写真から(AI経由で)複雑な表情の絵画をつくる
このところ本当に忙しく、充実した日々を過ごしているのですが、作家としての作品製作もきちんと続けています。
最新刊「画像生成AI Stable Diffusionスタートガイド」はおかげさまで大変良い滑り出しで売れており、重厚な中身と品質が手応えとして戻ってきています。さらに書籍なのにアップデートをしながら最新の内容を組み込んでいくという新しい手法で、過去作の問題点を大きく超える評価や売上という数字を頂いております。
本書はイラストレーションを中心に構成していますが、実写系写真は?という質問があり、こちらのスクリプトで対応しています。
今回は「絵画表現の画像」を探求してみます。
画像生成AIを使って写真から絵画を作る、という分野はこれからももっと需要が広がることを以下の経験から感じています。
ただ作る,のではなく「絵画として複雑な心情表現を盛り込んでいく」を目標とします。
多感なティーンエイジャーの感情を絵にしていきたい。
具体的にはこういう画作りです。
日常の中にあるふとした感情やシチュエーションを
時間をかけないと作れない油画で描くという難度の高い作品。日曜画家の方々の分野では、写真から描く方もいらっしゃいます。
完成品「大切な話」
今回の新作です
Illustration d'une scène : "Ma fille m'a raconté une histoire importante, les larmes aux yeux".
「娘は目に涙を浮かべながら、大切な話をしてくれた」というある小説の1シーンを表現してみます。
どうやって作るか
まずはこれはイラストレーション。
AIモデルとしてAnyLoRA+写真モデルとして協力していただいた方+弊社提供のデジタル水彩風LoRAでテストします。
とってもかわいい。ポップアートとして良き。
指が微妙だけど、それを上回る中高生の美術部みたいな魅力があります。
でももっと若者らしい物憂げで不安で未完成な魅力ある表情を表現したい。
まずそういう写真を撮ります。
今回はモデルさんに協力してもらいベースになる写真を撮っていますが、スマホで撮った家族写真とかでも良いと思います。
鼻が消えてしまっているのはイラストレーションと絵画と写真の間ぐらいなので。もうちょいリアリズム側に寄せます。
目の輝きや髪の毛の艶が素敵。
写真のように見えるかもしれませんが、元の写真とは全然違う絵になっています。二重とか、目の形とか鼻の表現が、心情風景を演出してています。
さらに外連味のある睫毛、眉毛、鼻のディティールを狙って調整していきます。
実写の演技やポージング、目線の味を活かしながら、複雑な表情や顔の紅潮を狙って画作りを進めます。
っと、まあこういう趣味の画作りとか楽しいですよね。
子供からお年寄りまで楽しんでいけるんじゃないかなと思います。
お年寄りになっても続けていける趣味が作れました。
かつて肖像画画家から仕事を奪った写真が、画像生成AIと絵画と画風LoRAを使って、さらに現代美術としてのコンテキストを紡ぎ出しています。
自分自身のLoRAや自分自身の写真を使うかとで、従来のお化粧やセルフポートレート、アバターが持っていた意味合いなんかも変わってくるんじゃないかなと思うんです。一方で、AIのモデルと、被写体としてのモデルは意味が似てくるのかもしれないし。
Zoom会議のカメラフィルタとかに入ってくる時代はそう遠くはないと思うし、NVIDIAでKoki Naganoがやってる研究とかまさにそうなんだよね。
これがリアルタイム動画で動くようになると、絵画のような世界感のなかで仕事できて嬉しいかもですね。もちろんもっとクオリティ上げていきたいけど。
そもそもモデルさんの美しさを引き出すのも映像業界の仕事なので、現在の写真や映像の仕事が無くなるわけではないし、探求する心あっての価値だろうなと直感的に感じております。
★あえて画像生成AIに関するテクニックや専門用語を入れませんでしたが、興味があるひとはこちらをどうぞ。