イカが好物になった日のこと~能登の思い出
人生のほとんどを関東で暮らしている。
子どもの頃は今ほど流通が整備されていなくて、太刀魚や生牡蠣なんてものは、産地に行かなければ食べられないものだった。
イカといえば、干物か冷凍されたものだった。
冷凍イカの見た目は消しゴムだった。
あの「MONO」のやつだ。
魚屋では生のイカも売られていたけれど、当のイカが「食べんの? いいよ無理しなくても」といじけて、目を背け、デロンとだらしなく寝そべるばかり、だらしないなぁ、しっかりしたらどうなのよ、と悪態のひとつも吐きたくなるザマで