【そういえば】神とラブレターと親不知。
◆【そういえば】について◆
二日酔いとか疲れが抜けないからと後回しにしがちだった歯医者さんに今日行ってきた。
出来て数年の綺麗なショッピングモールの一角にある白を基調とした清潔感のあふれる場所だ♪
院内綺麗だろうが受付のおねぇさんが可愛かろうが緊張はするんだけど…(*´Д`*)
診察中、目にはタオルがかけられてるでしょ?(大体そうよね?)
目を瞑ると音とか振動に意識が行ってしまうので何か別のことを考える…
で、
【そういえば】私が人生で唯一病院で暴れた(?)のが歯医者だったな。
と。
(お産3回してるけどその時は暴れなかったのよ?)
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20年以上前。10代だったよな。
この頃お世話になっていたのは徒歩圏内の地域密着、行くと知り合いもいるような小さな歯科医院。
ある日、女性医院長さんから
「あ~親不知、虫歯になってるので抜きましょう。
片方残していても意味ないので上下抜きましょう。
ちょっと変わった生え方なので口腔外科の紹介状を書きましょう。(ニッコリ)」
とさらりといわれたのだ。
うわー。親不知って抜くの痛いって聞くよね。
抜いた後、腫れたり熱出したりって…
こえーよ。行きたくねーよ…と
絶望感満載で、後日口腔外科を訪ねることに…
名前を呼ばれて診察室へ。
もう嫌で仕方ない、
だから絶不調な顔をして入るのよ。
「あ、調子悪い?じゃあ今日はやめておこうか?」
なーんて言われることを期待してさ。
(でもよく考えたらお医者さんは患者が絶不調な顔してるのなんて見慣れてるし、不調だから行くんだよね…馬鹿な期待をしたもんだよ。)
緊張と恐怖で脳内ぐるぐる状態の私に、デスクのカルテに視線を落としたままの中年男性がペンを走らせながら一言放った。
「ちょっとまって~ぇん。今ラブレタ~書いてるから~ん♪」
その瞬間脳内のぐるぐるしていた何かが一斉に整列し、冷静に(冷ややかに?)先生を見つめた。
そして、
ここは何か面白い返しとかするところ!?(そんなスキルない)
ノリ合わせていくべきなの!?(そもそも微妙なノリ)
先生は私に何を求めているといういの…!?(多分求めてない)
違うぐるぐるが発生しながら看護師さんに促され着席をした。
あーそっか、先生の持ちネタってやつね…(大変だな…)
紹介状を見て、レントゲン写真を見て、問診をして。
そこはごくごく普通の先生だった。
でもね「レーザーメス(だったかな?)で歯肉切り開いて抜くことになるので手術の同意書に記入してね。」って言われた瞬間は背中がヒヤッとしたよ…(書いたことなかったもん)
でもここまで来たら引き返せないし、引き返させてくれないよね?
(そう思っていたからこそ意外な言葉に反応してしまい暴れることになったんだけど…)
麻酔しまーす。
(親不知だからやっぱりすごい麻酔なのかと思ったけど普段の歯の治療で体験したことあるものと大差ないように感じた。うがいするときにしまりを失った口の横から水がこぼれるやつ。びしゃびしゃ。(涙))
じゃあ歯肉切っていきまーす。
(麻酔で感覚ないし、見えないし、痛くなきゃいいわ。とされるがまま。)
抜きますよ…。
(いよいよか。でもみんなが言うほどなの?麻酔は効いてるョ…?)
!?
ゴリッ!!ゴリリッ!
え。なに。体内(口内?)から今までに聞いたことがない音がするんだけど…
(痛くはない)
ふー。
と力を抜き呼吸を整える先生。
(根がしっかりしてるから重労働なのか…)
私の口や体にかかる(おさえる?)重さからも結構力が入っていることが分かった。
何度かそれらを繰り返していくうちに
!?!?!?!?(激痛キタ――(゚∀゚)――!!)
やっぱり痛いんか!!ですよねー!私も人の子だったよー!!
いてーよー!!マジやめて、意識が…!(とばなかった)
ゴリゴリ引っ張られながら、応戦するように
んぁ〃ぁああ〃ぁぁ〃ーーー(いーたーいー)と唸る。
(唸って勝てるもんじゃないし、むしろ叫びたいくらいだった)
そしたらね。先生ね。やさしいの。
「そっか…そんなに痛いか…じゃあ今日はやめておこうか…?」
ってね、ほんとにね、優しい声でいうのよ。
わかんない。このセリフがうれしくて美化してるだけかもしれないけど。
神がいた!ここにいた!くらいの気持ちになるのよ。なったのよ!
ちょっと前まで
ここまで来たら引き返させてくれないよね…
なんて思ってたからさ。
麻酔して、歯肉かっぴらいて途中まで抜いてんのに引き返せると思う方がおかしいんだけど。気づけよ(余裕なし)
神のやさしい声に
この痛みから解放されるのね…と体の力がふと抜けた瞬間よ。
(ここまで読んでりゃ想像ついたとは思うけど)
今までのゴリゴリとは比べられない勢いで
ブチィィッ!!!!
って先生引っこ抜いた!!
フンッ!って腹筋に力込めて引っこ抜いた!!
信じた神に(出会って小一時間)裏切られたぁぁぁ!!!
ぁあああああああぁぁぁ!!!
声にならない声を発して足をめっちゃばたつかせた。
蹴ってたらごめん…
(先生を蹴ろうとしたわけではないけど蹴ってたかもしれないし、その時は蹴りたかったかもしれない…)
やり切った感の先生と、涙目でプルプル震えて変な汗かいてる私…。
ケガも病気も特にない人生だった私はこの世にはこんなに痛いことがあるんだ…と初めて知る。
もっともっと痛いこともあるんだよね。っていうところまで考えが及ぶようにもなる。(ちょっと賢くなった。)
プルプル震えながら先生の話をきいてるんだけど、もうなんも頭に入ってこないの。日本語?なにしゃべってるの?理解できないんだけど。
そんな状態の私にいきなり意味の分かる言葉が降り注がれた。
「じゃあもう1本抜いちゃお~か♪」
後にその先生を知る人から、技術あるし面白くていい先生だよ。
と聞いた気がする。
うん。いい先生だと思う。
適切な処置だったと思うし、最後の一瞬で抜いてくれなければ抜いてる最中から暴れることにもなりかねなかった…
でも、ほんと、1日に2本は無理!!!!!!!!
(人殺しになりたくない。)
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