見出し画像

塩対応ミニーマウスに、人生を肯定された気がした

人は5歳までに最も強く感じた痛みを、もう二度と感じることのないようにと回避する生き物らしい。

メンタルモデルで有名な由佐由美子さんは、子どもの頃お母さまが入院されたときに「私は独りぼっちになってしまった」という痛みを経験し、それ以来「いつ誰に見捨てられても大丈夫なように」と勉強や仕事に必死で打ち込んだそうだ。

自分はというと、仲のよくない家族の中で育ったせいか「自分はいてもいなくても同じ」という痛みがある。

両親も同居する祖母もとても気が強い人たちで、よく家の中に怒鳴り声が響いていた。子どもそっちのけで罵り合う家族を見て「誰も私を見てくれない」という思い込みが形成されたように思う。

特に母と祖母を見て「もっと空気を読んでよ、どうしてお父さんを怒らせるようなことばかり言うのよ」と強く思っていた。

次第に私は「気が強い女性は愚かな存在」と思うようになっていった。

男性なんてうまくおだてておけばいい。庇護下にするりと入っておくのが賢い女性のやることだ。そう信じて得したこともあったが、なぜかこれまでお付き合いした男性は、私を大切にしてはくれなかった。
心のどこかで男性全体をバカにしていたから、鏡の法則で自分に返ってきたのだろう。

さまざまな学びを経験してもなお、気の強い女性が苦手だ。自分の最も強い痛み「お前なんか、いてもいなくても同じ」を想起させる存在だった。

しかしつい最近「この気の強い女の子、かわいい!」と思うような出会いがあった。
それが先日Twitterでバズっていた、こちらの動画のミニーマウスである。(音量注意)

ディズニーランドやシーには、ミッキーやミニー・ドナルドやデイジーなど人気キャラと写真を撮ったり、ジェスチャーでおしゃべりできる場所がある。
私などはディズニーに行くとアトラクションを中心に回るが、こうしたキャラクターグリーディングを中心に回る人も多くいるらしい。

動画をご覧になっていただければわかるが、このミニーはかなり強気だ。
デイジーのキーホルダーをたくさん付けている男性ゲストを見るなり「帰れ」と出口の方を示すジェスチャーをするなど、クレームになるギリギリのラインを攻めている。

もちろん中の人も通常は可愛らしいミニーを演じているのだろう。しかしゲストを見て一瞬で「この人はいじられたいタイプの人だ」と判断し、塩対応をしているのがさすがである。

「デイジーに2回会いに行ったんだ」というゲストに対し「じゃあ私のところには3回来なさいっ!」と言ったり、時計を指さして「私は忙しいのよ、私を撮るなら早く撮りなさ~い!」と強気なジェスチャーをしてから完璧なポージングをしたりと、なんというかこのミニー、すごく自信にあふれている。

ミニーちゃんと言えばミッキーの横でかわいらしい仕草をしたり、みんなの憧れの女の子というイメージだった。でもこのミニーちゃん、自信満々でとっても気が強い。ミッキーの隣で大人しく微笑んでるミニーちゃんなんかより、とってもとっても魅力的だ。

今までも宝塚の娘役さんが舞台で輝いているのを見るのが好きだった。特にトップ娘役があの広い舞台を一人で掌握しているのを見ると、なぜか涙が出てしまうくらい、心のどこかで安心するものがあった。

輝いている女性に強い憧れを持つ私はきっと、本当は気が強い女性なのだと思う。ミニーちゃんや娘役さんのように、自分の光に自覚的で、それでいて誰も置いてけぼりにしない人になりたいのかもしれない。

スマホの中で力強く振る舞う赤いサマードレスを着たミニーちゃんに、なぜだか自分を強く肯定された気がした。








今日もお疲れ様でございました。
こちらのエッセイもぜひご覧くださいませ。

文章講座は、8月まで早割実施中。

入門編、まだお席ございます。
7月25日(木)・27日(日)、8月22日(木)・24日(土)



むしむししますなあ・・
明日も適当にしっかり、酸っぱいもの多めで参りましょう〜

いいなと思ったら応援しよう!

小澤仁美
最後までお読みくださり、ありがとうございます。書き続けます。

この記事が参加している募集