「AIに思考なんてない。言葉を紡いでるだけ」は解像度が低いかも?
AIは、膨大なデータから単語の組み合わせや文法規則を学習し、それらを基に文章を生成し、あたかも思考しているかのように振る舞います。
しかし、AIは単語の意味や概念を理解しているわけではなく、単語をベクトルとして表現し、紐付きの強いよく一緒に使われる言葉を並べているだけに過ぎません。
人間の経験や感情、文化的な背景といった要素を理解していないのです。
本当にそうでしょうか?
人間は、新しい単語に出会うと、その周辺の単語から意味を推測し、仮説を立てます。そして、その単語を実際に使っていく中で、意味を理解していく。辞書を調べて覚えた言葉なんて微々たるもんだと思います。
AIの言語ベクトルは分布仮説に基づいて言葉を紡ぎます。先ほども述べたように、単語の意味は、その単語がどのような文脈で、どのような単語と一緒に使われるかによって決まるという考え方です。
これは、人間の語彙習得における「周辺の単語・使われ方から意味を推測する」というプロセスと同じではないでしょうか?
あなたは「干す」と「乾かす」がどう違うのか説明できますか?
単語の意味の違いが何なのかってのを考え抜いたちょっと面白い記事があります。
以下の記事では「干す」と「乾かす」はどう違うのか?ってことを全4回にわたって
書かれています。
記事にも書かれているヒントを記載しておきます
「布団を干す」と言いますが、「乾かす」とは普通は言いませんね。そして、布団は、濡れていなくても、「湿気がある」だけでも干します。
「髪を乾かす」と言いますが、「干す」とは言いませんね。
ペンキや絵の具等、塗料を塗ったばかりの長椅子、画板、画布等については、たとえ自然の作用を利用していたとしても、「干す」とは言わず、「乾かす」と言います。
濡れた衣服を脱がずに「自然に乾燥する」のを待つことを「干す」とは言わない。「(着たままで)乾かす」と言う。脱いだ衣服であれば、洗わずに絞って広げて吊るすなどしただけでも「干す」と言えるが「乾かす」とも言える。
ヒントを見てあなたはどのように考えましたか?
「干す」と「乾かす」の単語がどのような文脈で、どのような単語と一緒に使われるかを考えたんじゃないですか?それはAIの言語ベクトルのプロセスそのものですよね。
前提として、AIと人間では学習方法が全く違うものだと思います。
AIは、ほぼ無限といってもいいようなレベルでテキストを学習し、今のレベルになっていますが、子供などは比較すれば極端に少ない学習量で結構いい感じの回答を出せます。
この違いは視覚や音や匂いなど、五感の差かもしれません。テキストだけの学習しかできないLLMと言われるAIの限界がそこにあるのかもしれません。
しかし、人間は長い年月をかけて自分の目で見た景色や匂い・感覚、身体で感じとった心情まで全部を言語で表現してきました。文字だけの小説を読んで声を感じ、風景を連想させ、感情すら文字から受け取ることができます。
もしかしたらAiと呼ばれる言語モデルはその言語を通して人間の見てる世界をある程度理解できているかもしれません。
重要なのは「干す」と「乾かす」の違いを説明できない人でも、日常で言葉としては適切に使えているということです。そう。意味の明確な理解がなくても適切に言葉を扱えるんです。
で、あれば言語を通して世界をある程度理解しているAIも言葉の上では人と同じように考え使えているといっても良いかもしれません。
ちなみに、「干す」と「乾かす」の違いについて、
私は 中身を乾かすか / 表面を乾かすか という解釈に至りました。
布団は濡れていなくても、中の湿気を乾かすために干す。
髪は表面を乾かす。
ペンキなども表面を乾かす。
衣類は着ていれば中身があるので、乾かすだが、脱いで厚みがなくなると中身という概念が消えて、干すでも乾かすでも両方使える。
あなたの答えは何ですか?
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