売る場所を変えるだけで、価値が高く見えたり、安く見えたりする #UXのツボ
ご無沙汰しています、すっかり更新が途絶えました。今日は仕事の中で得られた学びについて書いてみたいと思います。
ちょっと前のお仕事(新規商品開発)で、とある生活用品の商品を考える仕事がありました。製品アイデアについては細かく語れないのですが、その製品がちょっとお高めの価格をつけようとしていたんですね。
ただ、僕はもちろん多くの人がそうだと思うのですが、よくわからない新製品がいきなり出てきて、それで同じジャンルの商品よりも1.5倍から2倍近く高かったりしたら、まあ買いにくいですよね。
例に漏れず、僕たちのプロジェクトチームも「こんなに高い値段で売れるんだろうか」と不安になりました。どうしたら高い価値をちゃんと納得して感じれもらえるだろうか?
そこで色々アイデアを出し合い考えたのが「売る場所を変える」という方法です。マーケティングに詳しい方からしたら基礎の基礎だとか当たり前じゃけえと怒られそうな話ですが、これがシンプルで大事だなと思った次第です。
何をもって値段を「高い」と判断するのか?
我々UXデザインに関わる人間が大事にしているのは、人の感情であり認知の仕組みです。今回で言えば「人が何をもって値段を高い/安いと判断するのか」というロジックです。
例えば、みなさんがある製品を買おうと思ったときに、その値段が高い/安いをどのように判断していますか?いろんな判断方法があると思いますが、多くの人は、同じジャンルのもので比較したり、その製品の相場を考えて判断しているのではないでしょうか。
つまり、価値は比較対象によって定義されるわけです。逆を言えば、比較対象が違えば、その価値は変わってきちゃうのです。
価値の定義は相対的
つまり、消費者が感じる価値というものはなにか神様みたいな人が絶対的に普遍的に決めて、消費者の脳内に指令をしているわけではなく、文脈の中で人の認知によって決められている部分が多いのです。(もちろん需給バランスとか、他の要因もあるのですが)
なので、あなたがせっかく考えた製品やサービスを高くみせたいときは、価値の定義は絶対的でなく相対的である、という前提に立ってみると考えやすくなります。どうすれば、価値を相対的に高く見せられるか、という視点です。
例えば、同じ商品があったときに、ドン・キホーテと百貨店においてあって、しかも同じ値段であったとき、その商品に対する価値はどのように変わるでしょうか?ドン・キホーテにおいてある3000円と、百貨店の3000円は価値が全く変わってきますよね。
百貨店で3000円で売っていたらちょっとお得だなと思いますが、ドン・キホーテで3000円だとなんかすごい高い感じがしますよね。商品そのものは同じで、値段も一緒なのに。
プレミアムモルツは、価格帯が高い飲食店を中心におろした
https://www.suntory.co.jp/beer/thepremiummalts/
なにかの本で読んだのですが、プレミアム・モルツは全体的に厳しいビール業界の中で好調らしいのですが、初期は価格帯の高い飲食店を中心に展開をしたらしいです。なぜか、ここまでお読み頂いた方はわかったとおもいますが、その価値を「高く見せる」ためです。
味はもちろん美味しい、ただすべての人がその美味しさにきづけるわけではない。だからこそ、価値あるものだと感じてもらえるように、価値を感じられる消費体験をつくったそうです。
まとめ:価値そのものだけじゃなく、周囲の環境までデザインする
ものを買うときは、その買う対象のものはもちろん、その買う体験のデザインも必要になってきます、そこまで含めたUXデザインが大事だなと思いました。せっかくいいものを売るなら、そのいいものをいいと感じてもらえる体験をどうやったらつくれるか。を考えるのが大事なんだろうなと思い直しました。
いろいろアイデア発想の話を書いてきましたが、こういうユーザーの体験っぽいことも今後は書いていく予定です。それでは引き続きよろしくお願いします。