見出し画像

スタートアップのサイエンス-1-1 スタートアップにとっての「良いアイディア」とは

先週末に引き続き、こちらの本を読んでいます。

前回の紹介はこちらだったのですが、今日は第1章から紹介していきます。

「Chapter1 IDEA VERIFICATION アイディアの検証」は本書の冒頭ではあるが、全279ページ中、実に103ページが割かれています。
以下にセクションを列挙していきます。

1-1 スタートアップにとっての「良いアイディア」とは
・いかに課題にフォーカスするか
・誰が聞いても良いアイディアは避ける
・他の人が知らない秘密を知っているか
・なぜクレージーなアイディアが求められるのか?
・スタートアップが避けるべき7つのアイディア

1-2 スタートアップのメタ原則を知る
・スタートアップとスモールビジネスの違い
・97%のことにNOと言えるか
・スタートアップは極端に直感に反する

1-3 アイディアの蓋然性を検証する
・スタートアップはタイミングが命
・市場環境の流れを読む
・PEST分析で「兆し」を見つける
・破壊的イノベーションと持続的イノベーション
・スタートアップの10のフレームワーク
・ターゲットの市場に狙いを定める

1-4 Plan A (最善の仮説)を作成する

・リーンキャンバスの書き方
・ピボットの重要性と留意点

[COLUMN] サイドプロジェクトでアイデアを練る


Chapter1 IDEA VERIFICATION アイディアの検証

1-1 スタートアップにとっての「良いアイディア」とは

・スタートアップが成功できるか、失敗して消えてしまうか。それを決める基準はPMF(Product Market Fit)を達成するか
・スティーブ・ブランク「Get out of the building. (建物を出て、机上の空論はやめて顧客と対話して、マーケットを知るべきだ)」
・ただ、慌ててオフィスを飛び出してはいけない。アイデア仮説「Plan A」を持とう

・いかに課題にフォーカスするか

a16zマーク・アンドリーセン「PMFを達成できるかできないか」
いくら優れたプロダクトを生み出しても、市場に受け入れられなければ成長はできない。

・「課題の質」にフォーカスすること
・ソリューションではなく
・技術ドリブンではなく

例:優れたIoT技術を有した会社がある。自分たちの技術に自身があるからだろう「この技術があれば、一般家庭の市場も取れるんじゃないか」。こんな話が平気で出てくるが、これはスタートアップにありがちな典型的な勘違いであり、「良いソリューション」をそのまま「良いアイディア」だと思ってしまっている

課題、イシュードリブンであること!
「いま検討しているアイディアは、顧客にとって本当に痛みがある課題なのか?」
「このアイディアの妥当な代替策が、すでに市場に存在していないか?」
これらを検討し、磨きをかけて、初めて価値のある「良いアイディア」に至る。

課題を軽視して大失敗している例
・グーグル・グラス

・Apple Watch(第3世代まで)

課題を意識しないのは自殺行為
・Pebble

課題の質を決める3つの要素
・高い専門性
・業界(現場)の知識
・市場の変化(PEST)に対する理解度

自分事の課題を解決する
課題の発見は、まだ「始まり」
なぜあなたが、それをするのか?

ファウンダーの課題に人は集まる
課題に出会った原体験は何か

・誰が聞いても良いアイディアは避ける


・アイデアはクレージーか

誰が聞いても良いアイディア>一見悪そうだけど良いアイディア(他の人も知っている)>99%の人から見たらUnsexy 実はSexyなアイデア

スタートアップは誰が聞いても良いアイディアを選ぶべきではない

誰が聞いても良いアイディア

他の企業も検討している

市場が競争で混み合う

リソースやオペレーション、製品価格の違い

リソースが多い大企業が有利

リソースが少ないスタートアップは圧倒的に不利

スタートアップは負けてしまう


ピーター・ティール(Paypal founder)「競争は負け犬がすること
顧客を奪い合うと、価格競争に陥りやすくなる。顧客一人から得られる利益、LTV(Life Time Value)はみるみる下がり、そこから先はリソースやオペレーションの質で競うしかなくなる。広告費用などのCPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得コスト)も上がる。

大企業の意思決定の仕方
「3年以内に売上100億円に持っていくことができるかね。ただし、うちの現業とカニバったら(競合したら)ダメだよ」。
しかし、確実な儲け話の発想では、最大公約数的な「誰が聞いても良いアイディア」以外の選択肢はない。

一見悪いアイデアが世界を変えた例
・AirBnB
・クックパッド
・Uber
・Snapchat


・他の人が知らない秘密を知っているか

(しらいメモ)これについては激しく同意です。
みんなが知っていたらすぐに真似られてしまいますし、私がPhDでSNSやVR・メタバースやVTuber産業に詳しいからこそ知っている情報ってあると思います(確信)。


・なぜクレージーなアイディアが求められるのか?

イノベーションカーブの変化

ちょうど先月、このあたりで話をした内容とも関係がありますね。

従来のイノベーションカーブは「キャズム理論」において
イノベーター<アーリーアダプター<(キャズム)<アーリーマジョリティ<レートマジョリティー<ラガード
というモデルで、「ある程度時間をかけてプロダクトを検証することができた」と表現されています。

一方で「新しいイノベーションカーブ」とは、
トライアル・カスタマーから、バーストマジョリティに感染して、一気に市場を席巻するモデルが台頭してきた、とあります。


代替案の無いアイディアを探せ

WeChat、WeChatPay、Mobikeの例

ロイヤルティーループの劇的変化
悠長にAIDMAのループを回している暇などなくなった。

AIDMAの法則では、消費者がある商品を知って購入に至るまでに次のような段階があるとされる。

Attention(注意)
Interest(関心)
Desire(欲求)
Memory(記憶)
Action(行動)

AIDMA


ロイヤルティーループの入口となるカスタマージャーニーの始点(スマホのアプリなどを使い始める切っ掛け)に急激な増加が起きたから。

新しいロイヤルティーループは

従来の始点から→認知→興味→ほしいと思う→記憶する→フリーミアムでサブスク→共感→投資→シェア→コンバージョン→サブスク

というループだという。
(そんなにうまく継続するかな…?)

・スタートアップが避けるべき7つのアイディア


  1. 誰が見ても最初からいいアイディアに見えるもの

  2. ニッチすぎる

  3. 自分が欲しいものではなく、つくれるものをつくる

  4. 根拠のない想像上の課題

  5. 分析から生まれたアイディア

  6. 激しい競争に切り込むアイディア

  7. 一言では表せないアイディア

例として「グルーポン」の模倣ブーム(2012年)が挙げられていた。そしt「スタートアップ競争を避けること」が戦略の第一義であると考えるべきだとまとめられている。
誰の何をどのように解決するかを一言で表せないアイディアは磨き込みが足りない。世の中にインパクトを与えるプロダクトをつくるには、核心を突く必要がある。一言でアイディアを的確に表すことができれば、スタートアップに参加する仲間を集める時にお互いの誤解を減らし、課題に共感したメンバーを集めることができる。


https://www.slideshare.net/masatadokoro


いいなと思ったら応援しよう!