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追悼と覚悟
8月14日、今日は長野県某所の僕の生まれ育った故郷へと赴いた。
なぜ「実家」と表現しないか、それはいわゆる実家の意味するところである親が住んでいる家というのは別に存在するからだ。まあ要は父の実家であるその故郷から引越しをしているということである。
じゃあその引越しはなぜ?という話だが、ちょっと長くなるがお付き合い頂きたい。
もう8年前か、林業に携わっていた父は山中の事故で亡くなった。アナフィラキシーショックだったらしい。
そしてその後の諸々は割愛するが、元々父方の祖父と相性の悪かった母は僕含めたきょうだいを連れて飛び出し、最終的に母方の祖母のいる、母の実家へと転がり込んだ。
というのが引越しの経緯である。
あまり書く必要がなかったかもしれない。まあええわ。続けるで。
そういった引越しやその後のなんやかんやを経て、今回の帰省と呼べるか分からない単騎墓参り突発突撃に至り、大人になろうとしている"さし"という人物は色々思うところがあったのだ。
色々というか、父が報われなさすぎる。
では少し父という人物を掘り下げようか。彼は基本的におおらかで真面目な性格であった。仕事は先述の通り林業で(自治体では)それなりに良い給料をもらっていた。山仕事やキャンプの道具集めとコーヒーとタバコと酒が好きだった。
で、何が報われないのかって話だが、そこで母という人物も掘り下げる必要が出てくる。
母は縛られないことを好み、少々気が強く、あと浪費癖がある。絵は上手く、音楽はバンドものが好きな様子。一応不公平なのは嫌だったのでageな内容も書いた。まあ浪費癖については母方の祖母との幼少からの不和もあり、心を満たす方法を探していたのかもね。こちらにも救われない歴史があるのがなんとも。
で、話に戻るが、父のそれなりの稼ぎと母のパート収入で家計は何とか回るはずだった。だったんだよ。そう、母の浪費癖っていうのは生半可なものじゃなかった。
父は自分の楽しみであるコーヒーもタバコも酒もなるべく安く切り詰め、服も欲しいものは我慢して作業服を使い回し、キャンプ道具も収集を辞め、車もふたつのうちひとつを売ったらしい。
しかし、父がそこまでしても僕が覚えている中ではいつも家計は火の車だった。何故か習い事は充実していたが今思えばそれどころじゃないって。見直せよ。
そしてそんなストレスの中職場でのパワハラ。
それに対抗すべく退職して自力で会社を立ち上げて林業に力を入れるも志半ばで斃れる。
こんな話ねぇぜ。いたたまれねぇよ。
僕は遣る瀬無さのやり場に困りつつ墓石に合掌した。ちなみにこの家の僕らきょうだいと父母以外の住人であった祖父も祖母もつい最近亡くなっている。余計なんか遣る瀬無い。
でも、もしかしたら違う運命を辿れる世界線だってあったはずだ。そう。
もし父が自分の人生を生きれたら。譲歩はしてもそれ以上譲れないものを確かに守っていたら。もしかしたらそれで家族からの逆風を受けていたかもしれないが。まあ本人がもしそれで納得していたのならこんな妄想をするほど失礼なことは無いが、でも僕は楽しむことを譲らないでいて欲しかったと今は思う。
そう思ったきっかけは本日の送迎スペシャルサンクスでもある父方の叔母さん(父の姉)である。
彼女は長らく(僕の)母や姉らに悪く言われていた。というか多分今も。内容は「ワガママ」「旅ばっかしてフラフラして」など。僕もつられて半ばそう思っていた。
でもある程度頭が大人になった今話したら、彼女なりの考えや信念、悩みがあることが分かった。(というか僕のような根は真面目なのに社会に適合出来ないマンの先達であった。)
そしてその会話の中に「自分の楽しめることを優先している」という一貫性が見えた気がした。また、それに伴う周りからの悪い評価を無くすため自分の評価軸での行動をやめてしまうことは会話の中では見つからなかった。
ここまできっかけ、だよね?(確認)よしOK。
で、父について楽しんでいて欲しかったとか色々考えを巡らせていた訳だが、じゃあ僕はどうしていくのか、とさらに巡らせた僕はある決意をした。
よし、好きに生きるぞ。それの果てに汚名を着せられたって甘んじて受け入れてやろう。
そんな具合で。
父のように好きなものがあるのにそれに反して譲り過ぎてしまうのも、母のように欲求の根源を見つめられず何か代わりを探してインスタントに満たそうとしてしまうのも僕は嫌だ。目に映る範囲でちゃんと正面から欲求に向き合って行きたいのだ
もしかしたら叔母さんから感じたことは錯覚や誤読かもしれない。でもいいんだ。僕はそこに美しさを見出してしまったんだよ。
そんなことを噛み締めた実家を後にし、また木造6畳和室の生活が始まる。でも前と同じそれじゃない。今の僕にはわずかであれど覚悟が宿っているはずだから。逃げない。僕は選んだ道の結末から目を離さないでいたい。これが愛ってやつだよ。ちょっと何言ってるか自分でわかんなくなってきた。
ということで、確かに生きた人間の歴史への追悼と、それを無視せず、不意にしないための覚悟でした。
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