
私が太陽光発電のアドバイスをできる人になるまでの話
これは私が太陽光発電のアドバイスをできる人になるためのシミュレーション記事です。
私がどうして太陽光発電のシミュレーションをしてみようと思ったのか?
WEBサイトで簡単にできる太陽光発電シミュレーションの問題点とは?
試しに行ったシミュレーションの結果は?
(シミュレーションまでの話が長いので、結果だけ知りたい方は5.まで飛ばしてください)
それでは、最後まで読んで頂ければ嬉しいです。
1.どうして太陽光発電のシミュレーションをしようと思った?
東京都が新築の建築物に太陽光パネルの設置を義務化する方針で、国としても2030年までに新築の60%に太陽光パネルの設置を目標としているとのこと。
個人的な太陽光発電への意見は置いておいて、太陽光パネルの設置の方向性で日本の建築業界は進んでいくんだろうと思います。
この方向性になることで、住宅でいくつか気になっていることして
①建て主さんの負担が増えてしまうこと
②太陽光パネルの設置の義務化を理由にした売り込みの増加
があります。
①は住宅ローンで解決してもらうとして、②に関しては何かしら対策しないといけないのではないかなと思っています。
発電に適した地域・敷地で、電気代が劇的に安くなるのであれば良いのですが、
例えば周りに建物が多かったり、雪が多くて冬に発電に適さないような地域でも「○○県の住宅だと年間で電気代が△△円お得になりますよ」というような営業が来たり、チラシが届いたりなどの売り込みが必ず増えるだろうなと思います。
そんなことで発電に適さない住宅なのに太陽光パネルの設置してしまって損をするような人が出てこないように、私のできることとして発電量のシミュレーションをしてあげることなのかなと思い、試しにシミュレーションをしてみました。
方向性がある程度決まっているなら、太陽光発電で損をしてしまったという人が少しでも少なくなるように、太陽光発電のアドバイスをできる人になろうかなと思って太陽光発電のシミュレーションを始めました。
2.WEBサイトでできる太陽光発電のシミュレーションについて
太陽光発電のシミュレーションは、簡単にシミュレーションできるサイトがいくつかあります。
そのようなシミュレーションサイトの結果が、営業資料の根拠として示されることでしょう。
でも、簡単にシミュレーションできるサイトは、
気象データはブラックボックス
どこのメーカーの太陽光パネルを想定しているのかわからない
周辺の建物影響も考えられていない
など完全に信用できるデータかと聞かれるとはてなマークがつくようなデータです。
3.オーファクトリーの太陽光発電のシミュレーション
私としては、設置をするなら少しでも現実に近い状況での結果を知ったうえで判断できる状態にしないといけないなと思っています。
前提条件にブラックボックスが多いシミュレーションの結果を信用して太陽光パネルをつけますか?と聞きたいです。
オーファクトリーのシミュレーションでは、
気象データはどこのいつのデータなのかオープンに
発電量が多い年と少ない年比較できるようにする
太陽光パネルのメーカーごとに損失係数やパネル容量を設定
影響がありそうな周辺建物を考慮
は考慮したいと思っています。
4.発電量のシミュレーションの計算
まず、年間発電量の計算式は
年間発電量(Ep)=1日あたりの平均日射量(H)×システムの容量(P)×損失係数(K)×365÷1
になっています。
損失係数(K)は、各メーカーの太陽光パネルごと、季節ごとに異なります。(だからブラックボックスでいいの?と思うわけです)
システム容量(P)については、一般家庭では3~5kWの太陽光発電システムが主流
1日あたりの平均日射量(H)は、シミュレーションで1日ごとに日射量を算出した値を使います。
なので
年間発電量(Ep)=(シミュレーションで算出する1/1の日射量(H)×システムの容量(P)×損失係数(K))+(シミュレーションで算出する1/2の日射量(H)×システムの容量(P)×損失係数(K))+…+(シミュレーションで算出する12/31の日射量(H)×システムの容量(P)×損失係数(K))
で計算します。
電気代は1kwh=27円
売電価格は1kwh=19円
で電気代を計算します。
5.発電量のシミュレーションをしてみます
それでは試しに周辺に建物がある住宅で発電量のシミュレーションをしてみます。
WEBサイトでできる発電量のシミュレーションとの比較もしてみます。
まず、条件として
①場所は東京
②システム容量は5kw
③屋根の勾配は20°
④対象の屋根の方位は南
----------------WEBサイトの条件設定はここまで-------------------
⑤気象データは2018年のデータ
⑥太陽光パネルの損失係数は、とあるメーカーのものを参考に春秋・夏・冬に分けて設定
⑦周辺建物を考慮する(図に示す白の建物)
⑧周辺建物有無の2パターン × 平屋建て・2階建ての2パターンの計4パターンで計算(下図に示す)
以上の条件のもとでシミュレーションしてみます。
6.発電量のシミュレーション結果
5.の条件でシミュレーションした結果を以下に示す。
上のグラフは月ごとの発電量のグラフです。
電気の使用量は環境省の資料を参考に東京の世帯電気使用量を算出しました。
まず、某発電シミュレーションサイトの結果とオーファクトリーのシミュレーション結果には少し誤差があります。
これは前提の気象条件が異なっているからだと思います。2.で書いたようにWEBのシミュレーションはいつのデータを使っているのかわからないので結果は違ってきます。
個人的には良い年、悪い年の結果をみながら「悪くてもこのくらい発電できるんですね」「あの年は良く晴れたから、こんなに発電してるんですね」などとコミュニケーションをとれた方がいいのかなと思っています。
周辺敷地の有無、平屋建て・二階建てで発電量を比較した結果です。
年間の発電量でみると、この条件の違いでも結果は変わってきます。
7.電気代のシミュレーション結果
電気代は以下の計算でみてみます
月間の収支=月毎の発電量[kwh] - 東京の世帯電気使用量[kwh]
月間の収支がマイナスの時(使用量の方が多い) : 電気代=月間の収支×27円
月間の収支がプラスの時(発電量の方が多い) : 電気代=月間の収支×19円
やはり、冬期期間は発電量が上回るのは厳しいですね。
周辺敷地の有無、平屋建て・二階建てで発電量を比較した結果をみると
平屋の場合は、周辺建物の違いで年間6000円程度変わってきそうです。
8.回収のシミュレーション
発電した電気をすべて売電するとして、何年で初期費用が回収できるのか計算してみました。
初期費用 : 100万円
20年目メンテナンス : 20万円
大体12~13年目で初期費用が回収できる計算です。
ですが、これは2021年の売電価格1kwh=19円で計算した場合です。
売電価格は年々落ちていることを考えると、今回のケースのような住宅は15年くらい回収に時間がかかるかもしれません。
あくまでも2018年の1年の結果だけで回収のシミュレーションをしたので、本来はもう少し違ってくるのかなと思っています。
9.シミュレーションをしてみて思ったこと
シミュレーションソフトとしては温度のシミュレーションをしているソフトと同じものを使いました。
必要なものは屋根の情報と日射量の結果だけなので、温度のシミュレーションに比べるとかなりやりやすいシミュレーションです。
だからこそ前提条件になる気象データやパネルの情報はかなり重要かなと思います。気象データがオープンな状態じゃないと結果の説明ができないですし、パネルの情報が無いと代替案の提案ができないです。
個人的にはシミュレーションの結果を基に話し合って最終的な決定をするような流れで決めていきたいので、WEBで簡単にできるシミュレーションは合ってないかなと思いました。
10.最後に
長々と書きましたが、これは私が太陽光発電のアドバイスをできる人として活動するためにやってみたことです。
確実に言えることは、できるだけ実際の状況に近いモデルで計算したほうが良いですよということです。
初期費用回収の年数や発電量が変わってくるので、後々こんなはずじゃなかったとなることが無いように。
私としては、太陽光パネル設置の方向性は抗えないと思うので、それならその方向でできるだけ多くの人がハッピーになるように、そのための活動として太陽光発電のアドバイスをできる人を考えていますという感じです。