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『逆光記』〜『逆光』との出会い〜

 僕が初めて出町座で観た映画は『ワンダーウォール』という映画だった。京都大学吉田寮の存続をめぐって、大学側と学生側の対立を描いた作品だ。わざわざ広島を出て、京都の学生となったからには、京都の学生らしい、自分の「したいこと」だけを考えて面白いことをやりたいと思った。

 そして、 僕が『逆光』という映画に出会ったのは1年ほど前のことで、僕は『逆光』と出会うべくして出会ったと思っている。『逆光』というのもまた、須藤蓮さんの初監督・主演作品であり、脚本を渡辺あやさんが務めた。青年たちが描くラブストーリーである。

 まず、この映画は、広島は1970年代の尾道ということで、広島出身の僕にとって親近感がある。そして、個人的な繋がりのある広島蔦屋書店とのコラボイベントなどもやっており、尚更身近に感じる映画である。

 本来、映画というものは、シネコンで全国同時に封切られるか、東京のミニシアターから始まり、徐々に地域に広がっていくものだが(そんなに詳しくはないけれど…)、『逆光』は映画の舞台・広島での上映から始まり、1度京都での先行上映を挟み、そして去年の冬に東京で上映され、従来の映画の売り方とは逆の方向で宣伝配給がなされている。「これまでは非効率だと切り捨てられてきたものの中に、実は隠されていた可能性を証明していきたい」と言うのは監督・主演の須藤蓮さん。

 僕は昨年の出町座での先行上映の時、舞台挨拶に行きたくて、当日の朝に出町座に電話をかけてみたけれど、当然席は埋まっており、それは叶わない。それで予定もなかなか合わず、京都での先行上映最終日に出町座に滑り込んだ。喫茶ゴゴでお昼ご飯を食べて、たばこを吸いながら、蓮さんのインタビュー記事を読み、出町座で映画をみた。

 1970年代の空気がとても心地よい映画だった。もちろん、僕は2000年生まれなので、1970年代がどのような時代だったのかは、映画や本などのメディアでしか知ることができないのだが、スマホなんてもちろんなく、暇を潰すと言えば本を読んで、誰かと話して、散歩をして、たまに映画を観に行って。
   僕の4大暇つぶしは本・映画・音楽・酒なので、こんな生活が夢のように遠いものかと言えばそうでもないのだけれど、やはりこんな環境に身を置いてみることには憧れる。喫茶店に行けば誰かがいる。そこでは話している人もいるし、中には議論のようにバチバチしている人もいて、本を読んでいる人もいる。みんなたばこを吸っていて、1杯のコーヒーでできるだけ粘ろうとする。僕は生まれて来る時代が少し遅かったと思うことが多々ある。

 この記事を読んでいる、数少なく、とても有難い人たちの中に、僕と同じように1970年代の空気に憧れている人がいるかもしれない。もしかすると。そういう人は、是非とも『逆光』のSNSをチェクしていただきたい。もしかすると、1970年代に戻れるようなイベントがあるかもしれないので。

 なぜ僕が『逆光』についての愛を今頃、綴っているかというと、3月25日から出町座で始まる京都上映の宣伝配給のお手伝いをさせていただくことになったからである。「おじゃまします、京都。」ということで蓮さんが実際に京都に滞在し、町の人やお店の人に会いに行って映画の宣伝をするという、映画の配給宣伝活動とは思えないほど面白いプロジェクトも始まり、京都滞在中の蓮さんの片腕とまでは行かずとも、せめて薬指くらいの働きはしたいと思っている。

 『逆光』InstagramのDMにラブレターを送るところから始まって、僕に何ができるのだろうかという気持ちと、それよりも大きなワクワクが膨らんだ。持てる力と情報を全て駆使してなんとか多くの人に『逆光』伝えたいから、また近いうちに、『逆光』についてのnoteを書きます。


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