【PS4 フォールン・オーダー レビュー】20年の時を経て出会えた憧れのライトセーバー(2020/05/13 追記)
ライトセーバー。なんと耽美な響きだろう。
媒体によっては"ライトセイバー"だったり、"ライトサーベル"や"電光剣"なんてのもあったらしいが、やはり個人的には"ライトセーバー"である。
私が初めてその存在に触れたのは、親が所有していた旧三部作の録画VHSだったと記憶している。
今からすればやや荒削りな合成技術で描かれた光の残像は、SFに魅力を感じはじめた保育園児にとってはあまりに鮮烈な体験だった。
そして多くの人々が思ったであろうように、私も強く思ったのだ。
「ジェダイになりたい」
と
と、ライトセーバーのことだけでも記事が書けちゃいそうだが、今回の趣旨はゲームの紹介である。
今回はいまや無数に存在するSTAR WARS原作のゲーム作品の一つ
『STAR WARS ジェダイ:フォールン・オーダー』
があまりに私の心に残ったので、紹介していこうと思う。
【前置き】
・露骨なネタバレは避けるけど、フラットな状態で楽しみたい人にまでは配慮しきれないので自己責任でお願いします。
・肯定寄りの文ではあるけれど難点も多く、純粋に本作への期待が高い人にとってはそれを削ぐことになる可能性も高いので注意。
・便宜上Ep4~6は"旧三部作"、Ep1~3は"新三部作"、Ep7~9は"続三部作"と表現する。
・筆者はSW好きだけどマニアってほどでもなく、特に好きなのは新三部作で続三部作もまあまあ楽しんでいる。加えてクローン・ウォーズ等のアニメ作品はほぼ履修していない。(反乱者たちをちょっと程度)
・推しCPは TIE/ln制宙スターファイター × T-65B Xウイング・スターファイター(リバーシブル)(TIE/saボマーは受け専)
・遊んだ環境はPS4(非Pro)
00.どんなゲームなのよ
「STAR WARS ジェダイ:フォールン・オーダー」は2019年11月15日に発売された一人用のビデオゲーム。
開発は「タイタンフォール」や「APEX」などでお馴染みのRespawn。
プラットフォームはPlayStation 4(Pro対応)、Xbox One、Windows(Origin / Steam / Epic Games Launcher)。
マスターから授かったライトセーバーを携えたジェダイ、カル・ケスティスを操作して様々な惑星を探索していくソウルライクなアクションADVだ。
ルーカスフィルムによる監修を受けた正史に分類される作品でもある。
"ライトセーバーを駆使するソウルライク"。私はこの僅かな情報とセーバーでブラスターを弾くプレイ画面を見たことで購入を強く決意した。
結果としてその判断は正しかったと胸を張って言えるだろう。
では具体的にどんな感じだったのか各項目に分けて書いていこうと思う。
01.難易度:ソウルライク入門向け?
○:バランスは概ね良好
○:難易度の種類が豊富で、変え放題
△:難易度による実績や特典はない
△:基本的に難易度は高め。ソウル常連な人でもOK
△:探索はやや厳しめ。好きな人にはGOOD
△:事故のような"初見殺し"
X:やりこみ要素はうすあじ(2020/05/10:無料アプデにて改善)
ソウルライクと言われるだけあって難易度は高めだ。
高難易度だと一瞬で5割以上削られるどころか即死するなんてことは珍しくなく、非常に緊張感のある戦いを強いられる。
しかし本作は難易度が4段階用意されており、最低難易度に至ってはストーリーを楽しみたい人向けを謳う非常に易しい調整になっている。
反面、最高難易度のジェダイ・グランド・マスターはソウルシリーズやSEKIROをやり込んだ人でもなければクリアは厳しいだろうというシビアなバランスだ。
私はそれより一つ下のジェダイ・マスター(HARD相当)で初見プレイを終えたが、中盤辺りまでは切迫した戦いが続き、終盤はステータス強化や慣れもあり無双気味になるといった具合だった。
ソウルに比べるとやや簡単かなぐらいの印象で、ストーリーとゲームプレイを同時に楽しむ「パダワンなりきり」としては絶妙な難易度だと感じた。
各難易度はコメントだけでなく、具体的にどんな違いがあるのかもゲージで大まかに表示されるためわかりやすい。地味に嬉しいポイントだ。
全体的なバランス調整は概ね良好。たまにえぇ~と感じることもあったが、いずれにしても体験を大きく損なうような致命的な部分は見られなかった。
逆に言えば難易度変更以外の目立った救済処置はほぼ無いと言っていい。難所ではプレイスキルやステータスを地道に上げるか、諦めて難易度を下げるかの2択になる。(そういうゲームなので後者はよほどじゃなければオススメしないが…)
難易度は実績やクリア特典等に影響することはなくいつでも変更可能なので、常に自分に合った難易度で遊べる。自分のスキルやスタイルと相談して最適な難易度をぼう。
個人的にはジェダイ・マスター以上で頑張ると本作の楽しさがひときわ感じられると思う。参考までに。
ちなみに私はソウルシリーズはデモンズとBloodborneも含めて全作一周は遊んでいる程度だ。ブラボだけはまだラスボスを倒せていないが……。
先の各種ゲージを見て気づいた方もいるかもしれないが、実は難易度に関わらず敵の耐久力は一定という珍しい仕様になっている。これがよく難易度を上げたほうが楽しいとオススメされる理由なのかもしれない。
もう一つの醍醐味である探索は苦手な人には少し大変かもしれない。オープンワールドではないがそれなりに広いシームレスなマップをくまなく歩きまわるので、ある程度地形を覚えないとスムーズに進めるのは困難を極めることだろう。
ミニマップは無く、立体マップなら随時確認できるがあくまで地形を思い出すための補助程度だと思った方がいいだろう。
とはいえ、ストーリーを進めるだけならば大した事はない。随所に謎解きのように道を探しだす仕掛けがあるが、手に入れた能力や不自然に配置されたオブジェクトを活用することを考えれば自然と解ける。
一方で慣れているプレイヤーにとってはそのある種の親切さがやや露骨に目について不自然に感じる可能性もある。これもある意味で入門向けと言える塩梅なのかもしれない。細かい収集要素やマップ踏破率も埋めようと思えばそれなりに時間をかけられるのでお好みで。
登れる崖に取り付くために接触してから追加でボタン入力が必要など若干操作にも癖がある。自由度のための仕様なので慣れてさえしまえばそこまで理不尽には感じないが。
探索はストーリーの進行とは別にある程度寄り道ができる。それ故にまだ歯が立たない強モブやエリアにうっかり近づいて蹂躙される、所謂"初見殺し"のようなことも平然と起こる。それこそソウルシリーズ等ではお馴染みのご愛嬌な要素だが、慣れていないと面食らうかもしれない。
本編を遊びきった人向けのやりこみ要素のたぐいは不足している。先述のように難易度による特典などが存在しない上、クリア後の裏ボスのようないわゆる高難易度コンテンツは全く無い訳ではないがほとんどオマケ以下なため、コアなゲーマーには物足りなく感じるだろう。
周回要素も存在しないのは最近のゲームにしては珍しい。収集要素としては回復数や各種ゲージ上限アップの他、敵のスキャン、アーカイブ、主人公の衣装とBD-1及び船のカラーリング、ライトセーバーのカスタマイズパーツがマップの各所に配置されているが、それくらいである。
DLCの予定はないと明言されているため、なまじ遊びごたえがあるだけに非常に惜しいところだ。
2020/05/13 追記:
なんと公式よりサプライズアップデートのリリースノートが出た。内容は実質上の無料DLCとも言えるもので、各種バグ修正と操作性等々の改善に加えて新ゲームモードを含む要素の追加が行われた。
追加されたゲームモードは、
・一部要素を引き継いで新しくゲームを始める『新しい旅+』
・『新しい旅+』でのみ行える『瞑想トレーニング』内の2モード。
・そのうちの一つ『戦闘チャレンジ』は各惑星ごとに用意されたチャレンジをこなしていくモード。最終盤のステータスを前提に作られた高難易度チャレンジでクリア特典はスキン。回復不使用などの条件をクリアすることでさらに追加の特典が得られる。
・もう一つの『バトルグリッド』は自由に戦闘シーンを作って楽しめるサンドボックスモード。イベント限定の特殊モブも配置可能。
これによりやりこみ要素の不足はほぼ解消されたと言っていいだろう。まさに公式の言う通りのサプライズアップデートだった。マジで驚いた。
先述したやや癖のある操作も設定でシンプルなものに切り替えられるようになった。いたれりつくせりである。
他にも追加要素はあるがそれは当該の項にて追記する。
02.ライトセーバー:ロマンの体現
○:ライトセーバー好きも納得のクオリティ
○:豊富なカスタマイズ
○:こだわり抜かれたエフェクトとアクション
△:原作のような必殺性能ではない
X:赤セーバーのような亜種までは作れない(2020/05/10:一部改善)
X:セーバーの「型」は選べない
本作の目玉はなんと言ってもやはりライトセーバーである。
私がセーバー好きなのもあるが、とにかくセーバー周りのこだわりは目をみはるものがある。
まずはこちらを見ていただきたい。
これは□ボタン(通常攻撃)を3回押しただけの基本コンボだ。
おわかりいただけただろうか。ジェダイ:フォールン・オーダーがいかに私の心に響いたかを。
わからん? そう…では詳しくお話ししよう。
ファンの方ならピンとくるかもしれないが、このゲームのセーバーアクションはどちらかというと新三部作に近い。旧三部作と新三部作ではアクションの作りがやや異なることは周知の事実だろう。
旧三部作の古き良き"殺陣"風味も絶品なのだが、子供心にはアクロバティックな新三部作もかなり強烈に映るだろう。というより、そもそも旧三部作はセーバーアクション自体が控えめである。
そして私もその新三部作のアクションに魅せられた少年の一人なのだ。
オープニングで初めてセーバーを振るった瞬間、20代半ばの私の精神は一気に少年に引き戻されたのである。最高の瞬間だった。
しかし完全に新三部作テイストというわけでもなく、舞踊のようにも扱われる新三部作以降のセーバー術と比べるとやや動きが泥臭く、新三部作の軽やかさと旧三部作の堅実さを両立したアクションと言える。続三部作風味とも言えるかもしれない。
スタイリッシュながらリアルで重量感のあるビジュアルと操作感は映画をそのまま遊ぶかのような至高の体験だ。これもひとえにマシンパワーとそれに伴う技術の進化のおかげだろう。喜びしか無い。
キルムーブ(一部の敵にトドメを刺す際に挟まる演出)なんて発動する度に絶頂しそうになる。した。
実際のプレイ中には方向に合わせてガードの姿勢が変わったり、とにかく細かいこだわりを列挙するとキリがない。
またガード中に受けたブラスター攻撃はガードゲージが続く限り自動で弾いてくれるが、このモーションがまたかっこいいのだ。慣れた動きでブラスターの弾を軽々と逸らしていく様はまさにジェダイ体験にふさわしい爽快感がある。
地味なところだがコントローラーの振動もかなり作りこまれていて、スプリントしはじめの重い踏み込みに合わせて振動したり、特に障害にもならない僅かな段差などの地形にも反応したりなど、リアルなビジュアルにふさわしい非常に細やかなフィードバックが没入感を加速させる。
一部の敵は切断表現に対応している。
(微グロ注意)
この断面が赤熱しているところがまたセーバーを振るう喜びをくすぐる。
暗黒面まっしぐらな感情である。
こんな表現ができるのもひとえにマシンパワーと最新技術のおかげだろう。(2度目)
ただしゲームバランスもあって基本的に一撃必殺の威力はない。ジェダイ無双ができるのはせいぜい一般トルーパーと小型生物ぐらいだ。詳しくは戦闘の項で。
まぁ、映画でも斬られながらなんだかんだ生存みたいなケースは結構多いが…。(セーバーの性質上当たった部分は焼かれて止血されるため意外と致死性は低いとされることもある)
セーバーを光源にできる箇所もある。映画などでは割と馴染みのある使い方で、ゲームでもこういう本来の用途とは違う使い方ができるのは実際にその世界にいるような気分になれてとても良い。とても良い。
オマケに戦闘中に意味もなくセーバーを回したりもできる。徹底しすぎている。
さて、ライトセーバーに欠かせない要素はたくさんあるが、特に欠かせないのは音と光の演出である。ブレードの色と発光、振るったときの独特の残像、ヴゥン…と空を切る音、ヒット時のスパーク音と火花、起動・収納音……
ここまで並べた動画やスクリーンショットを見てもらえば察していただけると思うが、そのあらゆる点において本作は非常に高いレベルで再現している。強いて欠点を挙げるなら壁などの非破壊オブジェクトを斬った時のエフェクトがちょっとあっさりしているぐらいだ。
これが実現できたのもひとえにマシンパワーと(3度目)
そんなセーバーに対するこだわりがさらに感じられる要素の一つにカスタマイズがある。これはライトセーバーの見た目を自由に組み替えられる機能で、ブレードの色を含めた5箇所を弄れる。性能に変化はない。
うまく組み合わせればどこかで見たお馴染みの形状にすることもできる。
ブレード以外のパーツはエリアを探索することで見つけられる。探索要素の最大のモチベーションと言えるだろう。
組み合わせは
ブレード8種 x エミッター10種 x スイッチ16種 x スリーブ16種 x 素材24種
からなる。単純計算で実に49万1520通りの組み合わせが可能なのだ。
さらに初回特典ではブレード1色と各パーツ2種ずつが追加される上に、最終的な組み合わせのパターンももっと増える。
「素材」という箇所が気になった方もいるだろう。その名の通りセーバー本体の材質を変更できるのだが、これがまた色合いだけでなく質感まで様々で選びがいがすごい。ここが一番個性を出せる部分だろう。種類も多いし。
例としてこれはジュラススチールという素材だ。デフォルトの合金に近い色合いだがより白く、そしてマットな質感になっている。上のスクリーンショットと比べると、照明は違うが光沢がまるで異なることがよく分かるはずだ。
そして音。振るった時や当たった時の音はもちろん起動時の音も印象深い大事な要素だが、なんと8色(+初回特典1色)あるブレードすべての音が違うという嬉しい仕様があるのだ。
比較動画
た、たまんねぇ~~~~
僕は緑の音が一番好きです。
ちなみに色はDUALSHOCK 4のLED部分と連動する。なりきり風味。
なおブレードの色は最初は青と緑(+初回特典1色)しか選べない。ストーリーの進行で解禁される形になる。頑張ろう。
ついでにイベント等で登場する尋問官の赤セーバーの音も最高なのだが、流石に赤はカスタマイズ不可である。当然といえば当然だけどちょっと残念。
アタックが強く悲鳴のような甲高い音が混ざる赤セーバーの起動音がとても好きなのだ。緑セーバーも似た音がする。すき。
TIEの飛行音やAT-ATのレーザー砲の発射音も同じような理由で気に入っている。SWを象徴する効果音と言っても過言ではない。
2020/05/13 追記:
無料アプデにて赤セーバーが作れるようになった。新モードの『新しい旅+』限定だが新しく赤色のブレードが追加され、またセーバーのパーツも新たに各2種増えている。
もはや言うことはない。強いて言うならありがとうRespawn。
セーバー本体はこのように色々カスタマイズできる一方で、残念と言うほどではないが確かにあったらおもしろかったと共感した意見がある。
"型"の選択だ。
スターウォーズの世界におけるライトセーバーの扱いには、ソレスやシエンなどと呼ばれる様々な状況を想定した"型"がある。
大半の設定はレジェンズ(事実上のパラレル)に分類されてしまったが…。
型には大きく分けて第七の型まで存在し、防御に長けた型、対セーバー戦を想定した型、空間を広く使うアクロバティックな型などゲーム的にも差別化ができそうなスタイルが揃っている。
ゲーム中のモーションが非常によく出来ておりまた戦闘もやりごたえのある良質な完成度であるため、そういう遊びの幅があったらより楽しかっただろうという意見が出るのもうなずける。
実際のカルの型はその経緯もあってか我流のようで、アクションによって様々な型の動きが垣間見えるような形になっている。
結果的に第六の型=ニマンが最も近いと言えるが、この型はレジェンズ上では第一から第五の型を総合的に扱うバランスタイプのスタイルなのであくまで"結果的に"であり、そもそも正史では設定が大きく異なる。(後述)
やはり特定の型を習得している雰囲気はなく、我流とするのが無難だろう。
最後にも触れるが本作は制作に余裕がなかったことが容易に想像できる作品でもある。バランス調整や新規モーションなどで非常に手間の掛かりそうな"型"の要素に注力できなかったのは仕方ないと考えるべきだろう。
それに正史ということもあり、優秀とはいえまだ普通のジェダイ以下な状態のカルにそこまでの属性や振り幅を設定するのも憚られるところだろう。
(未熟だからこそ好きな型を習得できる伸びしろがあるとも言えるが…)
まあそこはプレイヤーが自身で戦い方を考えるのがいいだろう。戦闘アクションはそこそこ自由度が高く、防御重視もフォース重視も回避やジャンプを駆使したスタイリッシュな戦いもやろうと思えばできる。
自由な動きができるようになる頃には快適な操作性も相まって、まさにライトセーバーを振るうあのジェダイになれたかのような楽しさが待っている。
03.戦闘:ブラスターは邪道
○:ゴリ押しは通じない絶妙なバランス
△:全体的に忙しく慣れや向き不向きが顕著に出る印象
△:フォースは強力だが使い所の見極めが少々難しい
△:ジェダイであるカルと互角以上の敵は珍しくない
X:対多数戦は慣れ&強化が進むまでリンチになりがち
いくらセーバーの見た目にこだわったところで、使う場面がなければ意味がない。虚空に光る棒を振り回してもむなしいばかりだ。やはり敵と戦ってナンボである。
基本の通常攻撃、ゲージを消費して戦局を有利にするフォース、同じくフォースゲージを消費する高火力な必殺攻撃、ガードやステップ・ローリングなどのアクションがある。
特に重要なのはガードとパリィだ。ガードは全方位からの攻撃に対応でき、パリィはガードを行った最初の一瞬に判定がある。詰まるところがジャストガードだ。敵の近接攻撃を弾いてスキを作り出す他、ブラスターの反射攻撃もこのパリィで行える。
本作にスタミナの概念はないが、ガードには専用のガードゲージを消費する。大量のブラスター弾や複数人orボスによる集中攻撃などをガードしようとするとあっという間にゲージが尽きて痛手をもらってしまう。
しかしパリィであればゲージの消費を抑えられ、さらには相手のゲージを削った上で通常攻撃よりも強力なカウンターにつなげられる。このパリィをいかに使いこなすかが攻略の決め手と言えるだろう。
このパリィの受付時間は難易度で変化する。私が遊んだジェダイ・マスターの場合はわりと緩めな判定のように感じた。グランド・マスターでは非常にシビアになる。好みの難易度で遊ぼう。
ちなみにストーリー・モードだと受付時間が長すぎて逆に普通のガードがやりにくかった。
一方で、ガードを使えるのはこちらだけではない。本作のライトセーバーは一撃必殺の威力ではないと先述したが、これには相手のガードもまた強力なことも大きく関わっている。
スカウト・トルーパーなど一部の人型モブは武器でセーバーをガードしてくる。これがなかなか厄介で、パリィをするか相手の死角や攻撃のスキを狙う、もしくはガードを崩しやすいディレイスキルを使う他ない。それでも連撃はなかなか入らず、トドメの前に割り込みでガードされる事も多い。最も有効なのはやはりパリィだろう。
ガードを叩き続ければいずれ相手のゲージを削り切る事もできるが、その間に他の敵からの横槍を食らったり相手からもパリィをされるためあまり有用ではない。
実はガードは優先度が高めに設定されていて、ガードボタンを押したままの攻撃などはできなくなっている。代わりに攻撃後の隙をキャンセルしてガードを出すこともできるし、パリィ等をされて怯んでしまった場合でも相手の反撃や連撃にガードが間に合う事も多いぐらいにはガードは出しやすい。それだけ重要なアクションなのだ。
場合によっては敵のパリィからの反撃をガードどころかさらにパリィするなんてのもできたりできなかったりする。恐らく難易度ジェダイ・ナイト(NORMAL相当)以下であれば可能。(動画はジェダイ・ナイトによるもの)
ただし多くの敵はガード不能攻撃も行ってくる。当然パリィも不可能なので過信すると痛い目に遭う。回避アクションと組み合わせて立ち回ろう。
ちなみにこのガード不能攻撃は事前に専用のエフェクトが発生するため判別しやすくなっている。モーションも固定なので覚えよう。
セーバー同士でなくても当然のように発生するこの駆け引きは設定的には少々不満が残るかもしれないが、慣れてうまく戦えるようになればジェダイらしいスマートな戦いを演出できる絶妙な塩梅になっている。ゲームとしての楽しさを優先した結果の調整と言えるだろう。
最後にはその楽しさのあまり敵モブを発見するだけでなんとなく嬉しくなってくるほど。ダークサイド。
しかし、ガードを抜きにしても一撃で倒せない敵は多い。最初に出会う小型の原生生物ですら強化前の通常攻撃では2回以上斬る必要がある。一部の上位トルーパーを含めた人型モブも同様。
途中から解禁されるダブル=ブレード・ライトセーバーは対多数戦闘に向いたスタイルで、威力が低くヒット数が非常に多い攻撃になるためなおさら一撃必殺感は薄くなる。
ダブル=ブレードの戦闘例
まぁ、個人的にはみんな一撃必殺になってしまうとゲームバランス以前にこの痛快なヒット音やスパークを堪能できなくなってしまうのでこれで不満に思ったことはほとんど無いが。
そして忘れてはならないのがフォースの存在。フォースは探索で道を開く用途にも使えるが、戦闘に使用する場合は専用のフォースゲージを消費する必要がある。その分的確に使えば一方的な戦いも可能になる強力な要素だ。
特に敵の数が多くなると普通に戦うだけではリンチ状態になりやすくあっという間にやられてしまう。そういう時に活路を見いだせるのがこのフォースである。
フォースは敵の動きを止めたり、有利な間合いを強引に作り出したり、地形を利用して戦わずに敵を倒したりなど、使い方とタイミングを見極めれば非常に有利に立ち回れる。
また飛び道具を持たないジェダイがその弱点を補うための能力でもある。ブラスターは反射なりできるが、ロケットランチャーなど持ち出された日にはセーバーではどうにもできない。そういう時はフォースで火薬ごと返却することもできる。スマートに戦おう。
ただし最初は戦闘においてはあまり有用ではなく、後述のスキルツリーを解放してより強力に進化していく形になる。しかし強化したからと言って無闇に発動しても大した恩恵は得られない。とにかく使い方とタイミングがとても重要なのだ。
ちなみに私はまだうまく使いこなせていないパダワン止まりだ。上手くやればいわゆる魅せプレイ、スーパープレイの類も非常に映えるシステムだと思うのでぜひ極めてみたいところだ。
ただでさえスピードが早く忙しいセーバーでのアクションにさらにこれらのフォースを組み合わせながら戦うのはかなり難しいが、使いこなせればもう怖いものはない。
ゲージの管理にも気をつけよう。1回あたりの消費が結構大きく、初期だと2,3回もフォースを使うと尽きてしまう。
スキルツリーの解放で最大値を伸ばしたり回復手段を強化したりなどはできるが、ゲージ量に余裕が出てくるのはほぼ終盤になるため、それまではここぞというときに発揮する切り札のような扱いになる。
同じくフォースゲージを消費して大ダメージを与えられる必殺攻撃もあるため、フォースを強化する前の序盤では主なゲージの用途はそちらになるだろう。
ガードもフォースも強力ながら乱発してどうにかなるものではなく、遊びながら「やっぱりジェダイって高度な技術で戦ってるんだな…」と実感する事ができる。それを感じながら上達していくことは、上質なパダワン体験と言えるだろう。
回復はスティムと呼ばれる補充式のカプセルで行う。エスト瓶に相当する。使用速度はエスト瓶に比べるとだいぶ早く移動速度も落ちないので使用感はだいぶ快適な分、戦闘のスピードも早いといった具合。
戦闘やイベント等で得た経験値は死亡時にロスト。リトライの際に自分にトドメをさした敵に攻撃を一度でも当てる(ダメージを入れる)とすべて回収&全回復できる。そしてお馴染み、回収前に再度倒れた場合は上書きされて完全にロストとなる。
経験値が一定まで溜まると自動でスキルポイントに変換され、これを使用して能力を強化する。スキルポイントは未使用だったとしても死亡時にロストすることはない。要するにスキルポイント制をとったレベルアップである。
死亡時のペナルティはこれだけなのでソウルに比べると優しい部類。むしろ死亡地点で全回復が行える分難易度は下がる。
強化はソウルシリーズとは違いスキルツリーを解放していく形になっているので最終的な能力は一定となる。スキルツリーにはHPや攻撃力上昇の他に、新たなアクションや入手済みのフォース等のスキルをより便利にするものもある。(例:ダッシュ攻撃、フォースの範囲攻撃版など)
しかしこのスキルツリーが少々小ぢんまりとしていて、スムーズに進めば収集要素を集めきる前には全解放、つまりはカンストしてしまう程度なのだ。その後のスキルポイントはひたすら余らせる以外にない。システム自体は悪くないだけに惜しいところだ。
ちなみに個人的にオススメのスキルはスプリント・ストライク。いわゆるダッシュ攻撃でフォースゲージを使用しない通常攻撃スキルでありながら、必殺攻撃にも引けを取らない高威力に加えてダッシュ攻撃なのでヒット&アウェイにも適した優秀なスキルだ。優先的に取得しておくと攻略が安定するだろう。ライトセーバーの項でネズミを真っ二つにしているのもこのスキル。
いわゆる篝火に相当する瞑想ポイントが各地に点在し、リトライ地点の設定とスキルツリーの解放、回復およびスティムの補充はここで行う。そしてお察しの通り敵の再配置も同時に行われることになる。しかし本作はやや特殊で瞑想ポイントに接触するだけでは回復と再配置は行われない。
瞑想を行った上で"休息する"コマンドを実行して初めて回復・補充・再配置が行われる。ひと手間増えた形だが、復活ポイント設定やスキルの解放だけ行って敵とHPはそのまま探索続行というプレイも可能になっているのだ。
HPとスティムにはまだ余裕があるので厄介な敵を再配置させる方が面倒という状況はそれなりにあるので、このシステムは意外と重宝する。
04.探索:魅力的なロケーション
○:バリエーション豊かで飽きないエリア構成
○:様々な歴史や情緒を感じる造形
○:様々なアクションを駆使して進むアスレチックのような楽しみ
○:寄り道要素や巧妙に隠された収集要素も充実
△:エリアの広さは星によるがそこそこぐらい
△:収集要素はただ集める以外の楽しみが薄い
△:ストーリー限定で不可逆な要素もある
X:ファストトラベル等の便利機能が不足
もう一つの目玉である探索。
エリアの種類は5つ+αの惑星からなり、それぞれ違った表情をしている。
緑豊かな秘境の惑星「ボガーノ」
風の中に遺跡が佇む「ゼフォ」
戦闘部族の住む過酷な惑星「ダソミア」
など…
いずれも地形や風景はもちろん敵の種類や特徴も異なり、歩き回るコツとでも言おうか、そういった手応えのようなものも変わってくる。
同じ惑星の中でも場所によって表情は変わり、訪れた者を飽きさせない。
中でもゼフォは広大で、ストーリーを進めているだけでは到達しない広いエリアもあり非常に探索のしがいがある。
それぞれの惑星には違った歴史、文化や文明がある。よく目を凝らしてみると各所にそれらの形跡を見ることができる。
現地の部族の暮らしの跡、かつてそこを訪れた探求者の足跡、クローン・トルーパーの装備やB1バトル・ドロイドのような我々のよく知った出来事を思い出させる遺物も見つかる。
カルにはサイコメトリーという物体に残ったフォースの記憶を読み取る能力があり、そこで何があったのかを一部知ることができる。収集要素の一つで、ちょっとした読み物のようになっている。早い話がアーカイブだ。
時には自身の記憶や経験を呼び覚まして新たな能力を解放することもある。
そして各地に点在する霊廟や宝物庫も興味深い。フォース=センシティブによって作られた建造物は本作でもその存在感を放っている。
ゲーム的にはジェダイであるカルに試練を与える、いわゆるダンジョンとして機能しているのだがこれがまたよく出来ている。
長い時を経て半ば自然と同化している神秘的な建造物という絶妙なロケーションは好きな人にはたまらないだろう。あちこちに植物が侵食し、壁は崩れ床は割れ、果ては野生動物が棲み着いたりまでしている場所で何故か稼働し続ける仕掛けがカルの行く手を阻むのだ。
SWに欠かせない"フォース"という超常的で且つ自然そのものである概念をうまく表現している空間でもある。映画を見ていてもどういうものなのかハッキリとはわかりにくいフォースをまさに"感じる"事ができる。
ゲーム的な面ではアンチャーテッドシリーズに近いらしい。
例によって当該シリーズを遊んだことがないのでなんとも言えないが、個人的にはトゥームレイダーやゼルダBotWに近い印象を受けた。広く複雑なエリアを、地形やスキルを駆使して踏破していく楽しさは確かに存在する。
しかし寄り道こそできるがストーリー上の進行ルートはほぼ固定でマップ構造はソウルシリーズ、特にデモンズソウルに近い印象だった。ストーリーとの両立を考えるとやむを得ないところだろう。
手に入れた能力で探索範囲を広げていくというメトロイドヴァニアのテイストもある。
一方でファストトラベルが無いため、移動は常に自力で行う必要がある。ただし随所にショートカットが用意されているので最終的にはそれなりに快適な移動ができるようになる。
この仕様は煩わしさもある一方で自然と地形を体で覚える事にもなるので、後々の探索の際には意外と助かったりする。
(個人的にはスタート地点に戻るコマンドくらいは欲しかったが……)
かつてぎこちなく踏破した道筋を、新しい能力や鍛えたプレイヤースキルでスルスルと駆けていく快感というのもまた乙なものである。
また、ストーリーの進行によって地形が変わったり二度と行けなくなってしまう場所も少ないながら存在する。ただし地形の変化はそのままショートカットになったり別の手段で進める場合が多く、行けなくなるエリアもイベントのために用意された小さめのロケーションが主なのでそこまで大きな欠点ではない。
とはいえどこも魅力的な造形なので好きに行き来できなくなるのが寂しい気持ちはある。周回モードが無いのもそれに拍車をかけている。
ところで、このゲームにはしれっとフォトモードが実装されている。これはアップデートであとから追加された機能のようだ。実はこの記事に使用しているスクリーンショットは殆ど私が実機でこのフォトモードも用いつつ撮影したものである。
これがなかなかに楽しい。ライトセーバーやロケーションのこだわりっぷりもより楽しめる地味に嬉しい機能だ。
05.ストーリー:安定志向の"正史"
○:シンプルでプレイを邪魔しないストーリー
△:良くも悪くも王道
△:正史らしく他作品履修前提のファンサービスもちらほら
X:終わり方があっさり
X:翻訳がいまいち(吹き替えの演技は○)
結論から言うと本作のストーリーは少々影が薄い。
良く言えば王道、悪く言えばやや退屈といった具合で、出来は悪くないがあくまで濃厚なゲーム体験を引き締めるスパイス程度だと思った方がいいだろう。
なおSWとしての評価は前置きの通りなのであまりアテにしない方が良いかもしれない。
時系列としてはEp3から数年後「オーダー66を生き延びたパダワンの一人が、帝国に追われつつジェダイ・オーダー再建のための旅に出る」というのが大まかなあらすじ。
大筋は特に分岐もなく無難に進行していくのでこれと言って特筆することがないのが正直なところだが、後述するキャラクター周りの設定や描写は良好。
特に主人公のカル・ケスティスが好印象な青年であることが大きく、その無難なストーリーもやや中だるみこそすれ無用なストレスもなく楽しめるのがポイント。
加えてそんなストーリーを凡庸で終わらせないのが"ジェダイの苦難"の要素だ。
かのダース・ベイダーに代表されるシスの暗黒卿は、いわば闇堕ち版ジェダイであることは周知の事実だろう。本作はタイトルに"ジェダイ"を冠しているだけあってその辺も重要な要素になっている。
なんせあのオーダー66から程ない時代で、追ってくる帝国軍があの尋問官なのだからそれはもう大事な話になる。
正史らしく、他の映画作品や一部スピンオフを意識したネタも散見される。先のオーダー66および尋問官というワードはまさに私が未履修のアニメ作品が大きく関わっている。
オーダー66自体はEp3での出来事だが、その凄惨さはスピンオフである「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」を見ているとより深く感じる事ができる(らしい)。
そして尋問官の存在。初出はコミックスらしいが映像作品で有名なのは「スター・ウォーズ 反乱者たち」に登場する大尋問官だろう。
詳細はネタバレになりかねないので伏せるが、それらのスピンオフを履修しているファンならより楽しめる舞台設定・ストーリー構成になっている。ファンなら「おやっこれはもしや」と思うようなポイントは随所にある。
知らなくても楽しめるゲームではあるが、没入感は断然変わるだろう。逆に本編映画の方の要素は薄めな印象だった。
私も"反乱者たち"で大尋問官が使っていた特徴的なライトセーバーが登場したときは大変興奮した。(またセーバーの話か)
あと「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」も見ておくことをおすすめしたい。別に見ていなくても大差はないが大体同じ時系列の出来事で、本作にも関連要素が出てくる。
あとは単に映画として推せる。すき。
一方で、数少ない不満の一つが"終わりが淡白すぎる"ところだ。
シナリオが破綻しているわけではないものの、終盤盛り上がりが最高潮になりさぁこれからだ!ってところであっさり物語に決着がついてスタッフロールに入ってしまう。
決着自体はちゃんと付くのだがとにかく物足りないというか、肩透かしな気分になる。その後は周回要素や裏シナリオもなくひたすら回収作業をするだけになるのでなおさらだ。
とはいえ全体的な出来に関しては概ね良好で、且つ余計なストレスも少ないまとまったストーリー構成ではあるので、メインのゲーム性を邪魔せずちょうどいい塩梅に収まっているのではないかとも思う。
フォースと暗黒面に焦点を当てた展開や演出はなかなか見事で、これまた映画を楽しんでいるような感覚になれる。
それ故に終わりでひたすら惜しい気持ちが強くなるのも事実なのだが…。
あと気になるかは人によると思われるが、物理的なスケール感はSWにしてはやや小さい。5つ+αの惑星を股にかけた旅の話ではあるが、基本的にはある人物の足跡を辿ってそれらを行き来する感じになるため"広大な宇宙"感の不足は否めない。(移動時先を選ぶ際の星系マップの見た目が小ぢんまりしているのもあるかも)
正史扱いな以上ヘタに話を大きくできないのも仕方ないとは思うけれど。
スターファイターや艦隊および宇宙空間の要素がほぼ登場しないのも要因の一つだろう。XウイングやTIEが大好きな私にとってそこは物足りない部分ではあるが、本作の主軸はそこではないというだけの話でもある。
ムービーは最近のゲームにしては少なめと感じた。これがストーリーの影を薄めている主な理由かもしれない。もとよりゲーム内容がヘビーなのでプレイ時間辺りのムービー量が相対的に少なくなっているという見方もできるし、ソウルシリーズを意識した結果のバランスとも考えられる。
中ボス程度だと特に演出を挟まず通信等のセリフのみで展開することがほとんどで、しっかりムービーが入る場合も前後はカメラ含めシームレスに操作画面と繋がることが多く没入感は抜群に保たれる。全てのムービーがリアルタイムレンダリングである強みが活かされている。
ついでに翻訳がちょっとイマイチで話が頭に入ってこなかったりもする。
これも破綻とまではいかないまでも、いかにも翻訳っぽかったり直訳したような文が多いために慣れていないと違和感が強いと思われる。
字幕と音声が微妙に違うとかはもはやご愛嬌。こればかりはもう受け入れる他ない。
本体側を英語に設定してゲーム内オプションを日本語に設定すれば英語音声日本語字幕にできるのでその方が良いかも。
ただし吹き替えもキャスティングや演技に関しては良好。
中でも主人公・カルの親しみやすさに一役買っていることは間違いないだろう。
06.主人公 カル・ケスティス:プレイヤーの相方
○:等身大で親しみやすい人物像
○:才能のあるパダワンというゲーム的にも絶妙な立ち位置
△:歴代主人公ほどヒロイックではない
物語の優劣はキャラクターにこそかかっていると言っても過言ではない。
たとえ大筋が平凡、それどころかやや出来が悪いモノだったとしても、キャラクターが魅力的であれば割と許せてしまうものだ。逆もまた然り。
大筋としては先に述べたように無難の域を出ないといった評価をしているが、キャラクターの描写が良いため最終的な評価は上々と言える。
中でもやはり特筆すべきは、厳しい旅(難易度的な意味でも)をプレイヤーと共に乗り越えていく主人公カル・ケスティスだろう。
彼はオーダー66を命からがら逃げ延び、流れ着いた惑星プラッカで素性を隠しながら解体屋として過ごしていたパダワン。ある日ひょんなことから親友を救うため咄嗟にフォースを使ってしまい、結果帝国の目に留まって追われる身となる。
事件のせいで修行を最後まで終えられなかったためまだ半人前なジェダイであるカルは、我々のよく知るジェダイの最低限の能力を持ちつつも、孤独な境遇とジェダイの苦難、そして仲間に支えられながら成長していくのを共に実感できる非常に感情移入しやすいキャラクターに仕上がっている。
ゲーム自体の難易度が高めで、加えてやや複雑なシステムを試行錯誤で覚えながらプレイしていくバランスなのでゲーム的にも噛み合わせのいいキャラと言えるだろう。
ただ未熟とは言えジェダイなことに変わりはないため戦闘能力は高く、ときには単身でAT-STを撃破するなんて芸当も披露する一方で、慢心したり油断を見せることは少なく、人並みに不安を吐露したり迷って立ち止まったりもする。
その境遇や背負った使命の重さもあってか明るく活発という雰囲気ではないが決して嫌味な性格でもなく、時には軽口も叩きつつよく考える冷静さも兼ね揃えた"悩み多き若者"ぐらいの等身大な人物像だ。
カル・ケスティスはジェダイに憧れるただの一般人でしかない我々が、もしその憧れを断片的にでも実現できたとしたらという夢を見させてくれる非常に優れたバランスのキャラクターだと思っている。
感情移入をするには喋らない主人公や充実したキャラメイク機能などが有用に思えるかもしれない。しかしそれには理想的な人物像や魅力的なバックボーンも自前で用意する必要があったりするし、大抵の場合こだわればこだわるほどにゲーム側の仕様や描写に大なり小なり裏切られることになる。
それにダークソウルやSkyrimでも本格的なロールプレイができる人間ばかりではない。かくいう私もあまり役者気質ではないため、このぐらいの体験が実は丁度いいのだ。
カル・ケスティスはモニターの前にいるプレイヤーの分身ではなく、旅の相棒であり、SWの世界で生きるもう一人の別の自分なのかもしれない。
それって結局分身じゃないのかって? 違うよ。
俺たちはカルになるんじゃない。カルを信じるんだ。
またカルを担当している相楽信頼氏の吹き替えもキャラクター性と相まって非常に親しみを感じられる名演で、それも彼との旅を楽しめる重要な要因だろう。(イマイチな翻訳もセットだが)
旅の間は独り言をつぶやいたり相棒のBD-1との掛け合いもそこそこするため、旅をしているという気分を盛り上げてくれる。いつでもBD-1に話しかけられるコマンドもある。
ライトセーバーの項でも触れたが、カルの型は扱うセーバーの種類や動きからして第六の型(別名 ニマン もしくは ニマーン)が近いと言われる。正史ではダブル=ブレード(ダース・モールが使ってたやつ)とフォースを組み合わせたスタイルと定義されている。
確かにカルは通常のセーバーとダブル=ブレードを切り替えつつフォースも交えながら戦える器用なジェダイである。(プレイヤースキル次第だが)
(ニマンの派生であるジャーカイも扱えると思しき描写もあるが、これはレジェンズ扱いでしか存在しない型なので正史の本作では恐らく無関係)
だが実際は先述したように様々な型を混ぜたような我流の戦い方をしている。攻撃重視であるシエンを思わせる動きも多く、シエンとニマンのハイブリッドあたりと考えたほうが自然かもしれない。
レジェンズならばニマンは複合スタイルなのでちょうど当てはまるのだが。
実は序盤のイベントではシャイ=チョーの構えも見せている。シャイ=チョーは第一の型、いわば基本の型なので訓練の段階でまず習得することが多い。唯一マスターから正式に学べた型という可能性もある(妄想)。
我流であるからかその戦い方はややダーティで、あのアナキン・スカイウォーカーを思い出させる動きもちらほら見受けられる。ちなみにアナキンはシエンの使い手である。そう思うとなんだか嫌な予感もするが…。
実際にどうなるかは本編を遊んで確かめてもらいたい。
余談だが、カル・ケスティスは正史らしくまだまだ活用できるキャラクターとしてに作られている雰囲気があるので、ゲームの形でなくとも再び活躍が描かれる日が来るのではないかと勝手に楽しみにしている。
2020/05/13 追記:
EAが暗にこれが新シリーズの1作目であると認めるような発言をしたという記事が出た。確定とは流石に言えないだろうが、期待は十分にできると思われる。クソが付くぐらい楽しみである。
アクターは『GOTHAM』でジョーカーを演じたキャメロン・モナハン。やや整っていない顔つきになっているのがまた良い。リアリティと親しみやすさを両立した絶妙なモデリングである。
07.他の登場人物:人間味のあるキャラクターたち
○:主人公とのバランスがよくとれている
○:それぞれの立場や人間性が絶妙に絡み合っている
○:相棒のBD-1がかわいいし有能
○:他作品で見た顔や聞いた名前もちらほら
△:主要人物の人数は少なめ
X:本筋と無関係な野良NPCはほぼいない
カル以外の登場人物も魅力的だ。
実はレギュラー・準レギュラー級の人数はあまり多くなく、またTwitterや二次創作なんかでウケそうな濃いキャラ付けも基本的にはない。実写映画の雰囲気に寄せて作られているのは確かだろう。
その分等身大で描かれるカルとのバランスが美しく、プレイヤーの気分を邪魔しない。
訳アリな支援者、頼れる仲間、相容れない暗黒面…SWらしく様々な種族が入り混じり、ドラマを盛り上げるのに十分な役者も揃っている。
一番の仲間はやはりカルの相棒であるBD-1だろう。BD-1はR2-D2を始めとするSWシリーズではおなじみのマスコット的ドロイドだ。
昨今のディズニー作品らしいマスコット然とした売り方はあまり好きではないが、BD-1はそれらしい愛らしさも備えつつ丁度いい塩梅だと感じた。
BD-1は鳥類を想起させる可動部分の多いデザインで、イベントや探索において様々なリアクションを見せてくれる。といってもあざとさはあまり無い。
普段はカルの背中にずっとくっついているのだが、
カルが狭い場所を通る際にぶつからないように避けたり、
なにか見つけると降りてそちらにまっすぐ駆けていったりする。
そういった細かい動作が自然で鳥や小動物のようで可愛らしく、面倒見のいい雰囲気のカルと絶妙に相性がいい。
さらには
回復アイテムのストックと供給を担い、
マップのホログラムを表示したり、
暗がりをライトで照らしたり、
ワイヤー移動の手助けをしてくれたり、
敵やオブジェクトのスキャン、
コンソールのハッキング、
果ては謎解きのヒントまでくれる頼れる相棒だ。
(ヒントは長時間停滞している際に任意で聞けるようになる)
ていうか頼らないととてもじゃないが先に進めない。
ここで敢えて一つネタバレをしておくが、最も密に付き添うことになる彼?と涙の別れになるような展開はない。
そういうのが苦手な人でも安心だ。
逆に好きな人は申し訳ない。これはそういうゲームではなかった。
むしろ最終盤の大活躍は必見。
あまりの活躍で逆にえっ?と思う人もいるかもしれないが…。
カルを帝国の手から救い出してくれたスティンガー・マンティスの乗員も大事な仲間だ。
ギャンブル好きなキャプテンのグリーズ・ドリタスと、重い過去を抱えつつもジェダイ・オーダー再建に協力するシア・ジュンダの2人は、過酷な試練に立ち向かうカルが唯一帰ることのできる家族だ。
他にもカルを執拗に狙う尋問官のセカンド・シスター、
謎の老人タロン・マリコス、
カルの師ジャロ・タパルなど、
出番の多少に関わらず印象に残る様々な立場の人物が登場する。
また、本編映画や他作品の人物も名前や言及のみでそこそこ出てるらしい。(wiki情報)
私はマスター・ヨーダの名前が出たのは覚えている。
(話の中であの有名人?程度に一度触れられただけだが)
一方で主たる登場人物が少なめなことが物語のスケールの小ささに影響しているのも否めない。その分シナリオが複雑化しないので一長一短といったところか。
加えてストーリーの進行に関係のないNPCは基本的に存在しない。ほぼ全員がイベントでの登場かその進行に合わせて一時的にフィールド上に現れるだけであり、旅の間に不意に出会うのは生物やトルーパーなどのモブがほとんどだ。
その代わりが先述したサイコメトリーを始めとした探索要素なのかもしれない。
08.モブ:忘れてはいけない彼ら
○:SWらしいモブ構成
○:こだわり仕様のトルーパーたち
○:世界観を彩る非戦闘モブもいる
△:原生生物率が高くそこそこ強い
△:パージ・トルーパーが割と厄介
X:ビークル類の登場はほとんどなし
モブの構成は好みが分かれるところだろう。
おなじみのストーム・トルーパー達ももちろん登場するが、敵の大半は各惑星の原生生物である。
総じてやたらと敵対的な上に、概ねやられ役らしいシンプルな強さのトルーパーと比べると地味に強く苦戦する相手も多い。
SFアクションを重視するファンにとっては少々複雑なところかもしれないが、SWらしさという意味では間違いではない。
某賞金稼ぎ親子の最期が印象深い人も多いことだろう。あの感じだ(?)
一方のトルーパーたちは相変わらずだ。
妙に人間臭いところも健在。こちらの挙動次第で色んなセリフを叫ぶ。
楽しい。
いくらかの性格パターンが用意されているらしく、
例えば最後の一人になった時に
「あとは俺とお前だけだな!」
と言う奴や
「もう誰も残ってないのか!?」
と言う奴がいたりする。行動パターンはたぶん同じ。
極めつけにこれらのパターンがランダムに配置される。同じ場所に再配置されるトルーパーでも物言いが180度変わってるなんてことは珍しくない。
臨場感が上がるのはもちろん、システム上同じ場所を何度も行き来することになるゲームなので、こういう細やかな仕様は意外と大事だったりする。
戦闘状態になる前はヘルメットの汚れについてボヤいていたり同僚がゴミ処理係に回されたことを嘆いていたりなど雑談も用意されている徹底ぶり。
トルーパーの種類はそこそこ。
主にストーム・トルーパーとスカウト・トルーパー、
及びそれらのコマンダータイプの計4種類と、
たまに回転式ブラスター砲やロケットランチャーを携えた亜種。
火炎放射器を担いだフレイムトルーパーもいる。
(フレイムトルーパーはクローン・トルーパーとファースト・オーダーのタイプは既出だが、帝国軍のタイプは本作が初出らしい。貴重!)
その中でも異彩を放つパージ・トルーパーは見た目もなかなかグッド。そしてかなり強い。
尋問官直属のトルーパーであり、ジェダイを狩ることに特化しているだけあってセーバーもフォースも通用しにくいまさに強敵である。
大体が単なるモブ扱いで配置されているくせに、ボス級とまでは行かずとも難易度次第では中ボス級ぐらいにはなる。
オマケに武器別に4種類も存在し、それぞれ違った戦い方を求められるので、慣れない&強化が進んでないうちは戦いにくくて何度も敗北を喫することになると思われる。
Ep7のZ6暴動鎮圧用警棒にセーバーで挑んで苦戦するフィンみたいになる。マジで。
プレイに慣れて強化が進んだとしても決して戦いやすい相手ではないので、あまり好きにはなれないかもしれない。
(崖から突き落とすとかすれば他のモブと同じく即昇天ではあるが)
ちなみに当然だが帝国軍らと原生生物は味方同士ではない。時に生物とトルーパーなどが争っているのも眺められる。
場所によっては厄介な敵対生物をトルーパーの軍勢に連れ込んで滅茶苦茶にするなんてこともできる。状況をよく見て有利に立ち回ろう。
他には反乱同盟軍やウーキー族など、味方側でもおなじみのメンツが登場する。
あのR2ユニットの帝国仕様、C2-B5も基地内をうろついていたりする。
戦闘能力は無くこちらが近づいても逃げるんだか逃げないんだか動き回るだけだが、フォースで投げ飛ばしたりセーバーで真っ二つにしたりできる。
フォースで投げた際にはおなじみの悲鳴も聞ける。
良心が痛まないならお試しあれ。(私はちょっと痛んだ)
ちなみに先述したようにスターファイターを始めとしたビークル類の出番はほぼ無い。目立つのはカルたちが足にしているスティンガー・マンティスとおなじみのウォーカー数種ぐらいだ。
とはいえ、他に全く出番が無いわけではなく、帝国が占領するエリアでは時折TIEファイターが上空を通過していくし、イベントシーンでは帝国の輸送船やジェダイ・スターファイターなんかもチラっとお目見えする。
決して主たる要素ではないが、世界を演出する最低限の出番はあるといった具合だ。
09.その他バグなど:随所に感じられる作り込み不足
○:極々最低限、ゲームを完全に阻害するようなバグは無い
X:細かいバグや最適化不足疑惑など不自然な挙動は非常に多い
バグはかなり多い。と言ってもセーバーのブレードが収納されなかったりとかパリィしたら敵の重力がおかしくなったりとかどちらかと言うと微笑ましいものがほとんどで、進行不能バグのような深刻なものは見受けられず細かいもの以外は再現性もあまり高くなかった。
近年のゲームらしく複雑且つ肥大化したプログラムの弊害といった印象だ。無論直すべきものではあるが。
バグの例
敵が何故かこちらを認識しなくなったことも一度だけあった。状況に応じて動く非常に複雑なパターンが組まれているようなのでその不具合だと思われる。
これは環境がProではない普通のPS4だったためかもしれないが、ロードが長いのも気になった。特に死亡からのリトライにそれなりに長いロードが入るのはよろしくない。
ロードはだいたい10~20秒ぐらいで最近のゲームでは特に長い方ではないかもしれないが、本作は死にゲーの類だ。結構な回数リトライを繰り返すことになるのでこういうストレスは意外と大きくのしかかる。デスペナルティも重くはないためロードさえ改善すれば十分なのが惜しいところだ。
また広いフィールドをシームレスに歩き回る半オープンワールド形式のため、プレイ中もリアルタイムでロードが行われている。そのロードもまれに間に合っていないことがあり、リスタート直後の敵がAスタンスの状態で遅れて出現するとか、地形が読み込まれずすり抜けた&落っこちたとかは割と起こる。
一度だけ敵が出るはずの場所で何も起こらずイベントが進行しなくなったが、これもロード不良のようなものらしくしばらくしたら直った。
証拠映像
このすり抜けた崖は本来は捕まって登れるツタで覆われているはずが、その部分だけ読み込まれておらず判定がおかしくなっていたものと思われる。
個人的には非常に楽しいが普通によろしくない。脱出するには落下する以外ない。一定のダメージを受けて直前の足場から復活となる。(最低難易度の場合落下によるペナルティは無し)
2回ほどだけだったが、ゲームがクラッシュすることもあった。もしかすると通常のPS4で遊ぶことはあまり想定されていないのかもしれない…。
これらはPS4本体をProにする、ストレージをSSDに換装する等で改善する可能性がある。余裕があれば検討してみると良いかもしれない。
Xbox OneやPC版ならそもそも起こらない可能性もある。
ちなみにPS4とXboxOneでは30fps固定になっている。60fpsで遊ぶにはPS4 ProかXboxOneX、またはPC版でプレイする必要がある。
個人的には30fps(PS4ではそこまで出ない事も多かったが)の方がリアル感というか、映画感があるので好き。
それと一つだけ収集要素が取得不可能になるバグがあるらしい。
知らずに進行しているとそれなりの確率で引っかかるもののようなので気になる人は注意した方が良いかもしれない。トロフィーには影響しないのが救いだ。
先に言ったとおり周回モードが存在しないため、コンプリートのためにはまた新しいデータで最初から始めることになる。気をつけよう。
他にもカルの脚の位置やBD-1の挙動だとかイベント中のセーバーの位置がズレてたりだとか、細かいものは非常に多い。
私はバグのたぐいが好きな人間なのでむしろ楽しく遊べたのだが、普通に考えて仕上げの粗さを表していると言わざるを得ない。
2020/05/13 追記:
アップデートにてユーザーからの報告が多かったと思われる一部のバグや不自然な挙動が修正された。他のアプデ内容も含めてユーザーの要望に丁寧に応えている印象である。
全てとまではいかないかもしれないが、これからも修正は期待できるだろう。
10.まとめ:ジェダイになりたくばやるべし。
最初に一言おくが、私はこの作品が大好きである。大好きである。
バグとロードの問題、ストーリーや各種要素の不足など、根幹はよく出来ているのに仕上げの部分に粗が目立つところからして、本作の制作現場は相当に余裕がなかったのだろうと思われる。
正史の作品である以上、制作中はルーカスフィルムの厳しいチェックが常に入っていただろう。それに加えて予算もあまり多くなかったというような噂も聞いた。ますます余裕のなさが伺い知れる。
"惜しい"が非常に多い作品になってしまったのはそういったやむを得ない事情があってのことだろう。
一方で随所の強いこだわりや絶妙なバランスで病みつきになる戦闘など、粗を含めたとしても本作は間違いなく楽しめる作品に仕上がっている。余裕のない中でも本当に大事な部分だけは欠かさず、熱意をもって作られた作品であることの証左だ。
実際けっこうな本数が売れたようなのでアップデートや続編でより洗練されたものになることを願おう。
2020/05/13 追記:
願いは叶った。
私みたく新三部作のようなセーバーアクションに憧れた人間ならまず間違いなく買ってよかったと思える作品だ。とはいえ先述の問題も無視できるものではないのでフルプライスを支払うかどうかは個人の判断に委ねたい。
PC版なら月額¥1,644のOrigin Access Premierの遊び放題に含まれるので、環境さえ許せばそちらがオススメ。ただし要求スペックはそれなりに高いものと思われるので注意されたし。
何度でも言うが私はこの作品が大好きだ。DLCが無いと聞いてこれほど残念に思ったことは今までおそらく無かっただろう。
(実際にはメイキング映像やアート集、追加カラーなどのプレミアム版収録コンテンツのみをDLCの形式で売っているので全く無い訳ではない)
2020/05/13 追記:
実質上のDLCが来た。嬉しい。
ーーーーーーーーーー(ここから自分語り)ーーーーーーーーーー
本作を振り返るにあたって、幼少の頃に出会ったとあるFlashゲームを思い出した。
当時はN64の『出撃!ローグ中隊』をよく遊んでいた。しかしフライトSTGの当該タイトルにはライトセーバーの要素はない。(メニューのSEがセーバーぽかったりはする)
私のXウイング好きは恐らくここからと思われるが、とにかくセーバーに飢えていた時期だった。ちなみにナブー・スターファイターがかなり強かった記憶がある。
その中で偶然発見したのが『Star Wars: Clone Wars: Planetary Force』というFlashゲームだった。クローン戦争(2Dアニメの方)の公式Flashで改めて見るとなかなかにチープなゲームだが、それでも新三部作基準でライトセーバーを振るえるアクションゲームと言うだけで十分な価値があった。
それは一種の諦めでもあったのだろう。正直なところ、ビデオゲームで映画のような体験ができるとはまったく思っていなかったのだ。
ニンテンドーDSの『シスの復讐』も楽しくはあったがその点では物足りなかった。(でもカートリッジ紛失したの今でも後悔してる)
他にも旧バトルフロントシリーズや『フォース・アンリーシュド』などそれなりに願望が叶いそうなタイトルが無いわけではなかったが、やはり新三部作を見たあの衝撃と興奮を呼び醒ますにはやや不足だった。
(といっても両タイトルを知ったのは割と最近)
新バトルフロントもなかなか楽しかった。しかしどちらかと言うとブラスターやファイターによる戦場の臨場感がメインでセーバーはオマケ感が強い。
もはや私はゲームやSWとしての評価ではなく、個人的なライトセーバーに対する感情によってゲームを選んでいたのかもしれない。
そんな執念とでも言うべきライトセーバーへの感情は尚も満たされずに彷徨い続け、そしてついに、フォールン・オーダーと出会ったのだ。
これまでも楽しいSWゲームはたくさんあった。
しかし今や成人し心の奥底に潜んでしまった少年の輝きを思い出させてくれたのは他でもなくこのフォールン・オーダーだったのだ。
様々な問題を抱えつつも『ジェダイ:フォールン・オーダー』はそれ以上の熱意と鮮烈なノスタルジー体験によって私にとってかけがえのないタイトルとなった。
大人になってゲームをやらなくなる人は多い…というか、いつまでも遊んでる人間のほうが一般的ではないだろう。スマホゲーならともかく。
かくいう私も近頃はゲームをガッツリ遊ぶ気力のようなものが衰えつつある気配を感じている。
それでも私にとってビデオゲームとは、かつてのつらく苦しい日々を少しでも生きようと思わせてくれた真なる"娯楽"なのだ。
たとえペースが落ちても、たとえ興味の幅が狭まったとしても、それで遊ぼうという気持ちだけは失いたくないとあがいてきた。
もはやそれは趣味娯楽ではない、義務や執念になりかけた別のモノだったのかもしれない。薄々そう感じながらも半ば意地でしがみついて生きてきたことが、ここに来て最高の出会いをもたらしてくれた。
ゲームの感想記事なんてものを初めて腰を据えて書こうと思えたのも、私にとってこのタイトルがそれだけ特別なものになったからである。
ーーーーーーーーーー(ここまで自分語り)ーーーーーーーーーー
とにかく自分にとってのフォールン・オーダーのことを夢中で書き続けた結果、このようなまとまりとは程遠いスター・デストロイヤーの残骸みたいなものができあがってしまった。
ここまで全部ちゃんと読んでくれた方は少数かもしれないが、とにかく私がこのゲームをいたく気に入ったということだけ伝わってくれたなら幸いだ。
そして何よりこのタイトルが気になっている人への買う/買わないの判断材料になってくれたなら、もう言うことはない。
では最後に、このトレーラーを見ていただいてこの記事の締めとしたい。
" Become a Jedi "
" ジェダイになれ "