強欲爺さんとの戦い
オアハカ・たこ焼きサチータのスタートは30平米の小さな物件だった。
大家の爺さんは奥の平屋に一人暮らししていた。
家賃収入のみ、でやることは特になく
毎日、通りに座って女性のおしりを眺めるのが日課だった。(大の女性好き、特にお尻)
爺さんはウチが入っているところとその隣と、二つの物件を持っていた。
うちがお店をやっている期間に、隣の物件は入ってはすぐ潰れ、の繰り返しだった。
セントロにもあるおしゃれなパン屋さんが二店舗目の出店ということで隣に入ってきた時のこと。
内装・外装、店の前の通りまで全てキレイにオシャレに工事していた。
でも、1年持たなかった。結構な初期費用をかけたはず。
爺さんは自分の出費で持ち物件をキレイにすることはせず、
入ってきた借主にに内装や外装の工事をさせては、すぐに出てもらって
きれいになった賃貸物件を高値で貸す。その繰り返しだった。
ケチ、嘘つき、お金に目がない、女好き、で、お調子者。
小さなビジネスのサチータの事業を進めていく中で、私も何度も何度も爺さんとはぶつかった。
一ヶ月に2回だけしか許されない水道につながるタンクへの給水のお願い
6ヶ月に一度くる契約更新
そんな小さなことでも、爺さんに交渉するのがかなりのストレスだった。
とにかくうちからお金を吸い取りたくてしょうがないので、常に何か言いがかりを探していた。
契約更新ごとに家賃も釣り上げてきた。
インフレ率よりはるかに高い上げ率で。
日本と違い、そのエリア、場所の平均坪単価、などは存在しない。
すべては大家の言い値で決まる。
嫌なら出て行け、そーゆーとこなのだ。
そんな爺さんのところでも、順調にいっていたサチータ。
爺さんの物件で2年は最長記録。
でも、もうこの物件からは撤退しようと決めた爺さんの一言は今でも忘れない。
「30平米でそんなに高い家賃だったらもう、うちはやっていけない。
家賃あがるのは、もうしょうがないけど、その金額は普通じゃなく上げすぎ!」
という私の言葉に対して
「お前たちは週2日定休日なんだから週1にすればやっていけるだろ。」
(は?なんで私のビジネスに口だしされないといけないのか。あなたの強欲になぜこちらが頑張らないといけないのか。子供産まれて1か月しか休まず、赤ちゃんを店でみながら働いて、なんで2日休んではいけないのか。こっちのビジネスのやり方・私たちの生き方に口を出す権利があるのか。)
耳を疑うのと同時に、もうここはすぐ出たほうがいい、と思った。
この場所で順調だろうと、
爺さんの不当な要求に対して交渉をするストレスを考えたら即ここから撤退!と腹に決まった。
その後、爺さんの息子から
「言い値の家賃を下げるから更新してほしい」と言われたが
もうそこにとどまる気は皆無だった。
移転拡張は考え始めてはいたけど、もう少し先
と思っていて他の物件をチェックしていなかったけど
出ることが決まってしまったら捜すしかない。
そんな状況の中、
家のすぐ近くで毎日前を通っていたお店が閉店し、その物件が空いた。
今より3倍以上の広さ、100平米だった。
サチータとしては広すぎ、とも思ったが状況も状況だし、
何より家から徒歩1分ということで、そこに移転を決めた。
結果、そこでも席数が足りない程にまでお客さんが増えた。
今思うと、爺さんに背中を押してもらった感。
爺さん、強欲すぎて、ありがとう。