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腹膜中皮腫闘病日記 vol.23~使用する抗がん剤とオプジーボのお話~
前回のお話はこちら。
2024年6月12日
いよいよ1回目の抗がん剤で入院となりました。
入院は1週間弱の予定で、
副作用の状況を見ながらの退院となりそうでした。
入院中に暇になってしまうと辛いので、
今回は盤石な準備をしていきました。
入院の準備
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PS2の『トルネコの大冒険3』をやるために
PS2一式やメモリーカード、小さめのテレビまでハードオフで揃え、
メルカリでワンピース全巻セットを用意、
その他にも本など色々持ち込みました。
何しに行くのかわからなくなりそうですが、
本当に退屈になるのだけは避けたいんですよね。
ということで、いざ病院へ。
今回も4人部屋での入院です。
腹腔鏡の時は結構同室の方の声や音などが
騒がしい感じだったのですが、
今回の病室はとても静かでした。
外科病棟と内科病棟ではやはり違うのでしょうね。
PS2はファンの音が結構うるさいので、
これだけ静かだとトルネコ3をプレイするのは
ちょっと気が引けてしまいます。
ただ、せっかく用意したのでどこかのタイミングでプレイしたいところです。
で、入院当日は色々と説明がありました。
抗がん剤も初めてですしね。
ということで、
抗がん剤についてちょっと説明していこうと思います。
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実施する抗がん剤について
まず、私が患っている悪性腹膜中皮腫ですが
「悪性腹膜中皮腫向けの抗がん剤」というのは存在しないのです。
希少がんならではの辛いところですね。
使用する抗がん剤のお話をせっかくするので、
ちょっとこれまでの腹膜中皮腫の治療法について簡単にまとめてみます。
まずですね、中皮腫という癌にはいくつか種類があって、
中皮腫の中で1番ポピュラーなものとして
胸膜中皮腫
があります。
腹膜の癌か胸膜の癌かという違いなのですが、
専門的な見方をすると似ている部分もやはりあるようです。
その似ている胸膜中皮腫で一定の効果を得てきた
・シスプラチン
・ペメトレキセド
という抗がん剤があります。
なので、
「まぁ胸膜に効くから腹膜にもある程度効くんじゃないか?」
ということでそららを腹膜中皮腫に用いて、
実際に腹膜中皮腫でも一定の効果を得てきていました。
そんな経緯で、これまで腹膜中皮腫の治療では
シスプラチンとペメトレキセドを使用するのが一般的でした。
しかし、シスプラチンとペメトレキセドが効かなかった場合、
次の手段がなかったのです。
そのため、長年新しい治療法が切望されていました。
そんな中、2014年にオプジーボという抗がん剤が登場しました。
オプジーボは免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる薬剤です。
ちなみに、オプジーボを用いた治療法を発見した本庶佑さんは
2018年にノーベル賞を受賞しています。
(参照:https://www3.nhk.or.jp/news/special/nobelprize/2018/jyusho/index.html)
免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ)とは
免疫チェックポイント阻害薬についても簡単に説明してみます。
まず、身体の中で重要な免疫機能を果たしているT細胞というのがいます。
『はたらく細胞』でもキラーT細胞が登場したりするので、
ご存知の方も多いかもしれません。
で、そんなT細胞ですが表面にはPD-1というタンパク質があるそうです。
PD-1がブレーキ役になっていて、
T細胞が過剰に仕事をしないように抑えています。
T細胞にはがん細胞をやっつけて欲しいところですが、
がん細胞はPD-1を利用しPD-L1というタンパク質をPD-1にくっつけて
T細胞を休ませてしまうのです。
そこで免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ)の出番です。
こちらを使用すると、
なんとPD-1のブレーキスイッチを解除し、
T細胞の本来の能力を発揮させることができます。
要するに、
免疫チェックポイント阻害薬でT細胞を卍解させてやるわけです。
(参照:https://biken.yawaraka-science.com/qa/detail/85)
そんなオプジーボですが、胸膜中皮腫に対しては
2018年に単剤療法が、2021年5月にはオプジーボとヤーボイの併用療法が承認され
保険適用になっています。
では、私が患っている腹膜中皮腫ではどうなのかというと...
2023年2月に胸膜以外の中皮腫での承認申請が、
そして2023年11月に承認され、現在では腹膜中皮腫でも保険適用となっています。
(参照:
https://www.ono-pharma.com/ja/news/20231124.html
https://www.chuuhishu-family.net/3034/)
なんと、私の癌が発覚したわずか半年前に承認されたばかりなのです。
まさに不幸中の幸いですね。
つまり、今日現在腹膜中皮腫の治療法として選択できる抗がん剤は
・シスプラチン&ペメトレキセドの長年使用されてきたコンビ
又は
・新しく承認されたオプジーボ
のどちらかということになります。
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あ、ちょっと余談ですが...
この画期的な免疫チェックポイント阻害薬の名前を利用し
「免疫療法はすごい!」と謳い、
エビデンスのないわけわからん民間療法を提供しようとしてくる人もいるらしいです。
どうしてもね、癌になると
「病気が治るならいくらでも払う!」
という気持ちになってしまい、
そこを突かれて悪い人たちの食い物にされてしまう
がん患者さんもいます。
免疫チェックポイント阻害薬と免疫療法は全く違うので、
そこを混同して後悔する人がいなくなったら良いなと思っています。
話を戻しまして、
2択のうち私はどちらになったかというと...
シスプラチン&ペメトレキセドの実績ペアとなりました。
実はですね、この時はシスプラチン&ペメトレキセドが第1選択であろうと私たちも思っていたので、
何1つ疑問も持たなかったのです。
なので主治医の先生にも特に質問することもなく、
シスプラチン&ペメトレキセドで治療を開始することになりました。
またオプジーボのお話は追って書きたいと思います。
そんな感じで、6月12日からの入院で
この2剤を投与することになったわけです。
ちょっと長くなってしまったので、
今回は一旦ここで終わります。
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