#001 著作権法 (ver.1.03, 2024/07/09)
「著作権法については,『総則』(目的,定義),『著作者の権利』(『著作物』,『著作者』,『権利の内容』,『著作者人格権の一身専属性等』,『著作権の譲渡及び消滅』,『権利の行使』)及び『権利侵害』を中心として出題する」(『平成18年から実施される司法試験(選択科目)における具体的な出題のイメージ(サンプル問題)』)
「全体を通じて、問題文で与えられた事実を正確に理解せずに論述する答案が少なくなかった。与えられた事実に基づいて、設問が求める内容に関して論述することは、答案の基本であるが、こうした作業ができていないと感じた。
例年指摘しているが、根拠条文を、項番号や号番号まで含めて正確に特定して記載していない答案が散見された。
また、前半の設問に時間を取り過ぎたためか、後半の設問の解答が希薄なものが認められた。
さらに、判読不能な答案は、妥当な評価につながらないため、可能な限り判読しやすい文字で記述することが望まれる。」
(『令和5年司法試験の採点実感(知的財産法) - 3 採点実感等』)
【§2 I ①(定義)】
「著作物」:①「思想又は感情」を含むこと、②「表現」されたものであること、③表現に「創作性」があること、④「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」であること
cf. キャラクター [H25司]
「一定の名称、容貌、役割等の特徴を有する登場人物が反復して描かれている一話完結形式の連載漫画においては、当該登場人物が描かれた各回の漫画それぞれが著作物に当たり、具体的な漫画を離れ、右登場人物のいわゆるキャラクターをもって著作物ということはできない。けだし、キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものということができないからである。
…複製というためには、第三者の作品が漫画の特定の画面に描かれた登場人物の絵と細部まで一致することを要するものではなく、その特徴から当該登場人物を描いたものであることを知り得るものであれば足りるというべきである」
(最判H9.7.17.民集51-6-2714、ポパイネクタイ事件【53】)
③創作性 [R5司]
cf. 否定される場合
cf. ありふれた表現 [R1司]
「本件記事は、いずれも、休刊又は廃刊となった雑誌の最終号において、休廃刊に際し出版元等の会社やその編集部、編集長等から読者宛に書かれたいわば挨拶文であるから、このような性格からすれば、少なくとも〔a〕当該雑誌は今号限りで休刊又は廃刊となる旨の告知、〔b〕読者等に対する感謝の念あるいはお詫びの表明、休刊又は廃刊となるのは残念である旨の感情の表明が本件記事の内容となることは常識上当然であり、また、〔c〕当該雑誌のこれまでの編集方針の骨子、〔d〕休廃刊後の再発行や新雑誌発行等の予定の説明をすること、〔e〕同社の関連雑誌を引き続き愛読してほしい旨要望することも営業上当然のことであるから、これら五つの内容をありふれた表現で記述しているにすぎないものは、創作性を欠くものとして著作物であると認めることはできない」
(東京地判H7.12.18.知財集27-4-787、ラストメッセージin最終号事件【27】)
【§2 I ②】
「著作者」:「著作物を創作する者」
【§2 I ⑧】
「放送」:「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信」
cf.
「有線放送」: 「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信」(§2 I ⑨の2)
「自動公衆送信」:「公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)」(§2 I ⑨の4)
「送信可能化」:「次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすること」(§2 I ⑨の5 柱書)
「公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置…の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること」(§2 I ⑨の5 イ)
「その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続…を行うこと」(§2 I ⑨の5 ロ)
【§2 I ①②】
「共同著作物」:①「二人以上の者」の「創作」的関与があること、②「共同」性があること、③「分離して個別的に利用することができない」こと
①創作的関与
「光太郎〔K〕自ら『智惠子抄』の詩等の選択、配列を確定したものであり、同人〔K〕がその編集をしたことを裏付けるものであって、澤田〔S〕が光太郎〔K〕の著作の一部を集めたとしても、それは、編集著作の観点からすると、企画案ないし構想の域にとどまるにすぎないというべきである」
(最判H5.3.30.裁判集民168-599、智恵子抄事件上告審【16】)
【§2 I ①⑤ 柱書】
「複製」:「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること」
cf. [H19?司]
「脚本その他これに類する演劇用の著作物」:「当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること」(§2 I ①⑤ イ)
【§2 V】
「公衆」:「特定かつ多数の者を含むもの」
【§10 I(著作物の例示)】
「舞踊又は無言劇の著作物」(§10 I ③) [H27司]
「楽曲の振付けとしてのフラダンスは,そのような作者の個性が表れている部分やそうとは認められない部分が相俟った一連の流れとして成立するものであるから,そのようなひとまとまりとしての動作の流れを対象とする場合には,舞踊として成立するものであり,その中で,作者の個性が表れている部分が一定程度にわたる場合には,そのひとまとまりの流れの全体について舞踊の著作物性を認めるのが相当である」
(大阪地判H30.9.20.判時2416-42、フラダンス事件)
「絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物」(§10 I ④)
cf. 応用美術 [H18, 25, 28, R1司] ★★
「著作権法が,『文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作者等の権利の保護を図り,もって文化の発展に寄与することを目的と』していること(同法1条)に鑑みると,表現物につき,実用に供されること又は産業上の利用を目的とすることをもって,直ちに著作物性を一律に否定することは,相当ではない。同法2条2項は,『美術の著作物』の例示規定にすぎず,例示に係る『美術工芸品』に該当しない応用美術であっても,同条1項1号所定の著作物性の要件を充たすものについては,『美術の著作物』として,同法上保護されるものと解すべきである」〔創作的表現説〕
(知財高判H27.4.14.判時2267-91、TRIPP TRAPP事件【7】)
「美的鑑賞の対象となり得るものであって,思想又は感情を創作的に表現したものであれば,美術の著作物に含まれると解するのが自然であるから,同条2項は,美術工芸品が美術の著作物として保護されることを例示した規定であると解される。他方で,応用美術のうち,美術工芸品以外の量産品について,美的鑑賞の対象となり得るというだけで一律に美術の著作物として保護されることになると,実用的な物品の機能を実現するために必要な形状等の構成についても著作権で保護されることになり,当該物品の形状等の利用を過度に制約し,将来の創作活動を阻害することになって,妥当でない。もっとも,このような物品の形状等であっても,視覚を通じて美感を起こさせるものについては,意匠として意匠法によって保護されることが否定されるものではない。
これらを踏まえると,応用美術のうち,美術工芸品以外のものであっても,〔a〕実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して,〔b〕美的鑑賞の対象となり得る美的特性である創作的表現を備えている部分を把握できるものについては,当該部分を含む作品全体が美術の著作物として,保護され得ると解するのが相当である」〔分離可能性説〕
(知財高判R3.12.8.裁判所Web、「タコの形状を模した…滑り台」)
「建築の著作物」(§10 I ⑤) [H26司]
「…同法が建築物を『建築の著作物』として保護する趣旨は、建築物の美的形象を模倣建築による盗用から保護するところにあり、一般住宅のうち通常ありふれたものまでも著作物として保護すると、一般住宅が実用性や機能性を有するものであるが故に、後続する住宅建築、特に近時のように、規格化され、工場内で製造された素材等を現場で組み立てて、量産される建売分譲住宅等の建築が複製権侵害となるおそれがある。
そうすると、一般住宅が同法10条1項5号の『建築の著作物』であるということができるのは、客観的、外形的に見て、それが一般住宅の建築において通常加味される程度の美的創作性を上回り、居住用建物としての実用性や機能性とは別に、独立して美的鑑賞の対象となり、建築家・設計者の思想又は感情といった文化的精神性を感得せしめるような造形芸術としての美術性を備えた場合と解するのが相当である」
(大阪高判H16.9.29.裁判所Web、グルニエ・ダイン事件【13】)
「地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物」(§10 I ⑥)
cf. 地図 [H30司]
「一般に、地図は、地形や土地の利用状況等を所定の記号等を用いて客観的に表現するものであって、個性的表現の余地が少なく、文学、音楽、造形美術上の著作に比して創作性を認め得る余地が少ないのが通例である。それでも、〔a〕記載すべき情報の取捨選択及びその〔b〕表示の方法に関しては、地図〔α〕作成者の個性、〔β〕学識、〔γ〕経験、〔δ〕現地調査の程度等が重要な役割を果たし得るものであるから、なおそこに創作性が表われ得るものということができる。そして、地図の著作物性は、右記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法を総合して、判断すべきものである。」
(東京地判H13.1.23.判時1756-139、ふぃーるどわーく多摩事件【87】)
cf. 設計図 [H26司]
「建築に関する図面に従つて建築物を完成すること」(§2 I ①⑤ ロ 参照)
「写真の著作物」(§10 I ⑧) [R3司]
cf. §2 IV
「写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物を含むもの」
cf. 被写体許容説
「写真著作物において、例えば、景色、人物等、現在する物が被写体となっている場合の多くにおけるように、被写体自体に格別の独自性が認められないときは、創作的表現は、撮影や現像等における独自の工夫によってしか生じ得ないことになるから、写真著作物が類似するかどうかを検討するに当たっては、被写体に関する要素が共通するか否かはほとんどあるいは全く問題にならず、事実上、撮影時刻、露光、陰影の付け方、レンズの選択、シャッター速度の設定、現像の手法等において工夫を凝らしたことによる創造的な表現部分が共通するか否かのみを考慮して判断することになろう。
しかしながら、被写体の決定自体について、すなわち、撮影の対象物の選択、組合せ、配置等において創作的な表現がなされ、それに著作権法上の保護に値する独自性が与えられることは、十分あり得ることであり、その場合には、被写体の決定自体における、創作的な表現部分に共通するところがあるか否かをも考慮しなければならないことは、当然である。写真著作物における創作性は、最終的に当該写真として示されているものが何を有するかによって判断されるべきものであり、これを決めるのは、被写体とこれを撮影するに当たっての撮影時刻、露光、陰影の付け方、レンズの選択、シャッター速度の設定、現像の手法等における工夫の双方であり、その一方ではないことは、論ずるまでもないことだからである」
(東京高判H13.6.21.判時1765-96、すいか写真事件控訴審)
cf. 撮影手法説?/ 被写体許容説?
「著作物について翻案といえるためには,当該著作物が,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えたものであることがまず要求され(最高裁平成13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁(江差追分事件)),この理は本件における写真の著作物についても基本的に当てはまる。本件の原告写真1~5は,被写体が既存の廃墟建造物であって,撮影者が意図的に被写体を配置したり,撮影対象物を自ら付加したものでないから,撮影対象自体をもって表現上の本質的な特徴があるとすることはできず,撮影時季,撮影角度,色合い,画角などの表現手法に,表現上の本質的な特徴があると予想される。…
しかし両者の撮影方向は左方向からか(原告写真1),右方向からか(被告写真1)で異なり,撮影時期が異なることから,写し込まれている対象も植物があったりなかったりで相違しているし,そもそも,撮影対象自体に本質的特徴があるということはできないことにかんがみると,被告写真1をもって原告写真1の翻案であると認めることはできない。…」
(知財高判H23.5.10.判タ1372-222、廃墟写真事件【54 ①】)
【§12(編集著作物)】
「編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する」(§12 I)
cf. [H29司]
「当該素材の性質上、編集者の編集基準に基づく独自の選択を受け容れうるものであり、その選択によつて編集物に創作性を認めることができる場合と例えば見出し語に対する文例選択の幅が狭く、当該編集者と同一の立場にある他の編集者を置き換えてみても、おおむね同様の選択に到達するであろうと考えられ、したがつてその選択によつて編集物に創作性を認めることができない場合がある。そして、後者の場合、先行する辞典の選択を参照して後行の辞典を編集しても、それは共通の素材を、それを処理する慣用的方法によつて取り扱つたにすぎないから、特に問題とするに足りないが、前者の場合において、後行の辞典が先行する辞典の選択した素材をそのまま又は一部修正して採用し、その数量、範囲ないし頻度が社会観念上許容することができない程度に達するときは、その素材の選択に払われた先行する辞典の創造的な精神活動を単純に模倣することによつてその編集著作権を侵害するものというべきである」
(東京高判S60.11.14.無体集17-3-544、アメリカ語要語集事件控訴審)
【§13(権利の目的とならない著作物)】
「裁判所の判決」(§13 ③)
【§14(著作者の推定)】
「実名」:「氏名若しくは名称」
「変名」:「雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの」
【§15 I(職務著作)】
①「法人その他使用者…の発意に基づ」くこと(法人等の発意)、②「法人等の業務に従事する者が」作成すること(業務従事者)、③「職務上作成する著作物」であること(職務上)、④「その法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの」であること(公表名義)、⑤「その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない」こと(別段の定めの不存在)
②業務従事者 [H23, 27司] ★
「法人等と雇用関係にある者がこれに当たることは明らかであるが,雇用関係の存否が争われた場合には,同項の『法人等の業務に従事する者』に当たるか否かは,法人等と著作物を作成した者との関係を実質的にみたときに,〔a〕法人等の指揮監督下において労務を提供するという実態にあり,〔b〕法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを,業務態様,指揮監督の有無,対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して,判断すべきものと解するのが相当である。」
(最判H15.4.11.判時1822-133、RGBアドベンチャー事件上告審【23】)
④公表名義 [R3司]
「法人等と業務に従事する者との間に雇用関係があり,法人等の業務計画や法人等が第三者との間で締結した契約等に従って,業務に従事する者が所定の職務を遂行している場合には,法人等の具体的な指示あるいは承諾がなくとも,業務に従事する者の職務の遂行上,当該著作物の作成が予定又は予期される限り,『法人等の発意』の要件を満たす」
(知財高判H22.8.4.判時2101-119、北見工業大学事件控訴審【24】)
cf. §15 II [H22?司]
「プログラムの著作物」に、④(公表名義)は不要
(東京高判S60.12.4.判時1190-143、新潟鉄工事件控訴審)
【§16(映画の著作物の著作者)】
「〔①〕その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、…〔②〕その映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者」
「映画の著作物」(§10 I ⑦):「〔a〕映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、〔b〕物に固定されている〔c〕著作物を含むもの」(§2 III)
b物に固定
「著作物が,何らかの方法により物と結びつくことによつて,同一性を保ちながら存続しかつ著作物を再現することが可能である状態」
(東京地判S59.9.28.無体裁集16-3-676、パックマン事件)
cf.
「原告が利用したニコニコ生放送には,タイムシフト機能と称するサービスがあり,ライブストリーミング配信後もその内容を視聴することができたとされるから,本件生放送は,その配信と同時にニワンゴのサーバに保存され,その後視聴可能な状態に置かれたものと認められ,『固定』されたものといえる」
(大阪地判H25.6.20.判時2218-112、ロケットニュース24事件)
【§17 I(著作者の権利)】
「著作者人格権」:§18 I・§19 I・§20 I
「著作権」 :§21〜§28
cf. 無方式主義 (§17 II)
【§18(公表権)】
「公表」:「著作物は、発行され、又は第二十二条から第二十五条までに規定する権利を有する者若しくはその許諾…を得た者…によつて…公衆に提示された場合」(§4 I)
cf. 同意の推定 (§18 II 柱書) [H22?, 27司] ★
「その美術の著作物又は写真の著作物でまだ公表されていないものの原作品を譲渡した場合 これらの著作物をその原作品による展示の方法で公衆に提示すること」(§18 II ②)
「第二十九条の規定によりその映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合 当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示すること」(§18 II ③)
【§19(氏名表示権)】
cf.
「被上告人は,本件写真画像の隅に著作者名の表示として本件氏名表示部分を付していたが,本件各リツイート者が本件各リツイートによって本件リンク画像表示データを送信したことにより,本件各表示画像はトリミングされた形で表示されることになり本件氏名表示部分が表示されなくなったものである」
(最判R2.7.21.民集74-4-1407、リツイート事件上告審)
「著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができる」(§19 II)
【§20(同一性保持権)】
「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする」(§20 I)
「建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変」(§20 II ②) [H26司]
「著作権法20条2項2号は,建築物については,鑑賞の目的というよりも,むしろこれを住居,宿泊場所,営業所,学舎,官公署等として現実に使用することを目的として製作されるものであることから,その所有者の経済的利用権と著作者の権利を調整する観点から,著作物自体の社会的性質に由来する制約として,一定の範囲で著作者の権利を制限し,改変を許容することとしたものである。これに照らせば,同号の予定しているのは,経済的・実用的観点から必要な範囲の増改築であって,個人的な嗜好に基づく恣意的な改変や必要な範囲を超えた改変が,同号の規定により許容されるものではないというべきである」
(東京地決H15.6.11.判時1840-106、慶應大学庭園移築事件)
「…やむを得ないと認められる改変」(§20 II ④) [H20, 27, 28, 30, R1, 3司] ★★
【§21(複製権)】
cf. (複製の)主体 [H23, 29, R2, 4司] ★★
「複製の主体の判断に当たっては,〔a〕複製の対象,〔b〕方法,〔c〕複製への関与の内容,〔d〕程度等の諸要素を考慮して,誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当であるところ,上記の場合,サービス提供者は,単に複製を容易にするための環境等を整備しているにとどまらず,その管理,支配下において,放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力するという,複製機器を用いた放送番組等の複製の実現における枢要な行為をしており,複製時におけるサービス提供者の上記各行為がなければ,当該サービスの利用者が録画の指示をしても,放送番組等の複製をすることはおよそ不可能なのであり,サービス提供者を複製の主体というに十分であるからである」
(最判H23.1.20.民集65-1-399、ロクラクⅡ事件上告審【82】)
cf. [H28司]
「本件サービスは,…このうち上記④の,裁断した書籍をスキャナーで読み込み電子ファイル化する行為が,本件サービスにおいて著作物である書籍について有形的再製をする行為,すなわち『複製』行為に当たることは明らかであって,この行為は,本件サービスを運営する控訴人ドライバレッジのみが専ら業務として行っており,利用者は同行為には全く関与していない。
そして,控訴人ドライバレッジは,独立した事業者として,営利を目的として本件サービスの内容を自ら決定し,スキャン複製に必要な機器及び事務所を準備・確保した上で,インターネットで宣伝広告を行うことにより不特定多数の一般顧客である利用者を誘引し,その管理・支配の下で,利用者から送付された書籍を裁断し,スキャナで読み込んで電子ファイルを作成することにより書籍を複製し,当該電子ファイルの検品を行って利用者に納品し,利用者から対価を得る本件サービスを行っている。
そうすると,控訴人ドライバレッジは,利用者と対等な契約主体であり,営利を目的とする独立した事業主体として,本件サービスにおける複製行為を行っているのであるから,本件サービスにおける複製行為の主体であると認めるのが相当である」
(知財高判H26.10.22.判タ1414-227、自炊代行事件控訴審【66】)
【§22(上演権及び演奏権)】
「著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する」
「上演」:「演奏(歌唱を含む。以下同じ。)以外の方法により著作物を演ずること」(§2 I ①⑥)
cf. (演奏の)主体 [H29?司] ★
「演奏の形態による音楽著作物の利用主体の判断に当たっては、〔a〕演奏の目的及び〔b〕態様、〔c〕演奏への関与の内容及び〔d〕程度等の諸般の事情を考慮するのが相当である。被上告人らの運営する音楽教室のレッスンにおける生徒の演奏は、教師から演奏技術等の教授を受けてこれを習得し、その向上を図ることを目的として行われるのであって、課題曲を演奏するのは、そのための手段にすぎない。…」
(最判R4.10.24.裁時1802-1、音楽教室における著作物使用に関わる請求権不存在確認請求事件)
【§22の2(上映権)】
「著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する」
「上映」:「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むもの」(§2 I ①⑦)
【§23 I(公衆送信権等)】
「公衆送信」:「公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うこと」(§2 I ⑦の2)
cf. 侵害主体性 [R2司]
「インターネット上においてだれもが匿名で書き込みが可能な掲示板を開設し運営する者は、著作権侵害となるような書き込みをしないよう、適切な注意事項を適宜な方法で案内するなどの事前の対策を講じるだけでなく、著作権侵害となる書き込みがあった際には、これに対し適切な是正措置を速やかに取る態勢で臨むべき義務がある。掲示板運営者は、少なくとも、著作権者等から著作権侵害の事実の指摘を受けた場合には、可能ならば発言者に対してその点に関する照会をし、更には、著作権侵害であることが極めて明白なときには当該発言を直ちに削除するなど、速やかにこれに対処すべきものである」
(東京高判H17.3.3.判時1893-126、2ちゃんねる事件控訴審)
伝達権:「著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する」(§23 II)
【§24(口述権)】
「著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する」
「口述」:「朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達すること(実演に該当するものを除く。)」(§2 I ①⑧)
【§25(展示権)】
「著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する」
「発行」:「著作物は、その性質に応じ公衆の要求を満たすことができる相当程度の部数の複製物が、第二十一条に規定する権利を有する者若しくはその許諾…を得た者…によつて作成され、頒布された場合」(§3 I)
【§26(頒布権)】
「頒布」:「複製物を公衆に〔a〕譲渡し、又は〔b〕貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を〔a〕譲渡し、又は〔b〕貸与することを含むもの」(§2 I ①⑨)
cf. (中古ゲームソフトの)消尽 [R3司]
「公衆に提示することを目的としない家庭用テレビゲーム機に用いられる映画の著作物の複製物の譲渡については、市場における商品の円滑な流通を確保するなど、上記…(ウ)〔「著作権者は、著作物又はその複製物を自ら譲渡するに当たって譲渡代金を取得し、又はその利用を許諾するに当たって使用料を取得することができるのであるから、その代償を確保する機会は保障されているものということができ、著作権者又は許諾を受けた者から譲渡された著作物又はその複製物について、著作権者等が二重に利得を得ることを認める必要性は存在しない」〕の観点から、当該著作物の複製物を公衆に譲渡する権利は、いったん適法に譲渡されたことにより、その目的を達成したものとして消尽し、もはや著作権の効力は、当該複製物を公衆に再譲渡する行為には及ばないものと解すべきである」
(最判H14.4.25.民集56-4-808、中古ゲームソフト事件(大阪)【62】)
【§26の2(譲渡権)】
「〔①〕その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)を〔②〕その原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この上において同じ。)の譲渡により〔③〕公衆に提供する権利を専有する」(§26の2 I)
「前項の規定は、著作物の原作品又は複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない」(権利消尽、§26の2 II 柱書)
国際消尽 (§26の2 II ⑤) [H24司]
「国外において、前項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された著作物の原作品又は複製物」
cf. 条件違反と消尽[H21, R1司] ★
「Aが『Y1大仏』と称されて人気を博したため,Y1は,Aの正面写真をその中心に大きく配置した絵はがきPを自ら製造し,観光客に境内で販売するとともに,Y2を含む複数の土産物店にも販売した。
〔X1とY1は,X1がY1に絵はがきPの製造販売を許諾し,Y1がX1にPの売上げの 5%を支払う旨の契約を締結していたところ,Y1はPの販売後も一切の金銭をX1に支払っていない。Y2は,この不払の事情を知りつつY1からPを購入して観光客に販売している。ここで,X1とY1の間で,Pの製造販売許諾契約は解除されていないものとする〕
において,X1は,Y2に対して,著作権に基づき, 絵はがきPの販売の差止めを請求することができるか…」 [R1司・設問2 (2)]
「Y1のライセンス契約違反が,著作権侵害を基礎付けるかどうかが問題 となるところ,Y1が履行しなかったX1に対する債務(ライセンス料支払義務)の法的性質や発生根拠等に着目しながら,本問に当てはめて検討することが求められる。本問の事実関係に照らせば,Y1の同義務違反は著作権侵害には当たらないため,Y1によるPのY2(公衆)への譲渡により譲渡権は消尽し,更なるY2による公衆への譲渡は適法となるであろう(法第26条の2第2項第1号)。ここで,Y1によるライセンス料の不払いにつきY2が悪意であることは,この結論を左右しない」 (出題趣旨)
【§26の3(貸与権)】
「貸与」…「いずれの名義又は方法をもつてするかを問わず」(§2 VIII)
【§27(翻訳権、翻案権等)】
「著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する」
翻案 [H27, 30司] ★★
「言語の著作物の翻案(著作権法27条)とは、〔a〕既存の著作物に依拠し、かつ、〔b〕その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。そして、著作権法は、思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(同法2条1項1号参照)、既存の著作物に依拠して創作された著作物が、思想、感情若しくはアイデア、事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において、既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には、翻案には当たらないと解するのが相当である」
(最判H13.6.28.民集55-4-837、江差追分事件上告審【44】)
【§28(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)】
「二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する」
「二次的著作物」:「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」(§2 I ①①)
cf. [H28, R2司]
「本件連載漫画は、被上告人が各回ごとの具体的なストーリーを創作し、これを四〇〇字詰め原稿用紙三〇枚から五〇枚程度の小説形式の原稿にし、上告人において、漫画化に当たって使用できないと思われる部分を除き、おおむねその原稿に依拠して漫画を作成するという手順を繰り返すことにより制作されたというのである。この事実関係によれば、本件連載漫画は被上告人作成の原稿を原著作物とする二次的著作物であるということができるから、被上告人は、本件連載漫画について原著作者の権利を有するものというべきである。そして、二次的著作物である本件連載漫画の利用に関し、原著作物の著作者である被上告人は本件連載漫画の著作者である上告人が有するものと同一の種類の権利を専有し、上告人の権利と被上告人の権利とが併存することになるのであるから、上告人の権利は上告人と被上告人の合意によらなければ行使することができないと解される。したがって、被上告人は、上告人が本件連載漫画の主人公キャンディを描いた本件原画を合意によることなく作成し、複製し、又は配布することの差止めを求めることができるというべきである」
(最判H13.10.25.裁判集民203-285、キャンディ・キャンディ事件上告審【49】)
「一話完結形式の連載漫画においては、著作権の侵害は各完結した漫画それぞれについて成立し得るものであり、著作権の侵害があるというためには連載漫画中のどの回の漫画についていえるのかを検討しなければならない。
連載漫画においては、後続の漫画は、先行する漫画と基本的な発想、設定のほか、主人公を始めとする主要な登場人物の容貌、性格等の特徴を同じくし、これに新たな筋書を付するとともに、新たな登場人物を追加するなどして作成されるのが通常であって、このような場合には、後続の漫画は、先行する漫画を翻案したものということができるから、先行する漫画を原著作物とする二次的著作物と解される。そして、二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分のみについて生じ、原著作物と共通しその実質を同じくする部分には生じないと解するのが相当である。けだし、二次的著作物が原著作物から独立した別個の著作物として著作権法上の保護を受けるのは、原著作物に新たな創作的要素が付与されているためであって(同法二条一項一一号参照)、二次的著作物のうち原著作物と共通する部分は、何ら新たな創作的要素を含むものではなく、別個の著作物として保護すべき理由がないからである」
(最判H9.7.17.民集51-6-2714、ポパイネクタイ事件【53】)
【§29 I】
「映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する」
「映画製作者」:「映画の著作物の制作に〔a〕発意と〔b〕責任を有する者」(§2 I ⑩)
cf. 未編集の映像フィルム [H27司]
「著作権法29条1項により映画製作者が映画の著作物の著作権を取得するためには,いうまでもなく著作物と認められるに足りる映画が完成することが必要であるから,参加約束のみによって未だ完成されていない映画について製作者が著作権を取得することはない」(29条非適用説)
(東京高判H5.9.9.判時1477-27、三沢市勢映画事件控訴審【28】)
【§30(私的使用のための再製)】 [H19?, 23, 28司]
「著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる」(§30 I 柱書)
私的使用
「著作権法第三〇条によれば、著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とする場合には、その使用する者が複製することができる旨が規定されているが、企業その他の団体において、内部的に業務上利用するために著作物を複製する行為は、その目的が個人的な使用にあるとはいえず、かつ家庭内に準ずる限られた範囲内における使用にあるとはいえないから、同条所定の私的使用には該当しない…」
(東京地判S52.7.22.無体裁集9-2-534、舞台装置設計図事件【65】)
cf. 私的録音録画補償金 (§30 III)
【§30の2(付随対象著作物の利用)】 [H27?司]
「写真の撮影、録音、録画、放送その他これらと同様に事物の影像又は音を複製し、又は複製を伴うことなく伝達する行為(以下この項において「複製伝達行為」という。)を行うに当たつて、その対象とする事物又は音(以下この項において「複製伝達対象事物等」という。)に付随して対象となる事物又は音(複製伝達対象事物等の一部を構成するものとして対象となる事物又は音を含む。以下この項において「付随対象事物等」という。)に係る著作物(当該複製伝達行為により作成され、又は伝達されるもの(以下この条において「作成伝達物」という。)のうち〔α〕当該著作物の占める割合、〔β〕当該作成伝達物における当該著作物の再製の精度〔γ〕その他の要素に照らし当該作成伝達物において当該著作物が軽微な構成部分となる場合における当該著作物に限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、〔a〕当該付随対象著作物の利用により利益を得る目的の有無、〔b〕当該付随対象事物等の当該複製伝達対象事物等からの分離の困難性の程度、〔c〕当該作成伝達物において当該付随対象著作物が果たす役割〔d〕その他の要素に照らし正当な範囲内において、当該複製伝達行為に伴つて、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」(§30の2 I)
「前項の規定により利用された付随対象著作物は、当該付随対象著作物に係る作成伝達物の利用に伴つて、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」(§30の2 II)
【§30の3(検討の過程における利用)】
「著作権者の許諾を得て、又は第六十七条第一項、第六十八条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定を受けて著作物を利用しようとする者は、これらの利用についての検討の過程(当該許諾を得、又は当該裁定を受ける過程を含む。)における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、当該著作物を利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」
【§30の4(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)】 [R5司]
「著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」(§30の4 I 柱書)
【§31(図書館等における複製等)】
【§32(引用)】 [H25, 29, 30, R2司] ★★
①「公表された著作物」であること、②「引用」であること、③「公正な慣行に合致するもの」であること、④「引用の目的上正当な範囲内」であること(§32 I)
②引用 (=a明瞭区分性+b主従関係性)
「ここにいう引用とは、紹介、参照、論評その他の目的で自己の著作物中に他人の著作物の原則として一部を採録することをいうと解するのが相当であるから、右引用にあたるというためには、引用を含む著作物の表現形式上、〔a〕引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ、かつ、〔b〕右両著作物の間に前者が主、後者が従の関係があると認められる場合でなければならないというべき…」
(最判S55.3.28.民集34-3-244、パロディ事件第1次上告審【68】)
cf. パロディ
「一般に,先行する著作物の表現形式を真似て,その内容を風刺したり,おもしろおかしく批評することが,文学作品の形式の一つであるパロディーとして確立している。パロディーは,もとになる著作物の内容を踏まえて,これを批判等するものであるから,もとになる著作物を離れては成立し得ないものであり,内容的にも読者をしてもとになる著作物の思想感情を想起させるものである。しかし,パロディーという表現形式が文学において許されているといっても,そこには自ずから限界があり,パロディーの表現によりもとの著作物についての著作権を侵害することは許されないというべきである」
(東京地判H13.12.19裁判所Web、チーズはどこへ消えた?事件)
③公正な慣行 [R2司]
「本件各鑑定証書は,そこに本件各コピーが添付されている本件各絵画が真作であることを証する鑑定書であって,本件各鑑定証書に本件各コピーを添付したのは,その鑑定対象である絵画を特定し,かつ,当該鑑定証書の偽造を防ぐためであるところ,そのためには,一般的にみても,鑑定対象である絵画のカラーコピーを添付することが確実であって,添付の必要性・有用性も認められることに加え,著作物の鑑定業務が適正に行われることは,贋作の存在を排除し,著作物の価値を高め,著作権者等の権利の保護を図ることにもつながるものであることなどを併せ考慮すると,著作物の鑑定のために当該著作物の複製を利用することは,著作権法の規定する引用の目的に含まれるといわなければならない」
(知財高判H22.10.13.判時2092-135、美術品鑑定証書事件【70】)
④正当な範囲
「他人の著作物を引用して利用することが許されるためには,引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致したものであり,かつ,引用の目的との関係で正当な範囲内,すなわち,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであることが必要であり,著作権法の上記目的をも念頭に置くと,引用としての利用に当たるか否かの判断においては,〔a〕他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか,〔b〕その方法や〔c〕態様,〔d〕利用される著作物の種類や〔e〕性質,〔f〕当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・〔g〕程度などが総合考慮されなければならない」
(知財高判H22.10.13.判時2092-135、美術品鑑定証書事件【70】)
【§33(教科用図書等への掲載)】
【§34(学校教育番組の放送等)】
【§35(学校その他の教育機関における複製等)】
「学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」(§35 I)
cf. 授業目的公衆送信補償金制度 (§35 II)
【§36(試験問題としての複製等)】 [H30司]
「公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信…を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」(§36 I)
「営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない」(§36 II)
cf. [H30司]
「入学試験等の人の学識技能に関する試験又は検定にあっては、それを公正に実施するために、問題の内容等の事前の漏洩を防ぐ必要性があり、その問題として著作物を利用する場合には、具体的な設問のみならず、いかなる著作物を利用するかということについても漏洩を避ける必要があることが通常であるから、試験、検定の問題としての著作物の複製について、予め著作権者の許諾を受けることは困難であり、社会的実情にも沿わないこと、及び著作物を右のような試験、検定の問題として利用したとしても、一般にその利用は著作物の通常の利用と競合しないと考えられるから、その限度で著作権を制限しても不当ではないと認められることにより、試験、検定の目的上必要と認められる限度で、著作物を試験、検定の問題として複製するについては、一律に著作権者の許諾を要しないとするとともに、その複製が、これを行う者の営利の目的による場合には、著作権者に対する補償を要するものとして、利益の均衡を図ることにした趣旨であると解される。
そして、そうであれば、同条一項によって、著作権者の許諾を要せずに、問題として著作物の複製をすることができる試験又は検定とは、公正な実施のために、試験、検定の問題として〔a〕利用する著作物が何であるかということ自体を秘密にする必要性があり、その故に、該著作物の複製につき、〔b〕予め著作権者の許諾を受けることが困難であるような試験、検定をいうもの…」
(東京高判H12.9.11.裁判所Web、「教科書に準拠した国語テストを制作、販売」)
【§37(視覚障害者等のための複製等)】
【§37の2(聴覚障害者等のための複製等)】
【§38(営利を目的としない上演等)】 [H19?, 20?, 29司]
「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない」(§38 I)
「公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる」(§38 IV)
【§39(時事問題に関する論説の転載等)】
「新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説(学術的な性質を有するものを除く。)は、他の新聞紙若しくは雑誌に転載し、又は放送し、有線放送し、地域限定特定入力型自動公衆送信を行い、若しくは放送同時配信等を行うことができる。ただし、これらの利用を禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない」(§39 I)
時事問題
論説
【§40(政治上の演説等の利用)】
「公開して行われた政治上の演説又は陳述及び裁判手続…における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。」(§40 I)
【§41(時事の事件の報道のための利用)】 [H29司]
「写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴つて利用することができる」
報道の目的上正当な範囲
【§42(裁判手続等における複製)】
【§44(放送事業者等による一時的固定)】
【§45(美術の著作物等の原作品の所有者による展示)】
「美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は、これらの著作物をその原作品により公に展示することができる」(§45 I)
「前項の規定は、美術の著作物の原作品を街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合には、適用しない」(§45 II)
【§46(公開の美術の著作物等の利用)】
「美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる」(§46 柱書)
「前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合」(§46 ③)
「専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合」(§46 ④)
cf. 専ら [R1司]
「〔a〕著作物を利用した書籍等の体裁及び〔b〕内容、〔c〕著作物の利用態様、〔d〕利用目的などを客観的に考慮して、『専ら』美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する例外的な場合に当たるといえるか否か検討すべきことになる」
(東京地判H13.7.25.判時1758-137、バス車体絵画事件【76】)
cf. 美術の著作物 [H26司]
【§47 I(美術の著作物等の展示に伴う複製等)】 [H25司]
【§47の2(美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等)】
【§47の6(翻訳、翻案等による利用)】
「第三十条第一項、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十四条第一項、第三十五条第一項又は前条第二項 翻訳、編曲、変形又は翻案」(§47の6 I ①)
「第三十一条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第三項(第一号に係る部分に限る。)若しくは第五項(第一号に係る部分に限る。)、第三十二条、第三十六条第一項、第三十七条第一項若しくは第二項、第三十九条第一項、第四十条第二項、第四十一条又は第四十二条 翻訳」(§47の6 I ②)
cf. 要約引用
「要件を満たすような形で、他人の言語の著作物を新たな言語の著作物に引用して利用するような場合には、他人の著作物をその趣旨に忠実に要約して引用することも同項により許容されるものと解すべきである。その理由は次のとおりである。まず、著作権法三二条一項の解釈としても、引用が原著作物をそのまま使用する場合に限定されると解すべき根拠はないし、実際上も、新たな言語の著作物を創作する上で、他人の言語の著作物の全体あるいは相当広い範囲の趣旨を引用する必要のある場合があるが、その場合、それを原文のまま引用するのでは、引用の名の下に他人の著作物の全部又は広範な部分の複製を認めることになり、その著作権者の権利を侵害する程度が大きくなる結果となり、公正な慣行に合致するものとも、正当な範囲内のものともいえなくなるおそれがあること、また、引用される著作物が場合によっては、記述の対象が広範囲にわたっており、引用して利用しようとする者にとっては、一定の観点から要約したものを利用すれば足り、全文を引用するまでの必要はない場合があること、更に、原著作物の趣旨を正確に反映した文章で引用するためには、原文の一部を省略しながら切れ切れに引用することしか認めないよりも、むしろ原文の趣旨に忠実な要約による引用を認める方が妥当であるからである」
(東京地判H10.10.30.判タ991-240、血液型と性格の社会史事件【71】)
【§49 I(複製物の目的外使用等)】
「次に掲げる者は、第二十一条の複製を行つたものとみなす。」(§49 I 柱書)
「第三十条第一項…に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された著作物の複製物(次項第一号又は第二号の複製物に該当するものを除く。)を頒布し、又は当該複製物によつて当該著作物の公衆への提示(送信可能化を含む。以下同じ。)を行つた者」(§49 I ①)
「第三十条第一項、第三十一条第一項第一号、第三項第一号若しくは第五項第一号、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項、第三十五条第一項、第三十七条第三項、第三十七条の二本文、第四十一条、第四十二条又は第四十七条第一項若しくは第三項に定める目的以外の目的のために、第四十七条の六第二項の規定の適用を受けて同条第一項各号に掲げるこれらの規定により作成された二次的著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該二次的著作物の公衆への提示を行つた者」(§49 II ①)
【§51(保護期間の原則)】
「著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる」(§51 I)
「著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)七十年を経過するまでの間、存続する」(§51 II)
【§52(無名又は変名の著作物の保護期間)】
「無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年を経過するまでの間、存続する。ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後七十年を経過していると認められる無名又は変名の著作物の著作権は、その著作者の死後七十年を経過したと認められる時において、消滅したものとする」(§52 I)
【§53 I(団体名義の著作物の保護期間)】
「その著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年(その著作物がその創作後七十年以内に公表されなかつたときは、その創作後七十年)を経過するまでの間、存続する」
【§59(著作者人格権の一身専属性)】
【§61 (著作権の譲渡)】
「著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する」(§61 II)
特掲 [H22?, R3司] ★
「同法六一条二項の趣旨からすれば、『特掲され』たというためには、譲渡の対象にこれらの権利が含まれる旨が契約書等に明記されることが必要であり、契約書に、単に『著作権等一切の権利を譲渡する』というような包括的な記載をするだけでは足りず、譲渡対象権利として、著作権法二七条や二八条の権利を具体的に挙げることにより、当該権利が譲渡の対象となっていることを明記する必要があるというべきである」
(大阪高決H23.3.31.判時2167-81、ひこにゃん事件・抗告審【98】)
【§62(相続人の不存在の場合等における著作権の消滅)】
【§63(著作物の利用の許諾)】
「著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる」(§63 I)
「前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる」(§63 II)
【§64(共同著作物の著作者人格権の行使)】
「共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することができない」(§64 I)
「共同著作物の各著作者は、信義に反して前項の合意の成立を妨げることができない」(§64 II)
信義に反して [H30司]
【§65(共有著作権の行使)】
「共同著作物の著作権その他共有に係る著作権(以下この条において「共有著作権」という。)については、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができない。」(§65 I)
「共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない」(§65 II)
「前二項の場合において、各共有者は、正当な理由がない限り、第一項の同意を拒み、又は前項の合意の成立を妨げることができない。」(§65 III)
正当な理由 [H24, R4司] ★
「正当な理由が認められれば共有著作権の行使を望む他の共有者の権利行使を妨げる結果となることにかんがみ、〔a〕当該著作物の種類・性質、具体的な内容のほか、当該著作物に対する社会的需要の程度、当該著作物の作成時から現在までの間の社会状況等の変化、共同著作物の各著作者同士の関係、当該著作物を作成するに至った経緯、当該著作物の創作への各著作者の貢献度、〔b〕権利行使ができないことにより一方の共有者が被る不利益の内容、権利行使により他方の共有者が不利益を被るおそれなど、口頭弁論終結時において存在する諸般の事情を比較衡量した上で、共有者の一方において権利行使ができないという不利益を被ることを考慮してもなお、共有著作権の行使を望まない他方の共有者の利益を保護すべき事情が存在すると認められるような場合に、『正当な理由』があると解するのが相当である」
(東京地判H12.9.28.、経済学書籍事件)
cf. 民事執行法§177 I(意思表示の擬制)
【§75(実名の登録)】
「無名又は変名で公表された著作物の著作者は、現にその著作権を有するかどうかにかかわらず、その著作物についてその実名の登録を受けることができる」(§75 I)
【§112(差止請求権)】
「著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」(§112 I)
①依拠性 [R4司] ★★
「…著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいうと解すべきであるから、既存の著作物と同一性のある作品が作成されても、それが既存の著作物に依拠して再製されたものでないときは、その複製をしたことにはあたらず、著作権侵害の問題を生ずる余地はない…」
(最判S53.9.7.民集32-6-1145、ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件【42】)
「著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、〔a〕侵害の行為を組成した物、〔b〕侵害の行為によつて作成された物又は〔c〕専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる」(§112 II)
cf. 過剰差止め [H29, R5司] ★
「本件において著作権等の侵害となる写真は受注先である被告東亜の元従業員たる原告が撮影した1点のみで(しかも,原告が本件の訴えを提起するまで,前記9のとおり,被告東亜は本件原写真18を,原告が職務上撮影したものと誤解していた。),前記8のとおり,原告に生じる損害の金額は極少額である一方,同請求を認めるときは,被告らにおいて,既に多額の資本を投下して発行済みの本件写真集を販売等することができなくなるという重大な不利益が生じることになる。…
そうすると,本件初版,本件第2版及び本件第3版がいずれも増刷されておらず(弁論の全趣旨),本件写真集がさらに出版される可能性が小さいことも併せ考えれば,原告の被告らに対する前記差止め請求は,権利の濫用であって許されないというべきである」
(那覇地判H20.9.24.判時2042-95、首里城写真事件【88】)
【§113(侵害とみなす行為)】
「国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為」(§113 I ①)
「著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を、情を知つて、頒布し、頒布の目的をもつて所持し、若しくは頒布する旨の申出をし、又は業として輸出し、若しくは業としての輸出の目的をもつて所持する行為」(§113 I ②)
cf. リーチサイト (§113 II・III)
cf. 技術的利用制限手段の回避 (§113 VI)
cf. 技術的保護手段/ 技術的利用制限手段を回避する指令符号の譲渡等 (§113 VII)
cf. 国外頒布目的商業用レコードの輸入 (§113 X)
「著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなす」(§113 XI)
【§113の2(善意者に係る譲渡権の特例)】 [H24司]
「著作物の原作品若しくは複製物(映画の著作物の複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を含む。)を除く。以下この条において同じ。)、実演の録音物若しくは録画物又はレコードの複製物の譲渡を受けた時において、当該著作物の原作品若しくは複製物、実演の録音物若しくは録画物又はレコードの複製物がそれぞれ第二十六条の二第二項各号、第九十五条の二第三項各号又は第九十七条の二第二項各号のいずれにも該当しないものであることを知らず、かつ、知らないことにつき過失がない者が当該著作物の原作品若しくは複製物、実演の録音物若しくは録画物又はレコードの複製物を公衆に譲渡する行為は、第二十六条の二第一項、第九十五条の二第一項又は第九十七条の二第一項に規定する権利を侵害する行為でないものとみなす」
【§115(名誉回復等の措置)】 [R5司]
「著作者又は実演家は、故意又は過失によりその著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者に対し、損害の賠償に代えて、又は損害の賠償とともに、著作者又は実演家であることを確保し、又は訂正その他著作者若しくは実演家の名誉若しくは声望を回復するために適当な措置を請求することができる」
【§116(著作者又は実演家の死後における人格的利益の保護のための措置)】 [R1司]
「著作者又は実演家の死後においては、その遺族…は、当該著作者又は実演家について第六十条又は第百一条の三の規定に違反する行為をする者又はするおそれがある者に対し第百十二条の請求を、故意又は過失により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為又は第六十条若しくは第百一条の三の規定に違反する行為をした者に対し前条の請求をすることができる」(§116 I)
【§117(共同著作物等の権利侵害)】
「共同著作物の各著作者又は各著作権者は、他の著作者又は他の著作権者の同意を得ないで、第百十二条の規定による請求又はその著作権の侵害に係る自己の持分に対する損害の賠償の請求若しくは自己の持分に応じた不当利得の返還の請求をすることができる」(§117 I)