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衣替えの季節がこわかった

毎年毎年、衣替えが苦手でした。
と、言うより本当はファッションそのものに苦手意識がずーーーっとありました。こう言うと大概「服も靴もあんなに持ってるのに!?」とびっくりされるんですが、苦手でした。
服も靴も、アイテムとしてとっても好き。コスメの新作を眺めるのも、トレンドを知るのも、アイテムを組み合わせていくのも楽しい。メイクやバッグも含めたカラーコーディネートは一番好き。

それでも、いざ「自分に似合っているのか」「自分らしいスタイルって何だろう?」には10代後半からずっと自信がなく、友人たちのいつ会っても「ああ、とっても彼女らしいな」と思える堂々としたスタイリングにずっと引け目がありました。
こんな自分が「ファッションが好き」と言うのはなんだかダサい…そんな気持ちからくる苦手意識と十数年。毎年、衣替えの時期は「いつも何着てたっけ…」「去年はこれでよかったのに、なんか違う…」「どうしようどうしよう…」とずっと焦っていて、一番不安定だった20代前半なんてクローゼットの前でボロボロと泣き出す始末。骨格がどうだとか、パーソナルカラーがどうだと色々勉強して、ようやく「飛び抜けてオシャレではないけど、自分なりに好きなポイントはあるし、いいよね?」と思える、そのくらいで日々を過ごしていました。

それが、2021年の夏を過ぎてガラッと変わりました。何があったかというと人生最大のイベント、出産。
生まれてきた娘は、ちいさくて、ふにゃふにゃで、やわらかくて、ほんのり良いにおいがして、この世の「かわいい」を全部集めて形にしたみたいな存在でした。
そんな娘を抱きながら、ふと「あ、私もう、自分に「かわいい」は要らないや」と思ったのです。「かわいいより、格好良くなろう。娘が「うちのお母さんが一番格好いい!」って言ってくれる強くて格好良い母親になろう」と。
そう決めたらまずは形から、と髪をばっさりショートにして襟足は刈り上げて、隠していた軟骨ピアスは全部剥き出しに。派手な開襟シャツをいくつか買ってきて、ボリュームのある靴を合わせ、背筋を伸ばしてなるべく堂々と。真夏は紫外線対策にサングラスをかけて、夫に「格好良いを通り越してイカついよ」と笑われながら、娘を抱いて散歩に出る。

そうしているうちに秋冬、春夏…と何度かの衣替えが過ぎ、この冬ついに気づきました、衣替えがもう怖くない自分に。
「こうありたい」という姿がはっきりして、もう手放していいものも、いまクローゼットに足りないものも、急にクリアになった感じ。それまで「仕事ができるように見えていたい」「友達からはセンスよく思われたい」「夫にはなんだかんだ可愛く思われたい」と、色んな目を気にしてブレていたものが振り落とされた感じ。産後に体重が落ちたおかげで、自分のしたい着こなしに丁度いい体型が分かったのも良かった。

なんだっけ、こういうのどこかで見たな…そうだ、「コンセプト」だ。noteやインスタでオススメに上がってくるあきやあさみさんの自問自答ファッション、ガールズ達の体験談。もしかしてこういうことを言ってたのかな、とグッと興味が出てきて、「一年3セットの服で生きる」を読んでみました。

制服化、3セット、という言葉のインパクトに引っ張られて、服をたくさん持つのは無駄!コストを省いてミニマルに生きるべき!という話だと思いこんでいたのですが、全くの勘違い。もっと懐が深くて、前向きで、自分自身と自分の身の回りを愛するための手法でした。おもしろい。すっごくおもしろい。考え抜いて選んだ大切な服だからこそ、何度も何度も着たい。クローゼットの前で「こんなに服があるのにどうして」と泣いていた頃の私と、正反対。

もっと早く出会っていたら、衣替えを克服するのも早かったかな?と思いながら、自分でコンセプトを見つけて、体験できたからこそ沁みるのかもとも思ったり。2024年は強くて格好良い私が、いつでも堂々と「このコーディネート、大好きなんだ!」と笑って娘を抱いていられるよう、感度を上げてを自分を研ぎ澄ましていきたいです。

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