幡野広志さんのワークショップに参加した
2023年9月9日、幡野広志さんのワークショップ「いい写真は誰でも撮れる」に参加した。
参加できることが決まり、清水の舞台から飛び降りる勢いで、カメラとレンズを買い替え、ノートパソコンを購入した。
特にこだわったのは、レンズだ。
目の前にあるごはんも、遠くにいる野鳥も撮りたいので、その両方を叶えてくれそうなレンズが欲しかった。
レンズの長さが、みょーんと伸びたり縮んだりする、ズームレンズというやつだ。
YouTubeを見たり、ネットのレビューを読んだり、ヨドバシカメラの店員さんに相談したりして、完璧なズームレンズを手に入れた。
しかし幡野さんはそれを手に取り、
「あー。ズームレンズは良くないですね!」
と明るくおっしゃった。
「売っちゃっていいんじゃないかな」と。
上手い写真を構成する要素のひとつに、被写体との距離がある。
レンズの焦点距離と、被写体との距離を、撮影者が自分で考えて撮る必要がある。
上手い写真には、きちんとした知識と技術が必要なのだ。
でも知識や技術がなくたって、いい写真は撮ることができる。
上手くなろうとしなくていい。
「下手だけどいい写真」を撮り続けていくことが大事なのだと、幡野さんはおっしゃった。
ワークショップに参加する前日、井の頭自然文化公園に行った。
被写体との距離を全く考えず、むやみやたらにレンズを伸ばしたり縮めたりしながら、動物たちの写真を撮りまくっていた。
私が夢中になって見ていたのは、ファインダーに映る彼らの姿だった。
二羽のフクロウがバサバサバサッ!!と激しい羽音立て逃げるまで、距離が近過ぎることに気づかなかった。
被写体にストレスを与えないこと。
敬意を払うこと。
誰のための写真なのか、よく考えること。
幡野さんの言葉を聞いて、警戒心と恐怖に満ちたフクロウたちの目を思い出し、心が痛んだ。
自分のことしか考えていなかったと反省した。
もう二度と伸びたり縮んだりできぬよう、レンズをテープで固定した。
その後実際に撮った写真を、パソコンに移し、現像するという作業にとても苦戦した。
幡野さんのように料理に例えると「にんじんを食べやすい大きさに切って、フライパンで炒めてください」というレベルの指示が、全く理解できなかった。
真っ新の包丁を目の前にして「えっと・・・にんじんは何で切ればいいんですか?」という状態だった。
パソコンの勉強、頑張ります。
東京から大阪に帰る新幹線の中で、私はいつもに増してぽーっとしていた。
今まで感じたことのない、静かな充実感と幸福感に包まれていた。
好きな被写体を、好きな場所で撮ると、好きな写真になる。
「好き」を重ねていく。
下手だけどいい写真が、誰かの宝物になる。
写真を撮ること。
文章を書くこと。
自分の人生を生きること。
全てがとても楽しいことだと思えたから、このnoteに残していきたい。
忘れられない一日になりました。
幡野さん、スタッフの皆さん、参加者の皆さん、本当にありがとうございました。