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オリオン座のラズベリー星雲

はじめに

 オリオン座といえば、暗いところなら肉眼でもみえるオリオン大星雲や、馬頭星雲が有名ですし人気ですが、オリオン座の左肩あたりに巨大なエンゼルフィッシュ星雲という領域がございまして、そのエンゼルフィッシュの口元に粒があるので、「エンゼルフィッシュの餌」とかと国内のマニアには呼ばれる対象があります。

 Sh2-263という対象で、海外では「ラズベリー星雲」と呼ばれる、赤と青が印象の反射星雲です。今回はその対象を撮影してみました。

構図

 まずは位置関係。オリオンさんはこちらを向いているので左肩にあります。

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 いろんな配置を検討したのですが、どれもこれも中途半端な構図になってしまうので、ここはあえて日の丸構図に決定しています。

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撮影

 新月期の月が出てくるまでLRGBを撮影し、月がでてからHaを撮影するという計画を実行しました。富士山の西側の標高1200mの麓は、この季節になるとSCWで曇っていても、それは低空がモヤっているだけで我々の観測所は晴れのことが多いのです。

[Technical Data]
Main Object Name: Sh2-265
Date: 2021/12/04, 2021/12/10, 2021/12/12
Location: Fujigane Remote Observatry, Yamanashi, Japan
Scope: Astro System Austria 8N + 3“ Wynne Corrector
Focal Length: 730mm
F-Ratios: 3.6
Mount: iOptron CEM60EC
Auto-Guide: ASI120MM, KOWA LM100JC, PHD2 2.6.10 
Camera: Moravian G3-16200
Filter: 
 Astrodon LRGB Gen2 E-Series Tru-Balance Filters
Exposure: 
 L:  1x1 600sec x 23 -20C
 R:  2x2 300sec x 12 -20C
 G:  2x2 300sec x 11 -20C
 B:  2x2 300sec x 12 -20C
Imaging SoftWare: Sequence Generator Pro
Processing: PixInsight 1.8.8, Photoshop 22.2

 トータル、405分、約7時間の露出時間となります。Haも3時間以上撮影したのですが、HaRGB合成したときに、与えるインパクトが強すぎたので、最終的にはHaは捨てました。

仕上がりの画像

 左上が赤カブリしたようにみえるのですが、これはエンゼルフィッシュ星雲がはみ出してきているからです。右下にも赤い領域があるのでカブリではないです。

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 基本的に宇宙の写真なので、写真をみたときに吸い込まれる感じを抱けることを大切にしています。それを定量的に的確に表現することが難しいので、定性的に書くと、、、

①星表現
星を一番大切にしよう。
明るい星がちゃんと輝いているのか?
芯がちゃんと白飛びしているのか?
小さい星はちゃんと暗く表現されているのか?
それらのためには、
各処理で星を保護すること、(SterNetでマスクづくり)
星だけ後で処理してあげること、(輝度、彩度調整)
変なノイズ処理で色情報を消さないこと

②ラズベリー星雲の表現
星雲の明るさと星の明るさに、きちんと差ができているのか?
明るさによる表現よりも色による表現ができているのか?
RGBのGをちゃんと使った色表現にしているのか?

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③分子雲の表現
分子雲はみんな好きだけど、モクモク感を増強していないか?
星よりも明るくなってないか?
星雲より明るくなっていないか?
分子雲の後ろにある星たちは、ちゃんと暗くなっているのか?

 そんなところを気をつけて処理をしています。

さいごに

 今回、仕上げの方向性を一瞬見失ってしまって、フォロアーの方々に助けていただきました。豊富な色情報を使って余裕で海外作品のようなコテコテな表現にすることもできたのですが、結局は星雲部分だけをコテコテ方向にもっていきました。

 みなさん、いろいろとありがとうございます!悩んだ時には、またいろいろと相談しますね。

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近江商人
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