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【VHS発掘⑥】理想のママを手に入れるためなら何だってするよ... 母性に飢えたサイコパス少年が目論む稚拙で残酷な家族計画『ペーパーボーイ(1994)』

 結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。(人ω・*)
 トランプの数あるゲームルールの中で響きが好きなのは"殺しの七並べ"、O次郎です。

コレだったっけ?
ゲームボーイ本体・ソフト・通信ケーブルを人数分用意すれば多人数プレイ出来るけど、
"そもそも実際のトランプ一組用意すれば事足りるやん…”っていうオチのためのようなソフト。
有野課長にもツッこまれてたなぁ。

 今回は、VHSでだけ観られる傑作映画の発掘企画の第六弾『ペーパーボーイ(1994)』をご紹介しましょう。
 きっかけはメルカリで以前、VHSコレクターの方が"傑作ホラーセット"として出品されていたものをポチってみて、いざ観てみたらなかなかどうして面白かったので是非ご紹介を、という次第。珍しくというかなんというか、特に監督だったりキャストだったりで興味を持ったわけでもなく、"知る人ぞ知る作品"みたいなウワサ話で耳にしたり目にしたりしていたワケでもなく、事前情報無しで視聴してみての感想でございます。
 カルト映画好き、ホラー映画好き、子どもが怖い映画好きな方々、ちょっくら読んでいっていただければ之幸いでございます。
 それでは・・・・・・・・・・・・トランプマン!!!

『なるほど!ザ・ワールド』観てたんだけど、そこまで強い記憶無いなぁ・・・。
当時クイズ番組結構乱立してたというか、
クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』あたりと印象がごっちゃになってる。
そしてバンプレストのロゴも思い出すよネ。(。◕‿◕。)



Ⅰ. 作品概要

※日本語版ページが無いので翻訳等でご覧ください。

 
 「夫婦と子供の三人家族がいて、夫が亡くなってしまいます。その夫の葬式に参列していた男に未亡人となった妻が一目惚れしてしまいます。
数日後、妻は自分の子供を殺してしまうのですが、一体なぜでしょう?」

普通の人の回答 「再婚するのに息子が邪魔になったから」
嗜虐嗜好の強い人の回答 「その息子の葬式でまたその人に会えるから」

 都市伝説としてよく語られる話で、どこかで耳にされたことがあると思います。
 テレ東の『やりすぎ都市伝説』で島田秀平さんが話されていたのを覚えていますが、僕は初代プレステサウンドノベルゲーム『夜想曲』の中での小咄(たしか通りすがりの女子高生同士の会話だったかな)で最初に知ったように思います。
 本作の冒頭シーンを見てこの話を思い出しましたが、全編通して観て主人公の少年はまさにこの類の回答をする人種だと思いました。

 生来倫理観に問題の有った少年が、彼を真人間に矯正しようと厳しく育てた実母を故殺してしまい、さらには仕事で忙しい父親が彼に向き合えなかったことで病的に愛に飢え、その果てに自分の"理想の母親"を手に入れようと状況を整えていく…。

 年老いた母親の死をきっかけに都会から実家へと戻ってきたシングルマザーとその幼い娘が、その隣家に住む少年が次第に顕わにするその狂気に苛まれていくサイコスリラー映画ですが、渦中のサイコパス少年が完璧な犯罪者ではなく、その犯行過程で子どもらしい詰めの甘さと計算高い狡猾さの両方を見せている点が絶妙な少年期のリアリティーを醸し出している点が本作の白眉です。


Ⅱ. 監督について

 監督のダグラス=ジャクソンは興味深いことにというかアレなことにというか同じようなストーカー映画ばっかり撮っている監督さんのようです…。
 以下に他の監督作品を軽く並べてみます。

『ウィスパーズ』(1989)
女性作家が自宅で見ず知らずの男に襲われ、正当防衛で射殺。
しかしながら死んだはずの彼が再び現れ、彼が米国随一の地主の跡取りだったことが判明し,,,
『マニアック・コレクター』(1992)
離婚したてて金欠の女性がルームメイトに選んだ男性は実は恐るべきストーカーで,,,
※余談ながら本作VHSも入手済みなので機会があればあらためて記事書きます。
『欲望の足音』(1994)
ひょんな事から知りあった男性に生活の全てを監視され、
周りの人間を次々と殺されてゆく女性の恐怖を描く,,,
『同居人/背中の微かな笑い声』(1997)
株ブローカーの主人公が右腕と見込んで自宅に招き入れた男は
実は裏では彼の家庭を陥れようと,,,

 一貫して同じテーマを追求し続けた映画監督、というと親子関係を描き続けた小津安二郎さんを思い浮かべますが題材が違うとこうも・・・。(´・ω・`)


Ⅲ. おしゃべり七色・ショッキングなシーンいろいろ

冒頭から娘と孫からのビデオレターを観ていた老婆をいきなり窒息死させる少年!!
直後に彼女が食べていたクッキーをいただいて「ごちそうさま」の一言も…
〈"理想のママ計画"の犠牲第一号♰〉
そこからのタイトルバック。
"ペーパーボーイ"って新聞配達の少年のことなのね・・・そのまんまやんか。
ここでようやくそのご尊顔が拝めるサイコパスキラー少年ジョニー。
その視線の先には・・・
近所のお姉さんブレンダ。
彼氏と遊び歩いて深夜にコッソリ帰宅が多く、外のハシゴから直接部屋に入るのが癖に。
※コレが何気無い伏線に…
都会で教師をしつつ幼い娘キャミ―を育てるシングルマザーのメリッサ。
旧友からの電話で母親の訃報を知って思わず絶句。
・・・まさか隣人の少年ジョニーに殺されたとは露とも知らずに。
実家に戻った彼女と少年のファーストコンタクト。
爽やかさを演出するのに余念がありません!
娘のキャミ―もしっかり手懐ける。
"将を射んとする者はまず馬を射よ"ってか。(*`゜w゜´*)
そしてすかさず、彼女の家に合鍵で忍び込んで盗聴器をセ~ッット!
※生前の老婆と仲良くして取り入って合鍵を手に入れたと思われます。
そしてもちろん盗み聞きだけにとどまらず・・・
望遠鏡で窃視!!

"窃視~ 親方と申すは~♪"…なんつって( ´  ∀`)
母の葬式に来てくれた元カレのブライアンからのデートの誘いに喜ぶメリッサだったが・・・
当然"ママを横取りされた"と大激怒でバーベキューの皿を叩き割るジョニー!!
亡くなった母親の影に怯えるジョニー・・・
そんなある夜、ブライアンとデートするために近所のブレンダに
キャミ―のベビーシッターを頼むが、主の不在をいいことにキャミ―を寝かしつけて
男を連れ込むブレンダ。そしてそれを外から目撃してしまったジョニー。
自分の狼藉を棚に上げてメリッサへ覗かれたことを密告のブレンダと、
"理想のママ計画"が破綻するかと焦るジョニー。
翌日、メリッサからカマをかけられてうっかりボロが出るジョニー。
※このへんのふいに出る子どもっぽさがイイ!
こっそりドライバーでハシゴのネジを緩められていたことで高所から転落するブレンダ。
死にはしなかったものの半身不随に・・・。
〈"理想のママ計画"の犠牲第二号♰♰〉
「計画通り…」(夜神夜みたいなね)
"ママの香り"で英気を養う…の巻。
早朝に勝手に庭に入って草刈正雄なジョニーと、それを叱るメリッサ。
※またまた上手い稚気とサイコパスの発露。
亡くなった母親の影に怯えるジョニー・・・Part.2
(゜Д゜)
(✧≖‿ゝ≖)
"恋敵"ブライアンに"ママ"と"妹"を連れ去られてご立腹なご様子。
近隣住民の中でただ一人、その幼少期からジョニーの危険性を認識していたローズモント婦人。
一世一代の口説き文句!! 対するは・・・
決定的な拒絶!!!
母性に飢えるジョニーの心情を父親に訴えるメリッサ。
"カリフォルニアに転勤だ!"と伝える父親だったが・・・
父親がプレゼントしたゴルフクラブで即座に殺害するジョニー、の巻。(・ω・)
〈"理想のママ計画"の犠牲第三号♰♰♰〉
父の会社に"肺炎なので休みます"と偽装工作。
※稚拙な言い訳なのがまたイイ。
取り敢えず地下室に冷凍保存される父。
"汚れたママ"と"ママを汚す男"・・・
ジョニーの幻に夢で魘されるメリッサ。
ロズモンド夫人に生前の母親がジョニーを虐待していたことを証言してもらい、
ジョニーを里子に出そうとするメリッサの画策
を知ってしまうジョニーの憤怒。
明確に邪魔な存在となったロズモンド夫人。
彼女は喘息のために吸入器が欠かせなかったがそれを奪い・・・
彼女の愛犬を閉じ込めたズタ袋(に見せかけて生肉を入れてあるだけ)をバットで殴りつける様を
見せつけて彼女をショック死させる
頭脳プレイが炸裂!!
〈"理想のママ計画"の犠牲第四号♰♰♰♰〉
勢いそのままに"ママ"を汚した恋敵ブライアンも職場の自動車修理工場まで乗り込んで闇討ちに…
〈"理想のママ計画"の犠牲第五号♰♰♰♰♰〉
そして愛娘キャミ―を人質にメリッサを自宅に呼びつけて・・・
"鳴かぬなら 殺してしまえ 不如帰" 方式、の巻。\(^o^)/
地下室でジョニーの父親の死体に驚愕するメリッサ。
※ここでようやく、高齢の母の死もジョニーの仕業だと気付きます・・・遅っそいなぁ。
逃げ回るメリッサと追い駆けるジョニーだったが、
駆け付けたパトカーに気付いて咄嗟に"自分はメリッサに襲われ、父も殺された"と嘯くジョニー。
サイコパスの機転の速さゴイスー!!!(ノ'ω')ノ
しかしながら・・・
実は息のあったブライアンが通報していて彼がジョニーの凶行を訴えたのです。
連れ去られながら「子どもを逮捕出来るもんか!!」と絶叫するジョニーでした、とさ。
めでたし、めでたし・・・?



Ⅳ. おしまいに

 というわけで今回のVHSレア作品企画は『ペーパーボーイ』(1994)でした。このシリーズは細部も紹介しようとついつい長くなっちゃうのよね…。
 ともあれ、彼の凶行はなんとか止められましたが、バッドエンド好きとしてはメリッサがそのまま逮捕されてジョニーが悠々と"新たな理想のママ"を探し始めておしまい・・・という展開も見てみたかったところです。
 本作はカナダ映画ですが、ハリウッド映画にしろあちら方面ではあまりピカレスクロマンは好まれないのかもしれませんね。
 最新映画に通いつつ、サブスクサービスもいくつか併用しつつ、それでもそこから漏れてる古い未円盤化カルト作品を追い求めちゃう悲しいサガ…。

 VHS作品ネタはまたいろいろタマが有るので、最新作の話の合間合間にまた書いていこうと思います。
 今回はこのへんにて。
 それでは・・・・・・どうぞよしなに。






これなんかはハリウッド映画の中でもモロにピカレスクロマンというか胸糞作品か…。


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O次郎(平日はサラリーマン、週末はアマチュア劇団員)
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