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パーフェクトフラットへのこだわり

はじめに

 noteで書いているので、天体写真のことを知らない方々も多いので、タイトル的には??だと思うのです。インスタグラムのフィルターで周辺だけが暗くしてノスタルジック感を強調できるようなものがありますが、まさにあれの逆の処理をするのです。
 そもそもレンズの特性として周辺が暗くなります。周辺減光といいます。そして、コンデジやスマホでは、レンズを交換することはないので、周辺減光のぐあいを数値化して、デジタルの力を使って、周辺だけが暗くなったのを明るく持ち上げています。それをフラット補正といいます。

 キヤノンのレンズとキヤノンの一眼レフカメラと純正レンズで天体写真を撮影するのであれば、Adobe のCameraRawのような現像ソフト側でRAWから現像する際に、周辺減光のプロファイルが公開されているのを利用してフラット補正を施すことができますが、ビクセンの反射望遠鏡とか、タカハシの屈折望遠鏡とかは、そんな便利なプロファイルは存在しないので、自分で画像処理をする必要があるのです。フラット補正をするためのフラットファイルを撮影する方法などはこちらに書いています。

 今回は、フラット補正が失敗すること(十分でないこと、完全じゃないこと)が発生していたので、原因究明までを書き残しておきました。

失敗の発覚

 最近、Sh2-263という対象を撮影していました。LRGB合成するので、Lフィルター(L画像)を10分露出で一晩、25枚撮影できたので、撮り増しする必要があるかを確認するために、いつものフローでL画像の合成処理まで進めてみました。。。。

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一見、問題がないように思うのですが、、、

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 このように四隅が少しだけ白く被った感じになっています。いわゆるフラット補正の過補正というやつですね。これくらいのカブリなら後でPhotoshopでチャチャっと修正すればいいんですが、やっぱりパーフェクトフラットを求めたくなって、調査開始です。

フラットファイルを見直してみる

 そういえば、今回利用したのは、先日フラットファイルを取り直したところだったので、フラットファイルの元画像を調べてみました。

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 12月4日に撮影したフラットファイルと12月8日に撮影していたフラットファイルが混在している状況です。12月4日は時間がなかったので途中まで撮影して、自宅に戻って12月8日の16時(夕刻)にリモートで撮影したフラットでした。

 「もしかしたら夕刻に撮影すると、光漏れが影響するのでは」という仮説を立てました。夕刻でもスライディングルーフにちょっとだけ外の光が漏れこんでいるからです。露出時間2秒弱という短時間でも外の光を拾って、若干のグラデーションを与えているのかもしれないとい仮説です。それを検証するために12月4日のフラットファイルだけを合成して、マスターフラットを作成しました。Pixinsightでマスターフラットを作成する俺設定です。

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 そして、夕刻に撮影したフラット画像を除いてマスターフラットを作成して、再度、フラット補正をかましたのがこちらです。

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 完璧!四隅にあったカブリがなくなりました!左が過補正、右がパーフェクトです。気分スッキリです。

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新たなる問題

 今回、別日に撮影したフラット画像を使わずにパーフェクトフラットが実現できたのですが、それだと15枚しか合成に利用していませんので、15枚で作成したマスターフラット画像のクオリティ(ノイズなど)のフラット補正への影響が心配になります。したがって、リモート撮影でフラット画像を再撮影する必要があります。

 夜にリモート観測所の扉を閉めてFlatを撮影してみました。。カメラの冷却温度も、ピントも、露出時間も合わせました。露出時間はFlatダークと同じ時間です。

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 残念!!95点でした。四隅が若干過補正になっていました。。。ムムム何がいけないのか分からなくなってしまってます。再現性がないですね。

まとめ

 まったく、再現性のないパーフェクトフラットという結果です。でも、こうやって、パーフェクトフラットを追い求めているということを理解してほしいなあと。

 PixinsightでABEやDBEで補正しちゃえばいいのですが、なんか元素材は大事にしたくですね。

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