劇場型特殊詐欺を見抜けなかった話
こんにちは、おとうふです。
劇場型特殊詐欺にやられました、はい。
やられたと言っても金銭的な被害はなく、
口座情報やクレカ情報なども渡していないので
その辺は大丈夫なのですが…
何より、警戒していた上でわからなかったので
とても悔しいです。
というわけで、いつもは闘病日記を中心に書いていますが、
特殊詐欺体験記ということで書いていきたいと思います。
きっと誰かの役に立つかもという気持ちで…
警視庁を語る男からの電話
お昼前頃、1本の電話が鳴りました。
電話番号は070から始まる番号。
基本的に知らない番号からの着信って出なくて良いとは思うのですが、
私の場合ちゃんとした用件で知らない番号から着信があったりするので
いつも通り出てみました。
すると、いきなり
「おとうふさんですか?」
と私の苗字を尋ねてきます。
「はい」と答えると再び
「おとうふおとうふさん(フルネーム)で間違いないですか?」
と聞かれました。
「はい」
と再び答えました。
すると、
「警視庁捜査二課の〇〇です」という男性。
「あなたの楽天銀行が犯罪に使われている可能性があり、電話しました」
という旨のことを言われました。
??!
この時点で「もしかして警察になりすました詐欺か?」
ということも頭の中にありました。
そのため、隣で仕事をしていたとりあたまにも
Wチェックしてもらうという意味でも
スピーカーフォンに切り替えました。
話を聞いてみると
・先日大規模な資金洗浄(マネーロンダリング)事件があり、その容疑者を逮捕した
・大阪府警から依頼を受けて連絡している
・容疑者は「いけだ たかまさ 38歳」
・容疑者を家宅捜査したところ、4,000件くらいの銀行口座が不正に使われている大規模な資金洗浄事件だった
・不正に利用された銀行のキャッシュカードの中から、あなた名義の楽天銀行のキャッシュカードが出てきた
・現時点ではあなたも犯罪に関わった可能性も否定できないので捜査したい
という旨のお話でした。
私もスピーカーフォンで話を聞きながらPCも触れたので、
本当に存在した事件なのか検索しながら聞いていました。
調べると、確かにそれらしき事件が出てきました。
なので、この事件自体は本当にあって、
確かに容疑者も逮捕されていました。
また、「大阪府警から依頼を受けて警視庁が連絡してくること」
についても不自然な気はするのですが、
4,000件くらいの銀行口座情報を調べているのであれば
悪用された人も全国各地にいるはずです。
それを大阪府警だけで捜査するのは大変であろうから、
一旦各管轄の警察が確認の電話連絡をするのも
あり得ることなのかなと思ってしまいました。
なので、私は都内在住のため
警視庁から一旦連絡がくることもあるのかなと思いました。
また、「携帯電話からの連絡なのだから怪しい」
という発想も当然ありました。
しかし、以前家族が保健所の仕事で
「コロナのクラスターが出た施設などに電話連絡をして状況を確認、指導する」
という業務をやっていたのですが、
その時も携帯電話から各施設に電話連絡をしていました。
そのため、公共の機関が携帯電話で連絡することもあるだろう
と思ってしまいました。
また後述しますが、
警察の方に「本当の警察から携帯電話で連絡が来ることはあり得ますか?」と尋ねたところ、
「全国ではもしかしたら携帯電話から連絡をするところもあるかもしれない」と言っていました。
なので、「携帯電話からの連絡=100%詐欺」とは言い切れないようです。
さて、話を戻しますが、
そんな感じで用件が伝えられました。
楽天銀行を開設したことがあるか聞かれたので、
「現在は全く使っていないが、おそらく8年か9年くらい前に開設した気がする」
と答えました。
そしたら電話口の男は
楽天銀行を開設したであろう当時の住所を言ってきました。
これがなんと建物名から部屋番号まできっちり正しかったのです。
ここは信用度が上がってしまったポイントでした。
自分ですら忘れかけている8〜9年前に住んでいた住所を
正しく読み上げられてしまったので…
そんな感じで押収された楽天銀行のキャッシュカードの名義が私であると確認が取れると、
警視庁を名乗る男は
「大阪府警の担当に転送するので、このまま30秒から1分ほど待ってください」
「これから伝える事件名と事件番号を大阪府警の担当に伝えてください。
事件名称は、いけだたかまさ資金洗浄事件
事件番号は、ワ 〇〇〇〇〇〇」
と言われました。
一応ですね、この時もまだ念頭に「もしかしたら詐欺かも」という思いは残っていたので、
転送される前にもう一度確認で警視庁を名乗る男に
部署と名前を聞いておきました。
そうなんです、
それくらい「詐欺の可能性もあるぞ」と思っていてもやられたのです。
本当に気をつけてください。
で、数十秒ほど待っていると、
今度は大阪府警捜査第二課を名乗る男性が出てきました。
詐欺グループなのであれば元々の警視庁を語る男も、
新しく出てきた大阪府警を名乗る男もおそらく同一ないし近い場所にいる可能性が高いのではと思います。
しかし、明らかに電波環境が変わっていました。
最初の警視庁を語る男は電波環境が悪く、話が聞き取りにくくて
何度も聞き返すことがありました。
一方、大阪府警を名乗る男は
とても聞き取りやすい電波環境になっていました。
なので、「本当に違う場所に転送された=大阪府警に繋がった」
という気がして
ここでは大きく疑問を持つことができませんでした。
電話口の男に先ほどの事件名称と事件番号を伝え、
改めて事件の概要などを聞かされました。
そして、
大阪府警男「まず、【いけだたかまさ】を知っているか?」
おとうふ「全く知りません」
というやり取りの後、
「取り調べをしたいから大阪府警まで来てほしい」
と言われました。
流石にすぐ大阪に行く予定を組み込むのは難しいので、
大阪に行くことはできないと伝えました。
大阪府警男は、
「それでは、このまま電話で捜査を続けます」
とのこと。
そして、
大阪府警男が
「あなたの電話やメッセージの履歴などをこれから調べて、
本当に容疑者らと連絡を取ったりしていないかを確認するため、後ほど【信号検査】というものを行う。
ただ、信号検査は携帯電話でのやり取りはこちらで確認することができるが
LINEはアプリという性質上、LINE自体が通信されていないと信号検査をすることができない。
そのため、これからこの事件用に作った大阪府警のLINEアカウントと繋がってもらい、
そこで通信を繋げる」
と言われました。
はい、ここが1番わかりやすいポイントでしたね。
警察がLINEアカウントを使ってやり取りすることはあり得ません。
ここをスルーしてしまったこと、猛烈に反省しています。
で、先方からLINEのIDを伝えられ、それを検索
→出てきた「大阪府警特殊捜査本部」というアカウントをお友達追加
をしました。
お友達追加後、
「間違いなく私(おとうふ)のLINEアカウントと繋がったか確認のため、
6桁の番号を送るので届いたら読み上げてほしい」
と言われ、すぐに6桁の番号が送られてきたので読み上げました。
大阪府警男「はい、確認できました。」
と。
そして、
・府警に来れない状態なので、特例でビデオ通話しながら取り調べを行いたい
・取り調べ室と同様の環境で行わなければならないので、自分1人だけの環境で話をしてくれ
・本人確認をお互いにするので、私(大阪府警男)もビデオONにして警察手帳を提示するので、あなたも身分証を用意してくれ
・身分証提示の際、免許証番号などは隠してもらって構わない
などと言われました。
この「免許証番号は隠して提示してOK」などのバランス、
めっちゃ巧妙だなと思いました。
流石にそう言われたのでとりあたまも聞いている状態で話すわけにはいかないので、
私だけ1階のガレージに移動し、1人の環境になりました。
そこで、電話は一旦切り、
LINEのビデオ通話で先方から着信がありました。
画面越しに黒いスーツ姿の40歳前後くらいでしょうか、
淡々と仕事をこなす警察官っぽい男性が映りました。
先ほど言われた通り免許証番号を隠して免許証を提示し、
先方も警察手帳を提示してきました。
この提示の仕方も丁寧で、カメラギリギリまでちゃんと警察手帳を近づけ、
「大阪府警の〇〇□□です。読めますか?」
と、フルネームをしっかり確認させるようにして見せてきました。
ここからは色々聞かれたので時系列を正しく把握していないため、
聞かれたことを箇条書きしていきます。
・生年月日
・住所
・現在の仕事
・とりあたまも個人事業なので、今はとりあたまの仕事をできる範囲で一緒にやっていること
・昨年の年収
・世帯年収
・住民票がどうなってるか
・持ち家or賃貸(家賃はいくら?)
・持っている銀行口座はどこか(メインで使っている銀行口座は?)
・銀行口座の残高はいくらか?
・ローンや借り入れなどはあるか?
・旅行にはよく行くか?(アゴダとか旅行サイトから情報が漏れることがあるらしい)
・マッチングアプリをやっているか?(これもサイト登録の際に身分証提示したものとかが流出したりするらしい)
などなど聞かれて答えました。
「そんな情報根掘り葉掘り聞くのおかしいやん!」
と後になってはもちろん思うのですが、
私が答えた情報と先方が捜査して確認した情報に齟齬がないか確認するために色々聞かれているという認識だったので、
全部答えてしまいました。
この中で重要なのはやはりお金との関連性が高い情報ですね。
1番は銀行口座の残高、つまりは資産状況です。
ここで「こいつ金持ってるぞ」と思われると
危険度が一気に増すわけです。
ただですね、私がメインで使っている銀行口座、
雀の涙程度にしかお金が入っていません。
そうです、つまり犯人側からすると
狙う価値なしの用なし人間であると認識されたと思います。
ああ、なんて悲しいことでしょう。
さて、こういうやり取りを一通り行い、
大阪府警を名乗る男は
「現時点では私はおとうふさんは事件には関わっていないと思っています。
そのため、今後また銀行口座情報なども調べて怪しいお金の動きであったり、
そういった不審な点が出てくればご連絡しますが、
怪しい点が何もなければこれで終わりになります。
なので、1週間しても特に連絡がなければ、自分の身の潔白は証明されたと思ってもらって大丈夫です」
と言われ、通話が終わりました。
最初に警視庁を名乗る男から着信があってから、
すでに1時間以上経過していました。
流石に疲れましたね。
夕方、ちょうど家族と電話をしたのでその際に
「今日警察から電話があってさ〜」
という話をしたところ、
「念の為、本当に警察からの連絡だったのか、確認だけしてみたら?」
と言われました。
そう言われた途端、急に不安を感じました。
「う〜む、確かに怪しい点もあったし念の為確認するか…」
そう思い、大阪府警に電話します。
「今日捜査二課の〇〇様から電話があったんですけど…」
という事情を話すと、
「〇〇という人間はいません」
とのこと。
ガビョーン。
はい、詐欺であったことが確定しました。
流石にびっくり&常に疑う気持ちがあったにも関わらず
見抜けなかったことに大ショックを受けました。
そんなわけで本物の大阪府警の方に事情を全て話し、
「我々からも警視庁に伝達はするが、念のためあなた(おとうふ)からも管轄の警察署に連絡して事情を話してください」
と言われました。
なので、管轄の警察署にも連絡して事情を説明。
冒頭お伝えしたように、銀行口座情報やクレカ情報は伝えていないので
その辺は大丈夫なのですが、
住所を伝えてしまっている点だけが心配でした。
最近は強盗なども頻発していますしね…
ただ、警察の方も
「強盗などのリスクもあるのでお金がしっかりあるということを犯人側に伝えてしまっていると危険なので、
そういった場合はしばらく別の場所に避難して生活してもらわないといけなくなる。
しかし、あなたの場合は資産状況からして…多分大丈夫でしょう」
ということでした。
はい、貧乏は狙う価値なんてないのです、
当たり前です、ありがとうございます。
そして、犯人グループが使っていたLINEアカウントなど写真を撮りたいので警察署に来れるか?
と言われたので、本日行ってきました。
LINEアカウントや最初に着信があった番号の写真撮影などしてもらい、
せっかくなので色々お話も聞いたりしました。
ちょうど昨日別の方も、石川県警を名乗る人間から同じように資金洗浄事件で銀行口座が悪用されたと
電話があったそうです。
その方も資産状況や銀行口座情報を伝えてしまったので、
一時的に別の場所に避難しているとのことでした。
きっとちゃんとお金をお持ちの方なのでしょう、羨ましいですね。
また、中には画面越しに「実はもう逮捕状が出ているんですよ」
と脅してきて
お金を奪おうとしてくるケースもあるそうです。
どうやって防げるのか、警察を名乗る人間から電話が来たらどうする?
さて、今回のように警察を名乗る電話があったら
一体どうしたら良いのでしょうか。
それも質問してみたところ、
「今は忙しいので後で掛け直す、連絡先と部署、名前など教えてくれ」
と伝え、ちゃんとした警察の電話番号にかけ直して
確認するのが良いとのことでした。
そして、警察がLINEで連絡をすることは100%ないので、
LINEを使っての連絡なら詐欺で間違い無いとのこと。
これは聞き忘れたのですが、「信号検査」というのも無いですね、多分。
あと、非通知は当然論外で、+から始まる海外からの着信も警察であることは当然ありません。
ややこしいのは、
今回のように携帯からの連絡は100%詐欺とは言い切れないこと。
なので、携帯からの連絡であれば先ほど書いたように
連絡先など聞いてこちらから掛け直す作戦の採用がやはり吉ですね。
また、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
警察の電話番号は末尾が0110です。
ただ、末尾0110であれば絶対警察であるとも限りません。
調べたらこのように末尾0110=警察という認識を利用した詐欺も発生しているようです。
昨日本物の大阪府警から再度着信があったのですが、
その際の末尾も0110ではなく1234でした。
ただ、06-6943-1234という番号で、
これは調べてもすぐ出てきますが間違いなく大阪府警の電話番号です。
なので、末尾0110にこだわるのも危険と言えそうですね。
まとめると、
・警察を名乗る電話は連絡先や部署、氏名を聞いて折り返す
・警察がLINEを使って連絡することは100%ない
・非通知や+から始まる海外の番号から警察がかけることもない
・携帯電話からの連絡は絶対ないとは言い切れないので、折り返し作戦を繰り出すのが吉
・末尾0110にはこだわらないほうがよい
・電話口で振込やギフトカードの購入などの指示は当然あり得ないので詐欺
といったところでしょうか。
私も警戒していましたし、
それこそ「いますぐ振り込め」とか「クレカ情報教えろ」など
直接的に金銭被害が想定される情報を要求されたら
すぐに詐欺であると認識できたと思います。
しかし、今回の相手方はそういった情報を
要求してくることもなかったので、
逆にそれも疑いの気持ちを減退させた理由となりました。
とりあたまが調べたところ、同様の手口の場合、
銀行口座残高など資産状況を伝えた後、「こいつお金あるぞ」と思われると
うまいこと言いくるめて振り込ませようとしてくるケースが多いそうです。
私の場合、なんたってメインバンクの残高がチンチクリンですから、
そんな人間相手に「今すぐ振り込め!」と言ったって
「え?ほ、ほんの少しならなんとか…」
みたいな話になってしまいますし、
犯人側としても「こいつはダメだ」となったのか、
私に至っては具体的な振込指示であったりといったことはありませんでした。
良かったです。良かったけど….
とても悲しく、切ない気持ちです。
そんな感じで、だいぶ長くなりましたが
最後までご覧いただきありがとうございました。
私も今回の件をネットで調べたりもしたので、
この記事が少しでもお役になり、
詐欺被害防止に貢献できたら何より嬉しいです。