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えつこの部屋 すぴんおふ ⑤わんのはな 戸松寛人さん

今やたいせつな家族の一員として愛されているペット。
そのペットたちの食事については、あまり知る機会がないかもしれません。
静岡で無添加オーガニックなペットフードの企画販売をされている戸松さんに、お話をうかがってみました。
編集長の愛犬ルルちゃんも、はじめての副編集長として参加です。
どうぞ、おたのしみください。

戸松さんとペットフードの出会い

戸松 はじまりは、 1998年。愛犬パスタのアトピーでした。
 ブリーダーさんからいただいたドッグフードを食べると、お腹をまっ赤にしてかゆがるんです。1~2時間するとそれがおさまるということを繰り返していて、調べるとドッグフードにいろいろな原料や化学合成添加物が入っていることがわかりました。  
 それからいろいろと試して、無添加のドッグフードにたどりついて、ようやく改善されました。

わんちゃんのアレルギー

えつこ 以前に飼っていたチワワがアレルギーで、なにを食べさせていいかわからなかったんです。

戸松
 ペットの健康については学説がどんどん出てきて、血液検査の信ぴょう性も疑問視されています。
 例えばアレルギーの項目が20種類ある愛犬は、それらが入っていないフードはほとんどなく、オーナーから相談を受けます。
 そんな時は一つの提案として、人間が食べる食材を少しカットして食べさせてみませんか?と、お話します。半分以上の方は試してみて、経験では8割ほどは何も反応が出ません。
 「わんのはな」で扱っているフードやジャーキーは無添加なので、食べてみませんか?とおすすめしてみると、こちらも反応が出ないということが多いです。
 花粉症を例とすると、昔から杉やヒノキの花粉は飛んでいました。今よりもっと飛んでいたのに、花粉症はなかった。いろんな学説の中に花粉自体のアレルギーではなくて、花粉と排気ガスが結合して花粉症のアレルゲンになっているという学説が有力と考えています。
 わんちゃんも鶏肉とかトマトの単品ではなくて、鶏肉とそのドッグフードに含まれている、合成添加物などが結合してアレルゲンとなりアレルギーを発症していると考えています。もちろん食材自体に反応する子もいるので1
00%とは言いませんが。

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ドッグフードのレベルって?原料って?

えつこ ドッグフードは、人間の食事に比べるとレベルが低いですか?

戸松 平成21年にやっと、ペットフード安全法ができました。それまでは法律すらありませんでした。
 人間が食べていいものは法律で守られていて、使ってよい防腐剤や着色料などが定められています。でもペットフードには全成分表示義務すらなかったのです。
 昔米国でスタートしたペットフード製造では、袋に書いてある、たとえばコーンはコーン油を搾った絞りかすがそのコーンであったり、牛肉と書いてあるものは人間が食べる部位を取り除いた部位の産業廃棄物だったりしました。それらを混ぜ合わせたものが、ドッグフードのスタートと言われているという情報もあります。
 そういうところからスタートしているので、人間が食べるような食品原料とはちょっと違う現実があるようです。
 そういう原料は香りも味もよくなく、食いつきがよくなければ売れないので、合成の香料、調味料などをふりかけ、着色料で美味しそうな色をつけて、防腐剤も大量に必要とします。
 僕も昔ビデオで見ましたが、ペットフードの生産ラインにペットフードが流れてきて、それまではそこにわんちゃんがいても反応しないのですが、合成香料をかける工程を通り過ぎたあとは食べたいってわんわん吠え出していました。
 やっと法律は制定されましたが、まだ人間には使ってはいけない防腐剤などをつかってもいい法律で、まだまだ甘いと考えています。

手作り食って大変でしょ?

戸松 食事はすごく大切だと思っています。当店では無添加ペットフードを扱っていますし、半手作り食もあります。冷蔵庫を見たらたまたま今日は空っぽだったとか、栄養バランスが本当に摂れるのだろうか?とか、調理時間を確保できない方のために〝ボーノサルテ〝という半手作り食を開発しています。
 基本的にはベースに穀類と野菜がミックスされていて、これにアレルゲンで無く、お好みの乾燥やレトルトのお肉、もしくは自分たちが食べる生肉をトッピングして、あとはお湯をかければ手作り食になるというものを利用するライフスタイルも提案しています。

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えつこ 手作り食の本を買ったんですけど、余計に「ダメだ」ってなって、挫折しました。

戸松 ああ、なるほど。手作り食はいろんな本が出ていて、僕は昔、ある獣医師に情報をいただいたりしたのですが本当にラフで、そのときは、「3:
1:1」。穀類が3、野菜が1、動物性たんぱく(肉など)が1のバランスでいいんだよって教わりました。

えつこ それは、シンプルでいいですね!

戸松 今は「1:1:1」という考えもあります。グルテンフリーブームの影響かもしれません。
 うちはもともと「3:1:1」をベースとしてつくっていますけど、お客さんには太り具合とかを見て、「1:1:1」に変えてバランスを取ってもらっています。そういう話をすると総合栄養食じゃないですよねって話をされますが、「総合栄養食じゃないですよ」とお答えしています。
 総合栄養食をクリアーするにはAAFCOという基準をクリアーしないといけないんですけど、そうするとマンガンが何ミリグラムとかまで求めることになるので、一般的な天然の食材を集めて総合栄養食はできないといっても過言ではありません。ペットフードメーカーは総合栄養食にするために、添加物を入れざるを得なくなっています。

手作り食との上手なつきあい方

戸松 食事に関しては “ボーノサルテ”を10年以上前に提案していて、手作り食のステップアップとしています。 たとえば月曜から金曜はペットフード、土日はすこし時間が取れるから半手作り食とか手作り食をつくって、併用をしましょうとお話します。
 手作り食はいいものですが保存が効かず、震災のときなどは作れないリスクもあります。
 ペットフード、半手作り、手作り、それぞれメリットデメリットがあります。そういうのを考えながら、オーナーさんが無理なく続けられるスタイルを見つけるのが一番よいと思います。

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こだわっていること

えつこ 無添加とか防腐剤がはいってないことに、こだわっていますか?

戸松 うちのこだわりは、まず原料。食品としての原料のレベルが、人間と同じレベルであることを心掛けています。ペットが食べる原料は食肉処理で筋が多かったり、かたかったりという理由で人に提供しづらい部位でも良いのですが、原料の管理、保存方法など、人間用と同様の鮮度や安全性に配慮しているメーカーさんとお付き合いしています。
 そして、原料はやっぱりヒューマングレードです。僕ら人間が食べるのと同等以上のものを与えてあげたい。以上と言っているのは、彼らの方が身体が小さくて、ドッグイヤーと言って人間の6~7倍の速さで成長していますので、食べ物が細胞、そして身体をつくっていくのです。人間よりも食べ物の影響を受けやすいので、原料がいいものが第一条件です。
 第二条件は、極力合成添加物を不使用なものであること。低品質の原料を隠すための合成着色料や、食いつきが悪いので合成香料や調味料を使用しているものがあります。長期間保存できるように合成保存料が使用されたりしています。可能なかぎり天然素材原料だけにしましょう。そういう合成添加物を限りなくゼロにしてあげたいですね。
 そして第三条件は人間が食べるもの以上の、できればオーガニックとか低農薬とかというような素材です。

わんちゃんにも愛情を

戸松 原料と製造がしっかりしていて、最後にオーナーの愛情が必要と思っていますので、フードへのトッピングやアレンジ、半手作り、手作りなどのひと手間をオススメしています。
 無添加やオーガニック原料がひとり歩きをしはじめていますけど、その考えだけが100%ではないと思っています。その背景にある、生産者や製造メーカー、販売者も見ていけば、皆さんのライフスタイルにあう愛犬の食事を見つけられると思います。


わんのはな 代表 戸松寛人

『人と動植物、そして地球との共生』 をテーマに、1999 年3 月に戸松夫婦二人と愛犬一頭で設立・スタート。
東京で会社員をしていたが、趣味のアウトドアやキャンプを通じ、環境破壊や食、健康の問題に興味をもち退職。
1 年間の情報収集や調査を経て、安心・安全なエコロジーライフを提案する会社を起業。
ゴールデンレトリーバーの愛犬パスタを飼いながら、奇妙な湿疹やアトピー、体臭などに疑問を感じ、調査・研究して愛犬愛猫をとりまくさまざまな問題を知り、愛犬のエコロジーライフ:エコロジカルドッグライフを提唱。
愛犬愛猫用に安心・安全なペットグッズや無添加オーガニックフードなどを企画・販売。

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