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10代で手に入らなかったものに、人は一生かけて固執する

所属しているコミュニティで何かイベントがあると、すぐ実行委員に手を挙げるタイプである。先日も学びの場で「逗子葉山で同窓会をしよう」という声が上がり、数名の仲間と会場候補をいくつか下見しに行った。

下見を終え、海の見えるカフェでランチ。ふと仲間の一人に「ひとみちゃんは幹事とか実行委員やるのが好きなんだね、なんでなの?」と聞かれ、ふと考える。そりゃお祭りは楽しいから・・と思うが、思いついたのは学生時代。

自分がいた中学・高校はイベントが盛んだった。中でも5月の体育祭と9月の文化祭は二大ビッグイベント。実はずっとそのどちらかの実行委員になってみたかったのだ。でも当時はいじめにあってたり「私にできっこない」と正常な思考ではなかったせいか、興味がないふりをし続けていた。

人は禁じていたものを解禁すると、その対象にのめり込んでしまうことがある。

自分は子どもの頃、フライドポテトが大好きだった。でも子どもの頃、祖母が健康に悪いと家ではポテト禁止。たまに母と二人、近所の遊園地(サンリオピューロランド)に行った時、お昼に思い切り食べたものだ。

当時ピューロランドには館のレストランというブッフェがあって、そこで私はポテトを山盛り、焼きそばとグラタンをちょっとだけ盛って食べるのが定番だった。母は「せっかくバイキングに来てるんだから、ローストビーフとかも食べればいいのに・・」と嘆いていたが、自分は普段あまり食べられないポテトを山ほど食べられて幸せだった。
実行委員と違ってポテトはピューロランドでのお楽しみがあったせいだろうか、大人になるにつれてポテト欲は小さくなっていった。

また去年、持病の子宮筋腫に対して「甘いものは一切やめてください」と当時通っていた整体の先生に言われ、砂糖断ちしていたことがある。

結局手術することになり3ヶ月ぶりに甘いものを解禁して、久しぶりにバームクーヘンをパクッと食べてみたところ、その甘さに衝撃を受けた。ずっと食べてないせいもあったのか、味蕾を突き刺すような刺激の甘さであった。甘さ控えめの焼き菓子なのに、海外のあま~いお菓子を初めて食べたような気持ちに。

私は甘いものに慣れ親しんでいたから、まだ「ああはいはい、久しぶりに食べると美味しいよね」と感じるが、もし甘いものを一切禁止されて20歳くらいになったとき初めて食べたら、その美味しさの衝撃はかくや、などと思った。そのまま甘いものが止められなくなってしまうのも、無理はない。

人は10代のうちに喉から手が出るほど欲しかったのに手に入れることができなかったものに、一生かけて固執すると言われている。
知人はお母さんが厳しく、子どもの頃ゲームというゲームを一切させてもらえなかったせいか、大学進学で家を出た時、ゲームの楽しさにのめり込み、その後しばらく中毒になってしまったと聞いた。

自分の場合「お祭りの輪の中心に入ってみたい」という学生時代に叶えられなかった夢を、35歳になった今も叶えようとしているのかもしていれない。そんなことを葉山の海を見ながら思い出したりした。










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小澤仁美
最後までお読みくださり、ありがとうございます。書き続けます。