サノリョウ

さのです。大学院生(修了しました)。音響心理学・ビデオゲームにおけるサウンドデザインに関する備忘録を書きます。たまに日々のつぶやきとかも。 [https://github.com/oory33]

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春と酒乱

暖かくなって来た。 関東では今年の最高気温が更新されたという。外を歩けば空気の違いが分かる。季節の流れは早い。桜は見る間も無くまた散っていく。地元でも開花が確認されたそうだ。 月が明ければ新しい年度が始まる。新年度。新生活。人はある種の期待と不安で胸を一杯にするのだろう。きっと誰もが一度は通るに違いない。 上京した日のあの感覚は、はっきりと覚えている。 18の春、桜が咲き始めた上野公園を浮かれ足でマイヘアを聴きながら歩いていた。入学書類を提出し終え、新たな大学生活に想

    • [備忘録]ベイズ推定による信号検出モデル

      1. 信号検出論 心理物理測定法の一種である、恒常法の発展形。評価者の判断基準の差異によるバイアスの除去ができる。例えばほんの僅かでも刺激を確認できたら「知覚した」と回答する評価者Aと、はっきりと確実に刺激を確認できた場合にのみ「知覚した」と回答するする評価者Bのデータを比べた時、判断基準の差異がデータにも現れると予想される。この差異を加味した調整を行い、判断基準のバイアスの無いデータを得ようとするものが信号検出論である。  信号検出論では、物理量に対して1次元の心理量が得

      • 昔は楽しかったのか

          深酒をした翌朝は、アルコールのせいかいつもより数時間早く目が覚める。カーテンの隙間からぼんやりと眺める外。猛暑が続きのまとわりつくような空気が、いつもは不快なだけなのになぜか少し心地よい。昼間は暑過ぎて全く聞こえない蝉の声がこの時期帯は驚くほどうるさい。東京にも、こんな夏の俗っぽさが存在するものなのか。この街での6回目の夏。それでもこの街は知らない一面を未だに持っている。  東京の夏は、もしかしたら自分も何者かになれるんじゃないかと思わせてくれる。小汚い居酒屋で隣の客に

        • [備忘録]パーミュテーション検定(permutation test)

          脳波解析で頻繁に用いられる検定手法。ノンパラメトリック手法に分類され、スペクトルグラムなど時間周波数成分を持つ信号の解析に対して非常に有効である、らしい。 Permutation Testとは?そもそも統計的仮説検定は以下の様に大きく二分される。 母集団モデル(population model) t検定や分散分析などの多くの統計的推論はこちらのモデルの元で成り立っている。ここでは標本が母集団を代表し、それぞれに独立して同じ確率分布に従う確率変数であることを仮定している。

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          [備忘録] 多相ラッシュモデル

          ラッシュモデルはカテゴリデータをもとに、項目の困難度を推定する手法。解答者の能力の関数として示す。 古典的テスト理論(Classical Test Theory: CTT)構成概念の妥当性・信頼性を検討する理論。測定得点を真の得点$${\tau}$$と誤差$${\epsilon}$$の和で考える。ただし真の得点とは、操作可能な概念であり、同一人物が同一条件で同じ項目に無限回繰り返して回答した際の期待値である。すなわち測定の対象者$${i}$$に対する、$${k}$$回目のテ

          [備忘録] 多相ラッシュモデル

          期待ほどじゃなかった

          人は慣れていく生き物だ。 この街にもこの暮らしにも。上京して丸5年。心踊る新生活と一心始めた仕事も、日常と生活に変わった。それでも思い出す事、懐古する事は変わらない。昔だけがより美しくなっていく。 自分の狡さが嫌いだ。 学生だからと逃げ道を作る事。地元を離れているからと目を瞑る事。技術職だからと距離を置く事。小さなズルさとその積み重ね。人間の気持ち悪さの凝縮。世の中の全てが子供騙しの茶番に見える。 世の中は思っていたよりもシンプルだけど、その分残酷だ。 何かを一つ知る度に息

          期待ほどじゃなかった

          [備忘録]PyInstallerを使ってpythonスクリプトを実行ファイル化する

          [筆者の環境] OS: macOS Mojave 10.14.6 エディタ: VSCode 1.74.3 Homebrew 3.6.18 筆者のpythonの開発環境については以下の記事を参照ください。 0. 前提パッケージやライブラリを使用するものだけに厳選するため、仮想環境を構築する。ここではpython標準のvenvを使用する。 venvの導入とactivate pythonのパッケージ管理を行うためのツール。異なるプロジェクトで同一パッケージの異なるバージョ

          [備忘録]PyInstallerを使ってpythonスクリプトを実行ファイル化する

          [備忘録]pythonの開発環境を変えた話

           これまではHomebrewでバージョン管理をしつつ、pyenv+condaで開発という輻輳した開発環境であったため、バージョン管理をpyenv一括で行うことにしたので、その時の備忘録です。 筆者の環境 OS: macOS Mojave 10.14.6 エディタ: VSCode 1.74.3 Homebrew 3.6.18 開発環境のイメージ バージョン管理: pyenv  パッケージ管理: conda or venv(基本的にはcondaを使用しつつ、実行ファイルな

          [備忘録]pythonの開発環境を変えた話

          [備忘録]LaTeXのビルドの流れ

           LaTeXの使用頻度は高いものの、エディットはVSCode + LaTeXworkshop、ビルドはptex2pdfやlatexmkに任せっきりで、内部処理で何をしているのかがよく分からなかったのでまとめたやつです。ビルドの流れに沿って記述していきます。なお筆者のTex環境は以下を参照ください。 ptex2pdfTex Wikiによると「uplatex, euptex, uptex, platex, eptex, ptex の中から指定したコマンドと dvipdfmx と

          [備忘録]LaTeXのビルドの流れ

          [備忘録]JUCEをCMakeとVSCodeで動かしたい〜CMakeビルド編〜

          上の記事の続きです。VSCodeにCMake Toolsという拡張機能を入れるところまで来ました。ここからはJUCEのプロジェクトを作っていきます。 1. JUCEの導入グローバルに導入する手法もあるらしいが、今回はプロジェクト単位ごとに入れていく方法で導入する。 プロジェクトのディレクトリにJUCEをgit cloneし、libs以下に格納しておく。 $ git clone https://github.com/juce-framework/JUCE --recursi

          [備忘録]JUCEをCMakeとVSCodeで動かしたい〜CMakeビルド編〜

          [備忘録]JUCEをCMakeとVSCodeで動かしたい〜CMake基礎編〜

          タイトルの通り、C++のフレームワークであるJUCEをVSCodeで動かしたく奔走したのでそのまとめです。この記事はVSCodeを使ってCMakeでビルドするまでのまとめです。 用語整理ソースファイル 関数の中身を書くファイル(.cとか.cppとか) 一つには必ずmain()が含まれる ヘッダファイル 関数の定義を書くファイル(.hとか.hppとか) ソースファイルにincludeされて使用される オブジェクトファイル バイナリで書かれたファイル プログラム

          [備忘録]JUCEをCMakeとVSCodeで動かしたい〜CMake基礎編〜

          秋はつとめて、勤めて

           人間は不思議なもので、天気が変われば気分も変わる。めっきり冷え込んでくると気分も下降気味になる。  秋初めの朝7時くらい。ついこの前まであんなに待ち望んていた早朝のひんやりとした空気も、少し鬱陶しく感じる。 「秋は夕暮れ」なんていうが、この時期は絶対に早朝だと思う。 「季節の移ろい」とやらは相変わらず目まぐるしく、感情が時間に置いていかれる。実際のところ仕事諸々の進み具合が壊滅的で、無事に修論を書けるのかさえ不安になってきているが、ひとまずは就活を進めなくてはならない。高

          秋はつとめて、勤めて

          [備忘録]Goの基本的なことまとめ

          Go 1.19、MacOSでの情報。情報が輻輳していたので自分用にまとめておく。 1. $GOPATH Goワークスペースのルートとなる。明示的に指定しない限りは"~/go"となる。Goのツールチェーンのモードによって役割が異なる。以下の2種類があり、どちらかで動作する。 module-aware Mode: 1.19では基本的にこちら。標準ライブラリ以外の全てのパッケージをモジュールとして管理。モジュールの管理はgo.modファイルで行い、リポジトリのリビジョン毎に管理

          [備忘録]Goの基本的なことまとめ

          [備忘録]VSCodeでのC++開発環境の初期設定

           長い夏休みなのでVSTでも自作してみようかと思い立ち、JUCEを使用すべくC++の開発環境をVSCodeで整えることにした。コンパイラの設定で諸々躓いたので自分用に記録しておく。 [筆者の環境] VSCode: ver.1.69.2 OS:macOS Mojave ver.10.14.6 1. VSCodeの拡張機能をインストール以上二つをインストール。1つ目はデバッグや自動補完などの機能を一括してサポートしてくれる。2つ目はワンタッチでコンパイルしてくれる拡張機能。

          [備忘録]VSCodeでのC++開発環境の初期設定

          [備忘録]LaTeXのbibliographyのパスを追加する

           先日導入したVSCode + BibCompanion環境(下記記事参照)だが、肝心のbibファイルを参照する際のbibファイルの扱いが少々面倒だったのでなんとかした話。  この記事で紹介した通り、LaTeXにはbibliographyと呼ばれる参考文献をまとめて置くための文献管理用のファイルが存在する。このファイルに文献情報を記述しておくことで、texファイルからの参照を自動で行ってくれるために参照番号の管理など煩雑な作業をせずに済む。例えばtexファイルに下記のように

          [備忘録]LaTeXのbibliographyのパスを追加する

          [備忘録]Thurstoneのカテゴリー判断の法則

          概要 1次元の尺度構成法のうち、感覚量を数値化できるという前提に立つ直接尺度法に分類される。また直接尺度法のうちの分割尺度法と呼ばれる手法に属する。 直接尺度法 分割尺度法 Thurstoneのカテゴリー判断法則など 比尺度法 マグニチュード推定法など 間接尺度法 実例 以下のように3つの刺激について、「全く良くない」から「非常に良い」までの5段階の系列カテゴリーを用いて評価した場合を想定する。各数値はそれぞれの刺激を該当するカテゴリーに分類した評価者の割合を表

          [備忘録]Thurstoneのカテゴリー判断の法則