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藤井俊郎「はぴねすゆれない」 #この漫画家がすごい

すごく味わい深い漫画を拝見しました。

絵が美しいし、いい話だからフィクションとしては許すけど
「はぴねす ゆれない」とは考えさせられる。

実話だったら
年齢だけはどんどんインクリメントされていくし
そのうち女性側がある日突然キレるケースを見かけるので
やりたいことがあるならもうちょっと対話してほしいな
とは思った。

そんな若い人には知っていてほしい残酷な真実が
コマとコマの間に散りばめられていて味わい深い

一方で、家で採れたナスは尊いし、
お金に糸目をつけずに好きなものを食うのも尊い。
毎日ギスギス生きながらやりたいことを諦め、子供育てて、毎日ギスギス生きるのもの人生だし幸せ。

本当は本気出せば、できる。
何も顧みずに仕事に打ち込みたい、
打ち込んだりもできる、
でも壊れないようにするためにブレーキをかける
目の前のアコの幸せも大事で精一杯生きている
実際の生活には
ここに子供が入り込んできたりする

複雑な1コマだ。

https://www.pixiv.net/artworks/119125967 よりお借りしました

ぼくが作ってきたこのハピネスは、アコにとって・・・という顔でもある。
アコは実は、独りでは生きていけないかもしれないタイプな気もする。
アコに愛想尽かされないように、ギリギリの期待値を狙うのも
人生としてはありかもしれないし、かつてたくさんのバトルを繰り広げてきたからこそ、こんな会話になるのかもしれない。
少なくとも限界まで働いたことがないと、
この境地には達しない。

本当に言いたいことが
「安穏とした生活>クリエイター」なら

「しつこくしてごめん〜」の後のコマ

こうは描かないし
この作品は完成していないと感じた

まあ僕がそう感じた、ってだけで、
読み手に問うているんだろうけど。


あと川本真琴、は世代がわかる。すき。
若い人にはわからないかもしれないけど。

Pixivでも公開されている。

感想も興味深い。
Twitterでの引用RPの多くは「素敵な生活」という感想なのだけど。

「こんなんでも結婚できるんだと思うと未婚の自分は鬱が進行するな…」とか、
「今の自分の状況に似てて辛い。私は許せない」というコメントはとても正直でいいと思う。是非とも溜め込まずに話し合ってみてほしいし、たぶん、クリエイターは曲げて何かを作らずに働いたりしないし、本当の天才なら何かしら、別のことをやりながらでも作りたいものを作るのだと思う。

それが家のナスでも、洗濯物でも。

ところで冒頭の女性二人みたいなキャラクターデザインは、
おそらく若い頃なんだろうな、ずっと「仕事辞めたい」を言い続けて作り続けているタイプ。

自分以外にも自分に照らし合わせて考えてしまう人がこんなにいてよかった。「これはフィクション」と思うも、「これは他人のハピネス」と思うも、勝手だとは思う、けれど。



作者は、藤井俊郎さん。アニメ「スーパーカブ」の監督さん。


いや、ちょっとまってよ、どうして、漫画の新人賞に応募してるの?

そういうところも含めて、この作品は、天才の暮らしぶりを描いた作品なんだろうな。

「この漫画家がすごい」というシリーズで扱う価値がある作家だと思います。考えさせられる作品をありがとうございます。恐ろしいぐらい天才。

最後に、自分の奥さんに「ありがとう」を書き残しておく。
僕は好きなことを続けられるパートナーをみつけて、幸せだ。

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