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激辛食品に命をつないでもらっていた20代

年末年始に働いていたデパ地下のお店では、ピリ辛と激辛の2種類の麻婆豆腐が売られていた。よく聞かれたのが「激辛ってどれくらい辛いの?」という問いである。

「これって辛いの?」という質問の答えは中々難しい。辛さの基準は人によって異なる。インドカレーを食べに行って、店員さんのいう「コレ、アマリ辛クナイヨ」を信じて注文したら飛び上がるほど辛かった経験からすると、あまり軽々しく自分の感想を述べないほうがいいのかもしれない。

ちなみに学生時代アルバイトしていたケンタッキーでは真夏、たまに真冬もレッドホットチキンという辛口チキンを売っていた。

その際「これってどれくらい辛いの?」とお客さんに聞かれた時は「辛いものが苦手な方、そしてお子様にはおすすめしておりません」というマニュアルを答えるよう決まっていた。むむ、なんと無難な回答であろうか。特に「子どもにはおすすめできない」というコメントがなんだかイメージが湧きやすくってわかりやすい気がする。年末のバイトで麻婆豆腐の辛さを聞かれた時も、この答えを利用させてもらっていた。

20代の頃は今と比べ物にないほど激辛の食べ物が好きだった。好きというより中毒だったかもしれない。そばうどんには七味を山ほどかけ、たまの休みは辛ラーメンという韓国の真っ赤な激辛ラーメンを食べるのが何より楽しみだった。

睡眠時間もろくに取らず働き続ける人の動画チャンネル、いわゆる社畜youtubeというのを見ると、激辛食品を食べている人が多い。最近では激辛ではないけど「爆食い気絶」といって意識を失うまで食事を続ける人なんかも見かける。

自分も生きることが苦しかった20代、目に入ったら失明レベルの激辛食品をむさぼるように食べ、高いアルコール度数のお酒で飲み込んでいた。今はアルコール離れがどんどん進んでいるが、当時はちょうどストロング系のお酒がものすごく流行っていた。そういえばあの頃、缶ゴミの日は氷結ストロング9パーセントのロング缶を無心で潰していたけど、今思うとゾッとする。

たぶん病院に行ったらなんらかの名前がついていたと思うが、当時の自分は社会に適応することが生きることだと思い込んでいて、でもそれではつらすぎて辛いものを食べることでなんとか生のバランスを取ろうとしていたのかもしれない。

だんだん心のことを学ぶようになり、生きることも少しずつ楽になっていった。自然と激辛食品は食べなくなるようになっていった。先日久しぶりに激辛ラーメンを食べてみたらお腹を壊してしまった。ピリ辛は大好きだけど、もう激辛はいらない感じがある。

甘いものや小麦の食品など、やめられないものはまだいくつもある。でも無理にやめるでなく、依存の奥にある自分からのメッセージを、これからはしっかり聞いてあげたいと願う。







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先日の文学フリマ、無事に終了しました。いろいろ思うところあり、振り返り記事は明日記事にしますね。いつもありがとうございます。


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小澤仁美
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