おいしいとは
私はテレビっ子だった。今は好きな番組だけ録画して、録り貯めたものを好きなタイミングで見る。
録画するようになって、ほとんど旅番組しか見ていないことに気がついた。ローカルな場所で出会う物語、それを見て同じ体験をしたくなる。テレビの定番の楽しみ方じゃないかと思う。
今、マツコ・デラックスが徘徊してひたすら食べる番組を見てる。このご時世で徘徊できないので、過去に訪れた場所を集めて編集したバージョンだ。いつも見ているから、ほぼ内容を覚えているものばかり。
本当にマツコさんはうまそうに食べる。味というか、食べ物への執着心みたいな。そこへのこだわりを感じて、自分の探求心を駆り立てる。
そもそもおいしいものとは、過去に食べたおいしいものをまた食べたくなる、そんな感情から連想されるものではないのだろうか。あとは新しいことをしてみたい欲求から、食べたことないものを食べてみたい気持ちが生まれるのではなかろうか。
番組の中で、ホットケーキのお店が出てきた。パンケーキじゃなくて、ホットケーキ。戦後、食べるものも少ないときに母親がつくってくれた味を思い出してつくっているそうだ。
きっと味はその頃よりも格段にうまい。再現しているのは、ホットケーキを食べれたときのうれしい感情を再現できるように、味を探求しているんだと私は解釈した。
いくら科学が進化して舌がどんな味に旨みを感じるかわかるようになっても、母の愛の味は再現できないだろう。探求心が旨みを生み出し、愛が記憶に残る。
誰かがこだわって考えたおいしさを探しにいく。今日は外食にしようかな。