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〈短歌2首〉行く夏

暑さのあまりに厳しい頃には歌はなかなか生まれて来ませんでした。8月の終わりになってようやく出てきました。

種々の虫の音色を聞き分けて夏の夜夢の中で覚めたり
青柿の枝をはなれて地に落つるまでの時間を思い遣る朝

1首目の「夜」は「よ」。「覚めたり」は「覚めている」ということですが、覚めていると言っても夢の中でのことなんです。だから本当は覚めていなくて、覚めている夢を見ているんですね。でも、虫の声は現実のものです。
2首目は、ちょっと説明過剰になってしまいますが、目の前にあるのは道路に落ちているひとつの青柿だけです。そこから心の中で時間が遡りました。

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