ホワイトカラー的ひ弱さを克服したい【お茶師日記17】
2021年9月12日
日々の農作業や茶工場の労働で体力はついてきたが、車両や機械の扱いは経験不足が否めない。
今の仕事に就いて2年半の間に、特に車のトラブルでは「農道での脱輪」「山の上の茶園でのバッテリー上がり」「帰り道でのパンク」がそれぞれ1回あった。
農家の方にとってはごく普通のトラブルかもしれないが、こんなことがあると悲しいくらいに困ってしまうのだ。
1 脱輪
仕事が終わって、狭い農道をバックして下がろうとして左前輪を脱輪してしまった。一緒に仕事していた若いヒロくんがその場にいたので助けを求めると、2台のジャッキを工夫して使って救出してくれた。
彼はかつて家電の設置などの仕事をしていた人で、農家に限らず現場で生きてきた人はその場にあるもので何とか対処してしまう能力を獲得していると思う。
2 バッテリー上がり
仕事が終わって帰ろうとしたらエンジンがかからない。ここに来るときトンネルを通った後、ライトが点けっぱなしだったのだ。
場所は、以前脱輪した場所の近くで、最寄りの集落から10分ほどうねうねと農道を上がった尾根沿いの茶園である。私も、一緒にいたリュウくんもブースターケーブルを持っていなかったので、やむなくJAFを呼ぶことにした。
こんなところまでJAFは来てくれるのか?
JAFに電話すると「45分くらいかかります」と言う。まあ仕方ない。
「地番はわかりますか、目印になるものはありますか?」と聞かれる。さすがに地番は知らないし、周りは茶園と森林しかない。集落からの農道はあちこちで分岐していて、とても説明できない。
「えーと、高圧線の鉄塔があります」と答えようとしたが、見れば鉄塔は一定の距離をおいていくつも立っている。とにかく近くまで来てもらおう。
1時間くらい待っていると、JAFのサービス員から電話が入った。「今、下の集落に着きました。どう行ったらいいですか?」。そこまでが45分ということだったのか。
サービス員さんの現在地を確認し「もう少し北に行くと右に橋があるので、それを渡って、農道をとにかく上へ上へ来てみてください」
とにかく尾根沿いに出たらまた連絡してもらうことにした。
かなり経ってからまた電話が入った。「尾根沿いの道に来ました。反対側の山の下の方に農林大学の建物が見えます」
ああ、あのあたりね。「あ、それでしたら、その道を南へ向かってください」と伝える。10分ほどしてJAFのレッカー車が現れた。農道の細さと比べてずいぶん大型。バッテリーをチャージしてもらうだけなのにはるばる申し訳ない。
無事にバッテリーを充電して帰還できた。
3 パンク
先日、茶畑から帰る途中、幹線道路を走っていたら、急にカタカタと衝撃があったので路肩に停めて確認すると、右前輪がペチャンコだ。この前の点検の時、モータースから「タイヤが古いので次の車検で交換しましょう」と言われていたのだ。
さて。この車にはそもそも予備タイヤが積んであるのか? 娘から借りているケッパコ(軽ワゴン)なので知らない。近年の車は予備タイヤを積んでいないのが普通である。ダッシュボードから取扱説明書を出して調べると、予備タイヤの収納場所や外し方が掲載されている。古い車でよかった。しかしあとはジャッキと工具が必要だ。ジャッキは以前使ったことがあるがどこにあったかよく覚えていない。それも取説で調べて確認し、作業に取り掛かった。
昔はタイヤの取り換えってよくやったよね。だけどここ30年ほどパンクなんかしたことなかったな。で、おぼつかない手つきで予備タイヤを何とか取り出し(大丈夫かこのタイヤ)、ジャッキを当てる場所を探し、ジャッキアップしてタイヤを外し、付け替える。
7月末の天気の良いお昼時、大汗をかいてこんな作業に30分もかかってしまった。
さて、最寄りのスタンドによってパンク修理を頼むか。と走り出すと、
あれ、予備タイヤに全然空気がなくてペチャンコじゃないか。
ゆっくりゆっくり走って、JAのガソリンスタンドへ着いた。予備タイヤに空気を入れてパンクしたタイヤの修理を頼もうと思ったのだが、
タイヤが古いからこの際全部交換したほうが良い、
と言われて結局注文して帰った。まあ、この際JA事業に協力するか。
こんなことを繰り返すうちに、「ホワイトカラー的ひ弱さ」から脱却したいものだ。