チームでいいアイデアが出なくて困ってる人は、アイデアそのものじゃなくて、直前にある「視点」に注目しよう
寒くなってきましたね、こんにちは。最近はオフラインで集まって会議みたいなことも少しずつ増えてきました。ちょっと前に少人数でアイデア出しをするときがありまして、そのときに後輩がこんなことを言ってきたんですね、
アイデア出しでメンバーが出してきたアイデアが正直微妙だった時に、それをどう扱えばいいかわからない、アイデア出しがしぼんでしまう。
なるほどと思いました。たしかにファシリテーションだとかワークショップだとかを生業にしているとそういうシーンによくぶつかります。
というか、Post-itやブレストという言葉がこれだけ普及した昨今では、多くの人が遭遇している状況なんじゃないかと思います。例えば同僚と新商品のアイデア出しをしているとき、上司と会議で会社の抱える課題の解決策を考える時、良いアイデアが出なくて困っている人はたくさんいるんじゃないかと思います。
例えばあなたが上司から「社長が推進している健康経営の実践のために、新しい企画を考えてくれ」と言われたとしましょう。とりあえず部署のメンバーを数人集めてアイデアを考えてみます。
先輩が「そうだ、健康診断の数を増やしたらいいんじゃないか」と言ってみたとします。こんなことを言ったらあれですが、誰でも思いつきそうなアイデアです。他の同僚も「ジムに通うための手当てを出しましょう」などと言うかもしれません。
おそらく、それらのアイデアを上司にもっていってもあまり喜ばれないでしょう、なぜなら誰でも思いつきそうなアイデアですし、メリットも正直曖昧です。あなたがアイデア出しの幹事だったとき、どうすればいいか。
そもそも、一発で良いアイデアを出そうと思わなくていい
ここに大きな誤解があるのではないかと思います。集団でのアイデア出しにおいては、誰かが良いアイデアを突然出してくれて、それにみんなが感動し、それでいこうと決まる、みたいなことを夢見ているのではないかと。
断言してもいいですが、そういうシーンは結構稀です。稀ですというか、あるっちゃあるんですが、インプットの量だとか事前リサーチの苦労だとか、個々人の体調や創造性、もうたくさんの変数が重なった結果生まれるものなので、正直そこに期待するのはギャンブルすぎないかなと僕は思っています。
なので、まず一旦諦める。いいアイデアが一発で出ることなんて諦める。(ただ、これを読んでくれている人が実績溢れるコンサルタントであったり、クリエイティブな職業についているなら別ですが。)
そもそもブレインストーミングという言葉の原義に立ち返れば、目的はブレイン(脳)をストーミング(嵐のように交錯)することが目的なわけで、良いアイデアをみんなでぶつけあうわけじゃないのです。1人では解決できない問題を複数人で知恵を出し合いながら、少しずつ解決に向かっていくことが目的なわけです。
アイデアそのものじゃなく、視点に着目する
ということで、僕が後輩に答えたのはアイデアじゃなくて視点に着目してみては、ということでした。下の図をみてほしいのですが、例えば誰かがアイデア出しでアイデアをいったとき、そのアイデアはこんな構造になっています。
人はアイデアを考える時、外からみるとお題からいきなりアイデアに飛んでいるように見えます。しかし実際にはその間には「そのお題をどう解釈したのか?」という視点が潜んでいます。
なので実際はこうなのです。お題、視点、アイデアという順に考えています。ビジュアルでわかりやすくするとこんな感じですかね、
よくある氷山のメタファーですが、水面から出ている氷山は実は水面上にあるよりもより大きな氷が下に潜んでいます。それと同じように1つのアイデアも実はその人が発言したアイデアそのものよりも、もっと重要な視点が潜んでいるのです。
なので、あなたがアイデア出しの幹事やファシリテーションをする人なら、こういう視点をもってもらいたいのです。その人が出したアイデアの下に眠っている視点はなんだろう、と。
じゃあ具体的に先ほどのアイデアを振り返りながら、視点の引き出し方を考えてみましょう。
「健康診断の数を増やす」
「ジムに通うための手当てを出す」
という2つのアイデアにはどんな視点が潜んでいるでしょうか。ちょっと考えてみてください。
・・・
例えば、僕だったらこういう視点があるんじゃないかと考えてみます。
idea:「健康診断の数を増やす」
→ もしかしたら、社員はそもそも自分の健康状態を正確に把握できていないのではないか?
→ もしかしたら、健康診断では計り切れていない項目があるのではないか?追加で計測したほうがいい/したい項目があるのではないか?
idea:「ジムに通うための手当てを出す」
→ もしかしたら、社員自身は健康になりたいというモチベーションを持っているのではないか?背中を押してほしいだけではないか?
→ もしかしたら、モチベーションはあっても、健康になるための方法がわからないのではないか?
→ もっと身近に生活で無理しないレベルで健康になる方法があったほうがいいのではないか?
たとえばこんな感じでしょうか。この視点は、このアイデアを出した人が無意識にもっていることでもあるし、あるいはそんなことは思っていなかったけれども、言われてみたらそうかも、という内容かもしれない。
アイデアそのものだけが良い/悪いと判断するのはもったいない。その一個前に立ち返ってみれば、良いアイデアに化ける可能性があるわけです。例えば、
idea:「健康診断の数を増やす」
→ もしかしたら、社員はそもそも自分の健康状態を正確に把握できていないのではないか?
→ もしかしたら、健康診断では計り切れていない項目があるのではないか?追加で計測したほうがいい/したい項目があるのではないか?
= new idea:「体脂肪や食生活、運動能力など、規定の健康診断では測れない項目を測ってもらい自身の健康状態をちゃんと社員に把握してもらう」
idea:「ジムに通うための手当てを出す」
→ もしかしたら、社員自身は健康になりたいというモチベーションを持っているのではないか?背中を押してほしいだけではないか?
→ もしかしたら、モチベーションはあっても、健康になるための方法がわからないのではないか?
→ もっと身近に生活で無理しないレベルで健康になる方法があったほうがいいのではないか?
= new idea: 「専門家とタッグを組み、自社社員が気軽にできるプチ健康行動を社内報で発信する」
というようにですね、アイデアそのものがちょっと難しい場合には、このように視点に立ち返って新しいアイデアに飛んでみたらよいのです。
まとめ
というように、アイデア出しに困った時に視点に立ち返るテクニックを紹介してみました。もちろん全ての場合でうまくいくわけではないですが、アイデア出しに困った時にぜひ試してみてください。
繰り返しになりますが、注力するといいのは良いアイデアを出すことではなく、良い視点を出すほうなんですね。本当はアイデア出しは2段階で考えるべきなんですよ、という話も書こうと思ったんですが、ちょっとボリュームがすごいことになりそうなので、いったん今日はここまで、
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