なんて言っちゃ元も子もねー。そんな「どう」も「こう」も全部呑み込んで、「おいしい」して食後に一緒にシュシュッと吹くリセッシュ。
遊び心を爆発させると自分自身が気色良くなるのだが、夢中になりすぎると誰が為？提出期限まで忘れてしまう事があるので気を付けた方がいい。こんな無骨な何かが溢れて出てきた時、あなたはそれを抜くべきなのか、はたまた自分のスタイルだと貫くべきなのか、そんなちょっと比喩的な問題提起をしてみれば、皆様それぞれに答えが出たのではないだろうか。
あ、親知らず生えてきました🤗
これは遅れて生えてきた私の「親知らず」ということで…全然エロじゃなかった笑…。コンテストに間に合わなかった事に少しでも意味を持たせたくて、このタグを付けさせて下さい。コニシさん、年内最後の回収お願い致します。