
住宅の断熱等級の変化について思うこと
国土交通省の住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設の資料をみると住宅の断熱等級が4段階から5段階に引き上げられるとのこと。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001424534.pdf
その後、住宅の断熱等級が今の4段階から7段階に増える方針とのニュースも出てきました。
今までは現状の省エネ基準が断熱等級4で最高の等級でした。(東京でいうとUA値0.87、青森でいうとUA値0.56)
その他にもηA値など基準はあるのですが、今回はUA値だけで話をします。
具体的に5段階目はどのくらいのUA値になるのかというと、ゼロエネルギー住宅の基準のZEH基準が断熱等級5になります。
断熱等級3~5のUA値の表を下に載せます。
東京でいうと0.87 → 0.6
青森でいうと0.56 → 0.5
が最高の断熱等級になるわけです。
なんのことなのかよくわからないという方は、これからは東京に最高等級の住宅を建てようと思うと、2021年現在の青森や盛岡に建つ住宅レベルの断熱性能が必要になると思ってください(0.6と0.56なのでちょっと違いますが。)
断熱等級が変わるとなにが起こるのか。
「うちでは最高の断熱等級で住宅を作っています」というふれこみの意味合いが変わってくることが一番重要かなと個人的には思っています。
今までは、最高の断熱等級 → 断熱等級4だったものが
最高の断熱等級 → 断熱等級5になるわけで、単純に等級の天井が上がるわけですから、「最高の断熱等級」というふれこみでより断熱性能の高い住宅ができるということになります。(今のところ断熱等級5までで考えます)
おそらく大手のハウスメーカーは、等級の増えることで基準の断熱性能を上げることになるでしょう。
大手ハウスメーカーが断熱基準を引き上げると必然的に全体的な住宅の断熱性能は上がるわけですし、それは良いことだと思います。
そこまでの断熱性能の住宅を建てたことがないという工務店も、断熱等級の天井が上がるだけで、底が上がるわけではないので、今のままでもいいわけです。
まだ、断熱等級5が義務化されたわけではないと思いますし、説明義務もまだないと思いますので、必ずしも今すぐ断熱等級5にしなくてもいいと思います。
断熱等級が上がったからと言って、建て主さんの断熱性能への要求が上がるわけではないですので、工務店は何年かかけてゆっくり考えていけばいいと思います。
とにかく、住宅の断熱性能の天井が上がりそうな流れなのでそれは良いことかなと思います。
個人的には、断熱性能だけではなく、蓄熱だったり風や太陽光の有効利用も含めて温度の変動を評価してくれる基準が何かできないかなと思っています。