釣巻鐘太という男
※この記事にはカリギュラ2のメインシナリオ、キャラクターエピソードのネタバレが含まれています。
2022年6月23日、カリギュラ2が発売1周年を迎えたそうです。そしてそちらを記念して感想文コンテストなるものが開催されているとのことで、ここはひとつ私も何か書いてみようかと思い立った次第です。カリギュラ2のゲーム自体の総合的なレビューやメインストーリーの感想はおそらく多くの人が既にアップされているだろうと思ったので、私は一番好きなキャラクター1人に着目してみることにしました。
そう、釣巻鐘太という男について。
釣巻鐘太という男が好きです。
まずキャラクター自体の外面的な要素から好きなところしかありませんでした。ぴっちりと固めた髪、精悍な顔立ち、すらりと伸びた脚、立ち絵の謎のくびれ、ゲーム内の表情差分で口を開けたときにわかる歯並びの良さ、地味に長い下まつげ。全ての要素に対して5億点加点です。そして声も良い。校門の前に立ってる釣巻の腹から声出てるクソデカボイスも、優柔不断発揮してるときの弱々しい声も両方とも好きです。後述する釣巻のキャラクターエピソードは完全にフルボイスなので、終盤になればなるほど釣巻の苦しみが声優さんの芝居から感じられて、心がきゅっと締め付けられるような気持ちでした。
そして、釣巻の内面的な要素についてですが、規律を重んじ、正義感が強く、ときにはその熱が空振ってしまうときもあるけれど、ちょっと隙があったり彼の根の優しさみたいなところが滲み出ているから、なんだかんだ憎めなくて好きになっちゃうんだろうなと思います。彼は根本的に優しい男なのです。切子に対して、確かに規律は自分を縛るものでもあるけれど、それは時に自分自身を守ってくれるものでもあると説くシーンや、釣巻に車椅子を押してもらったとクランケが語っているところからも、その優しさが伺えます。また、優柔不断なところも、なんだかプレイしている自分自身と重ねてしまうところがあり、親しみを感じていました。
初めて仲間になったときは正直ちょっと頼りなく感じていました。私自身があまりまだゲームシステムを理解できておらず、釣巻の得意とする敵の動きを封じたりリスクゲージを上げたりする攻撃よりは、部長や切子ちゃんで単純に殴った方が早いと思っていたからです。本編においても、序盤は規律を重視するあまり真面目さが空振りしていたり、とにかく優柔不断でどこかキマらない印象でした。自分だけでは昼飯の日替わり定食も自販機で買うジュースも観る映画も選べない男ですから、そう思うのも至極当然でしょう。(まあ部長の俺無しじゃ生きられないようにしてやりたいとも思ったのはまた別の話ですが…)
風紀委員として活動するときの溌剌とした釣巻と、その病的なほどの優柔不断さを持った釣巻とがなぜ同じ人格の中に共存できているのか、私は不思議に思うようになりました。釣巻のことがもっと知りたくて、ストーリーを進めていく中でたくさん戦闘に入れるようにもなったし、たくさんWIREでもやりとりしました。その結果として親密度も高まり、キャラエピソードもどんどん進んで行きました。そしてついに釣巻の過去に、心の闇に踏み込むことになりました。ちなみに初期に仲間になったささら先輩の次に早かったです。
父親のような立派な警察官になるための人生をまっすぐに歩んでいた釣巻。正義と公正を重んじ、そのためになら危険を省みず突っ走るような、リドゥでの優柔不断さが信じられないような男でした。若気の至りというのもあったのでしょうか、その時点で既に向こう見ずというか、彼が周りを見て考えて行動するタイプではないことがわかります。そしてあの事件があり、周囲に迷惑をかけてしまったことにふさぎ込んでしまった釣巻はさらに周りが見えなくなってしまったのではないかと。部長や帰宅部のみんなと出会い、「自分を受け入れる。もっと周りを頼る。」という結論に辿り着いた釣巻がすごく眩しく見えました。自己肯定感が常に低空飛行しすぎて常に操縦桿からアラート鳴ってる人間からしたら、釣巻が自分自身としっかり向き合い、再び前を向く姿が立派すぎて涙が出そうでした。キャラクターエピソードは帰宅部全員分クリアしていますが、釣巻のエピソードが一番感情移入できた気がします。そういった観点からも、釣巻のことが特別な存在のように感じられるのです。
再起した釣巻は本当に頼もしい男でした。
私は6章の釣巻がすごく好きです。クランケとのやりとりに彼の優しさが現れていて、ドクトルとクランケを倒した後にクランケが早く自分達にとどめを刺せと訴えますが、それに対して釣巻は「人の命を奪っていい権利など、誰にもないのですよ。」と諭します。彼のキャラエピソードを経た後にこのシナリオを読むと、胸にいろんな想いが込み上げて来ます。6章は医者であるドクトルと彼の患者のクランケがメインのストーリーであり、また、6章終盤には茉莉絵の生死が主人公に委ねられるなど、「命の重さ」を突きつけられるストーリーだと私は考えています。「人の命を奪ってしまった」ことがある釣巻は、この章のストーリーにおいて非常に意味を成す男なのだと思うのです。私は「茉莉絵を生かすか殺すか」の場面で釣巻が悲しむのを見たくなくて茉莉絵を殺せませんでした。
さて、その後に件さんとバチバチするニコちゃんをステイステイしたりインターネットやめろおじさんとリグレットを倒したりして我々は目を背けたくなるような辛い現実に帰ることになったわけですが、そんな「現実(じごく)」でも、帰宅部のみんなとなんとしても現実でまた会いたい、会いたくて会いたくて震えるオタクがここに誕生しました。現実に帰った釣巻はどうするんだろう。リドゥから帰ってきてすぐはアストラルシンドロームで体が弱ってしまっているんじゃないかとは思うのですが、社会復帰したらまた警察官として復職するんでしょうか。いずれにせよ、現実に戻っても主人公と釣巻にはこれから一緒に悩みながら人生を歩んで欲しいと思うほど、釣巻のことが好きになっていました。そして釣巻のキャラエピソード攻略後に解禁される質問の答えを何度も読み返して悶える気持ち悪いオタクもここに爆誕しました。
もう一生一緒にいてくれや。
さて、纏まらない文章ではございましたが、釣巻鐘太という男へのお気持ち語りはそろそろこの辺りで終わりにしたいと思います。カリギュラ2というゲームに、そして釣巻鐘太に出会えて本当に良かったです。素敵なキャラクターとシナリオを生み出してくれたカリギュラ2製作スタッフの皆様、私のTLにカリギュラ2の副流煙を垂れ流して受動喫煙させてくれたフォロワー様、本当にありがとうございました。これから女主人公で2周目行ってきます。