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〈詩〉雉鳩の巣

疲れたねと君が言い
ほんと疲れたよねとぼくが言うと
君はずいぶんほっとする
でもぼくは時々疲れていないから
疲れてないよと言うことがある
すると君はがっかりして
一緒に疲れていたかったのにと言う
だから時々ぼくは嘘をつく

白樫の木の雉鳩の巣をこわしたのと君が言い
空気が少し張りつめてぼくは少し動揺する
わけあって仕方のないことが時にはあるもんだよと言うのが
ぼくの正しい受け答えなのだろうか

白樫の枝葉の茂りをかき分けた跡
雉鳩の巣はこの高さにあったのだなと思う
君の犯した罪の残骸とぼくの空白の吹き出し

それにしても今日の空の高さと来たら
こんな青空は年に何回もない
お天気の話をすることを思いついたぼくが
部屋にもどってねぇと話しかけると
今日はほんとに疲れたわと君が言い
そうだねぼくも本気で疲れたよと言いながら
カーテンの陰に隠れて
ぼくたちはしばらくいっしょの時を過ごすのであった


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