page.21 論述債務の発生事由

論述は議論の本質的構成要素であるが,これを恒に誰にでも請求できる(或は,我々はみんな,誰に対しても恒に論述を加える義務を負っている)と考えるのは不合理であろう。

本書では,論述をしなくてはならないという義務を【論述債務】と称ぶことにして,その発生事由や消滅事由なども考えていきたい。そこで,本項では取り急ぎその発生事由を簡単に述べる。

AのBに対する主張aの論述債務は,【Bの論理体系にAがaによって対抗しようとするとき】に生じるのだと考えられる。端的に,論述債務は【外部への侵攻】に付従すべきだろう。

ぎゃくに,AがaによってBの論理体系に対抗しようとしないのであれば,Bはaの論述請求権を持つべきではない。

また,先述した“対抗しようとするとき”というのは“おなじ共同体意識の内側に”という文と緊密である。

互いに論理体系の変容を求めるC,D間には,互いにその論述をする債務,これに対応する債権を認められる。

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