温度測定で悲喜こもごも
新建ハウジングの6/10号を読んでいると住宅の温度測定についての記事があったので、感想を書きたいと思います。
□工務店の温度測定についての印象
高断熱化とは一線を画して、温度測定をしてその信頼感で顧客をつかむ工務店も出てきているとのこと。
結局は実測でしか、その住宅の本当の温熱環境はわからないわけですし、良い取り組みなんじゃないかなと思っています。
温度測定とかシミュレーションをするのが、市民権を得てほしいなと思っていたので、ちょっとずつ近づいていっているなーという気はしています。
この方向性で住宅を作る工務店が増えてくれれば嬉しいです。応援してます!!
□気になっていること
とはいえ、温度測定やシミュレーションを仕事にしている身としては気になる点がいくつか
①温度測定は簡単にできる
この一言って危ういなと思っています。
確かに、温度を測ること自体は簡単です。だって、温度計を置けばいいだけですから。
でもね、温度計測にもノウハウは必要なんですよ。
工務店のおっちゃんが、温度測りました!みたいな投稿をしているのをみて
あー、悪いところに温度計置いたな、測る時期が悪いなーっていうデータを何度もみたことがあります。
簡単にできるけど、有効なデータをとることは簡単じゃないって言いたいです。
とりあえず、測らせて下さいとは言いませんが、計画に協力くらいはさせてください!って思います。
②シミュレーションは実情に合わない
実際に生活をしていたら、どの部屋に何人いるとか、何時にカーテンを閉めたとか、何時にエアコンをつけたとか条件は複雑です。
その実際の生活と単純な条件でやったシミュレーションを比べて、「シミュレーションは実情に合わない」と言うのはどうなのかな?と思います。
そもそも外部環境は後からじゃないと合わせられないので、完璧に合わせることはほぼ不可能です。似た条件の時にどうなっているのか、傾向で判断することしかできません。
それに、シミュレーションだって条件を細かく設定していったら結果は合ってきます。そんな言い方をして切り捨てないでほしい。
どうも温度測定を正当化するためにシミュレーションを蹴落としている印象さえ感じます。
どっちも必要な技術なんだから、どっちかを持ち上げてどっちかを蹴落とすことはしないでほしいなと思います。
□さいごに
思うところは多少ありますが、方向性としてはいいと思います。
個人的には、結局温度なんじゃないですかね?と思っているところがあるので、 断熱性能や気密性能以外に、温度で話す工務店があってもいいんじゃないかと思います。
だって、エアコンをつけるのも窓を開けるのも、結局は温度がトリガーになることが多いんだから、温度でしょって思うわけです。
だから、住宅の温度測定に関しては、ものすごく好意を持っています。
ただ、簡単にできると思わないで、ノウハウを持っている人にアドバイス
くらいはもらいましょうって思うって話です。
あと、自分たちの温度測定を正当化するロジックのために、シミュレーションを蹴落とさないでくださいって思っています。
っていう話を吐き出したくて書きました。
以上!