ハートからのカウンセリング・ティチャートレーニングへ向けて 〜人々とともに在ることのアート『LIVING ENERGIES⑧』
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ラハシャ・クラフト インタビュ-
インタビュア:江谷信壽
江谷 ラハシャが日本で「ハートからのカウンセリング」の コースを教えはじめて、もう17年ほどになりますね。その間、 現在まで千人あまりの参加者が受講しています。オーラ ソーマのレベル4の認定コースになっていることもあって、 日本ではオーラソーマを学ぶ多くの方が受講するコースになっています。
そして今年、あなたからの提案もあって、これまでラハシャ自身がリードされてきた「ハートからのカウンセリング」 を教えることができるティーチャートレーニングのコース が、世界で初めての試みとして行われようとしています。
そこでお伺いしたいのですが、このコースを提供しようと思われたのは、なぜですか?
ラハシャ 「ハートからのカウンセリング」のコースは、これまで何年にもわたって、日本に限らず世界でも数多く提供してきました。そのティーチャーコースを提供しようと思った理由は、多くの場所でこの「ハートからのカウンセリング」 を教えるためのティーチャートレーニングをリクエストされ てきたからです。
実際、単にカウンセリングセッションを提供するだけではなく、さらにその先に進む準備ができている人々がたくさんいるのではないかと思います。彼らもそのようなコースを必要としていて、今ならそのコースを提供できると感じるのです。
このコースが日本ではじまったのは、確か1996 年からでしょうから、ずいぶん長い時間が経ちました。今では私もカウンセリングトレーニング以外にさまざまなコースを提供しはじめています。
これからティーチャートレーニングを提供することで、 少しずつカウンセリングトレーニングを引き継いでもらって、 私はむしろシニアメンターのような形で、ときどき提供していくような流れを考えています。
最近、私は人々の意識が非常に加速しているのを感じます。 私のコースの受講生にも意識をシフトさせた人々が実に多くいて、自然に自分自身の真の本質を認識するようになってきています。
そうして気づきを得た方々がそれぞれの仕事の場において、自分の理解を使って、人々を精神と身体を超えた本質に気づくのをサポートすることができるようになっていけばすばらしいことです。
ですから、このトレーニングを提供しはじめるには、今が適切なタイミングだと思っています。これは、私にとって初めての試みでもあるので、本当に楽しみです。これまで私が体験し、受け取ってきたことを次世代に手渡すことでもあります。
私は、今までとても恵まれた人生を送ってきました。これまで多くの教えをOSHOや、オーラソーマ、アンマ・バガヴァンといった、さまざまなティーチャーから受けてきました。本当に多くの贈り物を与えられてきたので、今度は それを手渡していく時期なのだと感じているのです。
江谷 しかし、あなたの教えは、ただ単に知識やテクニックを教えることにとどまらず、あなたの存在のあり方から伝わることが多くあるように思いますが、そういうことも教えることができるのですか?
ラハシャ そうですね…。 それが、このトレーニングを提供するのをためらっていた理由のひとつです。 しかし、現在は地球の歴史のなかでも重要な意識の目覚めのときですし、正しいタイミングで、しかるべき人々がこのトレーニングに来てくれることを信頼しています。
実際、 このトレーニングを受けることで自分の存在についての一 瞥を得ることができれば、意識をシフトさせた体験から教えることもできるでしょう。 あなたが言うように、私自身の存在のあり方がとても大切では、ということについて…確かにそのとおりかもしれません。
しかし、ただ自分が覚醒するだけでは、人類にとってそれほど役には立たないと感じるのです。覚醒を分かち 合ってこそ役立っていきます。これは、二つの側面、方法がひとつに統合されたようなものです。
ひとつは人に教えるコンセプト(概念)があって、それを教えることで意識 が有効に機能するという側面。そしてもうひとつは、教える側の内的な状態が大切だということです。
最近、とてもおもしろい出会がありました。 彼はカウンセリングトレーニングを受講された方ですが、 実はそれ以前に精神分析医として何年も実践を積んできました。彼は、自分がカウンセリングを通じて学んだことを統合しはじめ、昨年、ついに知覚が変化し、自身の真の本質に覚醒しました。
いまでは、彼はそれまでの教えを本当に理解してい ます。 私自身のことを言えば、私が覚醒する以前にコースを教えていたとき…つまり1999 年より前のことですが、当時の私はマインドの層についてフォーカスして教えていました。
それでも受講生にとっては、じゅうぶんに役立つものでした。 そこから私自身の意識のシフトが起こり、より深い認識 が得られるようになりました。 物事に対する視点が変化したのですが、トレーニング そのものはある意味で同じでした。
しかし、私自身の意識が変化したので、そこでの学びはさらに深まりました。 ですから、同じような出来事が、今回のトレーニングでもありうるだろうと感じているのです。
新しいトレーニングコースは、目覚めの体験をした人々 や、基本的に内なる旅をしている人々にとても役に立つ ものになるでしょうし、ここで学ぶことはカウンセリングを教えたい人にとってはもちろんのこと、自分がすでに持っているさまざまなメソッドを教えるときや自分のワークにも使っていくことができるでしょう。
そして同時に、このコースを教えることそのものが、自分自身のさらなる目覚めに役立つのではないかと感じます。ですから、このコースには二重の効用があると言えるのです。
江谷 人は自らが教えることによって、最もよく学ぶ…ともいいますね。
ラハシャ まさにそのとおりです。 私が今まで、自分の人生のなかで気づいたのは、私は相手に教えているだけでなく、私自身も自分の口から出てくる言葉に耳を傾けており、そこからたくさんのことを学んでいるわけです。
江谷 あなたが教えているとき、本当に言葉がどこかからやって来るような感じがします。
ラハシャ ええ、そうです。言葉がどこかからやって来 ます。 コースの大部分は、誰もが持つ知恵のチャンネルに、 受講生が実際にアクセスできるように手伝うことで占められています。
プロセスを信頼することで、アクセスは可能となるでしょう。それは、とても興味深い体験で、そのプ ロセスは人それぞれに違います。 また、教える行為自体に非常に深い憧れを持って、やって来る方たちもいます。
ですから、トレーニングコースは自分自身の学びを深めたい方と、カウンセリングコースを教 える術を学びたい方、その両者の方に向けて提供されて いきます。
江谷 このティーチャートレーニングコースでは、どのようなことが学べますか?
ラハシャ このトレーニングには、たくさんの異なる層があります。実践的な層や、マインドの層、モデルの層です。 表層から中心に移動するための方法、そして非常に具体的なアプローチも学んでいきます。
また、ただ学ぶだけでなく、学びの分かち合いもサポートしていきます。実際に参加者同士でガイドをし合い、また教えるといった機会もあります。異なるプロセスを通じてガイドをしていきます。
さらにもうひとつ、大きな要素は質問に応えていくことです。
このコースで、なにを教えていくのか私にはわかりません。なぜなら、それは受講生が学ぶ必要があること、聞く必要があることに応じて変化していくからです。トレー ニングの内容を決定するのは受講生です。
これは非常に 重要で、そこで教えることだけでも長期にわたるだけのものがあります。 とはいえ、基本的にはトレーニングのレジュメに書いてあることがベースになります。
その基本を超えたところに 「存在のアート」があります。カウンセリングトレーニングの サブタイトルを表す「人々とともに在ることのアート」です。 それはトレーニングコースで体験していくことであり、自然発生的に体験が生まれます。それがどのような教えかは、コースの最中に開示されていきます。
江谷 トレーニングの基本的な構造について、説明していただけますか。
ラハシャ コースの構造は、次のようになっています。 通常のコース「ハートからのカウンセリング」の最初の2日間に学ぶことを、最初の1週間のティーチャートレーニン グコースで学んでいきます。
ここでは非常に深く学びます。 通常「ハートからのカウンセリング」の最初の2日間は、 「マインドの層」について学びます。受容の錬金術とペイ ンボディについて、私たちがどのように心理的な痛みを作りだすのかがテーマになります。
この最初の2日間が非常に重要な部分で、その後のすべてがこのテーマに依存していきます。この2日間のトランスミッション(伝達)が明確なら、後続する4日間は自然に出来事が起こっていきます。
その後は、同じプロセスを、 ただ別の側面から見ていくことになります。 そして、トレーニングのパート2は、非常におもしろいと思います。 パート2は、コミュニケーションをテーマにスタートします。
私たちが、どのようにコミュニケーションをしているかについて、より深く見ていきます。 ご存知のように、NLP(神経言語プログラミング)などにあるようなペーシングとリーディング、そしてもちろん関係性についてのトレーニングです。
関係性だけをテーマにしても3週間はかかるようなトレーニングになってしまいますので、ここではただエッセンスだけを見ていきます。 そして、最後の2日間で、すべてを統合する方法を教えていきます。
最初の4日間で分かち合ったことをすべて統合します。それをひとつのパッケージにし、受講生が理解できるようにするのです。 これがトレーニングの基本的な構造となりますが、これをベースにしたうえで、受講生のニーズに応じて自然発生的に起こる出来事がたくさんあるでしょう。
江谷 現在、教えている『ハートからのカウンセリング』 のスタイルになるまで、あなたはどのようなことを学んでこられたのでしょうか?
ラハシャ 「ハートからのカウンセリング」コースは、私がこれまで学んできた多くの体験の集大成と言えるでしょう。
インドのプーナのOSHOのもとにいたときにもカウンセリングは教えていましたが、そのころはサガプリア、プラサー ド(旧ワドゥドゥ)、リーラ(旧ワドゥダ)、トゥリア、スッダといった、すばらしい教師たちが身近にいました。
その他にも、 さまざまなメソッドを学んできた、たくさんのすばらしい人々 との出会いがありました。 「ハートからのカウンセリング」は、主としてサガプリアと共有したワークからインスピレーションを受けたものです。
というのは、プーナ時代に私は、すでに彼女と共同で長期のトレーニングである上級者向けのカウンセリングト レーニングをリードしていたからです。自分自身の理解や、 多くの異なった広範な経験を通じて、私は自分自身のプ ロセスと向き合い、整理する必要を感じたのですが、それはかなりユニークな体験でした。
後に「ハートからのカウンセリング」に参加した方々から、 「こんなコースはこれまでに体験したことがない」、「こういう体験は初めてだ」といった反響をよく耳にしました。 カウンセリングを学んだ友人や、大学で学位を取得し た人たちからも、このコースは非常に異なった、しかも有益で助けになる深いグループだという感想を聞きました。
そういった反響からもわかるように、私が教えているコー スは基本的に私自身の体験と多くのプロセスを通じてやって来たもので、そこから6日間のプロセスに発展し、現在は日本をはじめ、韓国や台湾、中国、スウェーデン、ドイ ツ、アメリカといったあらゆる国で驚異的な働きをしているのです。
「ハートからのカウンセリング」は、人間の存在の文化的社会的条件づけよりもっと深いところに対して働きかけ、 強い影響を及ぼします。 私は、このトレーニングを受けた人たちから、人生が根本的に変化したという多くのフィードバックをいただいています。
このように、私からはじまったトランスミッション(伝達)が、トレーニングを通じて受講生に伝達されたように、 ちょうどロウソクの炎が次のロウソクへと引き継がれるように、人それぞれの自身の香りで、この同じ恩寵を、存在のアートを、沈黙、そして空といった……統合されたトランスミッションを伝えるコースが創造されることを希望しています。
江谷 「ハートからのカウンセリング」は、あなたの人生の集大成のようなものなのですね。
ラハシャ そうです。基本的にそれは一生を通して、私 の人生の学びから生まれたものなのです。
江谷 あなたがサガプリアとともにカウンセリングコースで教えていたときに、私もそのコースで学んでいましたが、 西洋人のセラピーとは違い、とても日本人に合う教え方だと感じていました。 もしかしたら、日本と縁が深いのかもしれませんね。
ラハシャ そうかもしれません。たぶん私には日本人だった過去世があったのでしょう。 私は日本に対して非常に強い愛を持っています。
江谷 このティーチャートレーニングのコースは、どういう方にメリットがありますか? どういう人におすすめでしょうか?
ラハシャ 基本的に自分自身に関心のある人々、自分の精神的成長や内面についての理解、人間の持つ可能性に関心のある人たちすべてが、このコースから利益を得ることができるでしょう。
通常のコース「ハートからのカウンセリング」と同じように、ティーチャートレーニングにも2種類のタイプの参加者がいると思います。 ひとつのタイプは、ただ自分自身の内側により深く入り、 自身の本質を学びたいと思う方たち、おそらくは目覚めて真の自分を認識したいと思う方たちです。
このタイプの方にとっては、このプロセスは非常に個人的な旅となるでしょう。 そしてもうひとつのタイプは、このコースを教える術を学びたいと思う方たちです。
それは基本的に新しいスキルの獲得であり、ここで学ぶことを自分の人生やビジネス、あるいはなんであれ既存 のキャリアに役立てようとする方たちです。 このコースを教える能力があり、正しくティーチングが できると感じられる方には資格を授与することになります。
そうすることで、「ハートからのカウンセリング」を教えることができるようになります。 日本で、あるいは英語を話せるのならどこの国でも、このコースを提供することは可能でしょう。ですから、このトレーニングコースは専門教育でもあります。
江谷 このトレーニングのコースを受けると、どのようなメリットが得られるでしょうか?
ラハシャ 受講生がこのコースからなにを得られるか…もし恩寵がもたらされるとしたら、自分の本質に目覚めることができます。もちろん、それは私たちがコントロールできることではありません。
覚醒は常に小さな自己を超えていきます。 しかし、ご存知のように、私たちは受講生たちに小さな自己を超えたものを指し示すことができます。小我を超えた、それよりずっと広大ななにかへの一体感です。
ですから、基本的にそれが受講生の手に入れることのできる最高のものとなるでしょう。 その次のレベルでは、もしそうなるのが運命であるなら ば教師となって、いろいろな意味で非常に有益なこのコー スを開催することができるようになります。
このコースを教えることで自らもさらに学ぶでしょうし、人類の目覚めに貢献することができるでしょう。人間の持つたくさんの誤解を癒し、内なる戦争を癒し、外なる戦争を癒すことになるでしょう。外側の戦争は、内側の戦争 の反映にすぎないからです。
また、愛の一瞥を得るかもしれません。愛がなんであるかを、存在がなんであるかを、瞑想がなんであるかを、 自らの真の本質がなんであるかを学ぶことができます。
また、もしコースを教える教師になるのなら、その人たちは別のレベルにおいて、そこから収入を手に入れることができるでしょう。このコースを教えることによって、お金を得ることができます。
ごく大まかですが、これがこのコースで得られるメリットといえるでしょう。 もちろん、それぞれが手に入れるものは、その人がどれだけ可能性に対してオープンであるか、もしくは理解の深さに応じたものが反映されるので、顕れる出来事は非常に個人的です。それぞれ個人差があるにしろ、このコー スを受講する人たちの人生の展開が間違いなく豊かにな るであろうことは、確信を持って言うことができます。
江谷 では、最後に日本のみなさんへのメッセージをお願いします。
ラハシャ 私が日本に来はじめて以来、カウンセリングのトレーニングでは、千人を超える多くの人々に出会いまし た。そして、日本の友人たちのオープンさには心から深い感謝を感じています。
彼らはマインドを超えたつながりを感じさせてくれます。 今までの流れからお分かりのように、私はみなさんのさらなる成長をサポートしていきたいし、さらに目覚めをサ ポートしていきたいと思っています。
そして、より深い理解をたくさんの方たちと分かち合いたい…なぜなら、世界はみなさんを必要としているからです。 ですから、私のメッセージは「この生涯で与えられたギ フトに小さな信頼を置くのではなく、それらのギフトのいくつかは単なる種子であり、それらは水と栄養を与えられるのを待っているのだ」ということ。
その種は、それは美しい花になれるのだということです。そして、花開かせるためのひとつの方法として有益なの は、このトレーニングに参加することです。 みなさんとお会いすることを、心から楽しみにしています。
江谷 お忙しいところ、インタビューに応じていただき、 どうもありがとうございました。 ラハシャのすばらしいワークが広がり、より多くの花が開いていくことを楽しみにしています。
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