月1で通ってる、本と出会うための本屋さんについて
ブックカフェにはまっている。きっかけは今年の4月、友人と一緒に京都の「鈍考」という私設図書館に行ったことだ。
90分という時間制で、美味しいコーヒーを片手に選び抜かれた本を読むという経験が至福だった。絵本や漫画もあるが、基本的には哲学や心理といった「よりよく生きる」ための本が多く、隅々まで亭主の神経が行き届いた美しい茶室に訪れたような感覚になった。関西に行ったらまたぜひ行きたいところ。
その後、また別の友人と渋谷にある「本の森」というブックカフェに行った。
シャーリーテンプルという不思議な甘いドリンクをお供に、選ばれた本の森の中で3時間歩く時間はやはり幸せの極みだった。
置いてある本は硬派なものも多いが、基本的には読みやすく若い柔軟な感性の方が好きそうな本が多い印象。
一緒に行った友人と「週に1回こういう内なる自分を喜ばせる体験をしてたら、人生変わるだろうね」と話して盛り上がったりした。
そして先日訪れた、六本木の「文喫」。
すっかり好きになってしまって、週に1回は無理でも月に1回は必ず行くことにした。鈍考とも本の森とも違う。うまく言えないがここに来ると海の中で自由に泳いでいるような感覚になる。(珈琲・煎茶が飲み放題)
ブックカフェは店長がこだわりにこだわって選んだ本たちの集まりだ。書店では売れる本が目立つ位置にあるが、ブックカフェは店長が「純粋に読んでほしい」と願った本たちが並ばれている。
たとえば作家の大原扁理さんの作品。
この人は「自分を犠牲にして働いてお金を稼ぐことに良しとしない」がテーマの本をたくさん出しているが、もし駅前のイケイケ書店であったら「年収90万で東京ハッピーライフ」を書棚の目立つ場所に置くだろう。
しかし文喫に置いてあるのは「なるべく働きたくない人のためのお金の話(弱い私たちの、生存戦略)」とある。売れるであろう「ハッピーライフ」ではなく、あえて「弱い私たちの、生存戦略」の本を選んで書棚に置くセンスが、うまく言えないが自分とウマが合ってるような気がした。
この辺りで読者の方には「図書館じゃだめなの?」という疑問が浮かんでいるかもしれない。
図書館ももちろん大好きだ。でも本の量が膨大すぎて、いつも読む作家さんのところ以外はあまり読まないことが多い。それに無料で何時間でもいて読めるため「また来ればいいか」となり、あまりうまく活用できていない。
ブックカフェはほとんどが有料で時間制だ。何時までいくらと縛りを設けた上で入場すると「せっかく来たのだから時間を有効に使おう」という意識になり、色んな本を読もうとすることに私はなりやすい。
人は真っ白い大きい紙を渡されて「これに自由にアイディアを書いてください」と言われても、たいていの人は何も書けない。しかし小さい枠を作って「この枠を埋めるようにアイディアを書いてください」というとたいていの人がたくさんアイディアを書くという実験結果がある。
また以前、知人があるシステム会社で研修をした際、企業から「研修のアンケート用紙の解答欄は小さめで」と言われたそうだ。人はぽっかり空いているところを埋めたくなる性質を生かしているようだ。
図書館に行ってあまり開拓できない私のように、自由というのもあまり大きすぎると活用が難しい。1,650円で2時間楽しむなど縛りがある方が、自分は楽しめるみたいだ。
ブックカフェは一人で行っても楽しいが、誰かと行くと対話が出来てなお楽しい。いつかもっと読者様が増えたら文喫貸切ツアーをやっても楽しいかも。。と珍しく野心に燃える筆者であった。
今日もお疲れ様でした。こちらのエッセイもぜひご覧ください。
書くのではなく、伝える。
文章教室、10月からスタートします。
入門編は毎月開催中。次回は7月27日(土)10時〜です。
今週もお疲れ様でした。
週末お仕事の方も、お休みの方も、素敵な時間をお過ごしください。