見出し画像

ただぼんやりした不安

芥川龍之介氏の遺稿
「或旧友へ送る手記」に綴られた

「将来に対する唯ぼんやりした不安」

という言葉が胸に刺さります。     

氏の生活や言動、或いは晩年の作風をみるに、多くの前兆があったかと思いますし、心配し、気にかけていた人も多かったと思われます。

自死する少し前、氏は何人かの文壇の仲間、業界関係者に、用件は不明ですが会いに行ったそうです。たまたま多忙や不在で会うことができなかったそうで、その方々はすごく後悔したそうです。

唯ぼんやりした不安。「或旧友へ送る手記」からはその本質を読解し難いです。

ただ、「なぜ死ぬのか」より「どう死ぬか」について逡巡している辺りに、差し迫った状況を感じます。

ぼんやりした不安でも何でも良いから、話してくれると嬉しいです。

ぼんやりした不安ほど恐ろしいものはないです。 原因が分からず、頭の中に雲がかかって、何も考えられず、自分が壊れて行く。

その前に。

私は詮索しません。君の心のなかを、君の言葉で話してくれればそれでいいです。

だから、今日は話してくれてありがとう。君は私の後悔から私を救ってくれました。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?