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『腸と脳』

『腸と脳』―体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか
エムラン・メイヤー (著), 高橋洋 (翻訳) 
2018/7/18発売
紀伊國屋書店 発行

今や私たちは、心、体、体内の生態系を保全するエンジニアに、自分自身がならなければならない。

第1部 体というスーパーコンピューター より

最近になり腸内細菌の研究が進みその役割が少しづつ解明されてきた。
その中には脳と緊密に会話をする脳腸神経の存在も明らかになってきた。
町の中には100兆を超す細菌が生息しており、それぞれが協力しあって人体に必要な栄養素や病原菌に対抗する抗体を作っているという。

それらを「腸内細菌叢」(腸内フローラ)と呼び細菌たちが生活する草原をイメージしていると思われる。
これを牧場だと考えてみると、私達が口にしている食物は牧場の牛(細菌)の餌になっているわけで、牛が消化できるものでなければいけない。
それらをコントロールし腸と対話しながら体内の生態系を保全するエンジニアにならなくてはいけないのだ。

細菌たちが地上に誕生して何百万年の進化を経て取り込むことが出来るようになった栄養素を食べるようにすることで人間の体のバランスも保てる。
新しく作られた成分は未だに細胞たちが取り込むことができないものが多いため数百年後には取り込むことができるようになるだろうが今はできるだけ摂取しないほうがいいのであろう。

私達が食べたいと思っているものの中には「私」が食べたいのではなく身体が必要だから「私」に食べたいと思わせて摂取しているものがある。
その最たるものが日本人の大好きな「出汁」であり旨味成分である。

グルタミン酸とは
 タンパク質を構成するアミノ酸の一つであり、ヒトを初めとする動物においては非必須アミノ酸、即ち他の有機化合物から合成する事が出来るアミノ酸である。脊椎動物中枢神経系での主要な神経伝達物質である。また、節足動物では、神経筋接合部に於ける神経伝達物質である。イオンチャネル型、代謝活性型の2種類のグルタミン酸受容体を介して作用し、主要な興奮性伝達を担う。一方で、過剰な活性は神経細胞死を引き起こす。またグルタミン酸性シナプスの異常により統合失調症、自閉症が引き起こされるとも考えられている。

グルタミン酸 - 脳科学辞典

この著者は言葉を慎重に選びながらこの本を執筆している。
自分の体験と、患者とのやり取りを細かく書いているため分かりやすい。
前半は最近の研究内容の推移と実例を書き、後半にはアメリカ的な日常食に警告を鳴らしている。

農業、畜産業も最近は有機農法が流行だが、そもそも工業と同じ発送で、生産収量を増やすことを目的に色々な方策が施されてきた。
鶏はケージに牛も柵に囲われ一日中餌を食べて大きくなることを目的に飼育されている。
その餌の中には病気になる危険性から抗生物質等の薬剤、成長を早くするための成長ホルモンなどが与えられることもある。
また、油と水が混ざり合うようにするために加えられるのが乳化剤で体内に入れば細胞膜は油でできているため壊されてしまう可能性が高い。
著者は以下のように記している。

残念ながら、このような変化に対応する防御手段が、進化の過程を経て組み込まれるだけの時間は まだ経過していない。そのため私たちの身体は、この「すばらしい新食品 (Brave New Food)」に対する順位がまだ整っておらず、しかも人々がその危険に気づき、対策を講じるようになったのは最近のことにすぎない。

ピロリ菌をやっつけるため先日、抗生物質を服用した。
その後の体の反応は下痢ではないが便が緩く不定期な便通となり肌がガサつき腸内細菌叢が悲鳴を上げているのが聞こえるようだった。
そんな事を経験したのに何週間か後、ランチをケーキにしたことがある。
近所の「不二家レストラン」ではケーキバイキングを実施しているがさすがにそれだけ食べるのは無理なので、ケーキ3個セットをいただいた。
不二家のケーキは少し大ぶりで満足感たっぷり、甘さも控えめで大満足だった。最後の3個目を食べ進めもう少しという時にちょっと胃から上がってくる感触を覚えたが最後までドリンクバーで流し込んだ。

帰宅してから便意でトイレに駆け込むこととなるのも知らずにだ。

急激な糖分摂取は腸に負担をかけることを知らなかったし、その位の量でそうなるとも思っていなかった。
隣の席の女性たちは10個位のケーキを平らげていたので、私には耐性がないのだと思い知らされました。

このように体のバランスは非常に崩れやすく、以上があれば排出されバランスを保とうとするシステムが備わっています。
そしてそのバランスや腸内細菌叢の分布は3歳頃までに決定し成人になると変化はしなくなるそうです。
まさに「三つ子の魂百まで」ですから、大事にしていきたいと思います。


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