日常からの逃げ場所
旦那とは相変わらず何もない。
家事全般は出来るし、性格も穏やかな旦那とは平和に暮らしている。
私は今日、連休を使って恋人の家に居座っている。
彼は仕事で外出しているため、私はひとり彼の家でごろごろと彼の帰りを待っている。
本当は家に帰れば旦那も居る。
旦那のことは嫌いなわけではないし、居心地が悪いわけでもない。
ただ、彼がくれるような甘いキスや、ゆっくりと頭を撫でてくれるような満たされた時間や、衝動的に私の身体を求めるような熱い夜を、旦那と過ごす時間の中では得られないことを私はもう嫌という程知ってしまっている。
裸で抱き合って眠る気持ち良さも
可愛いと囁かれて向けられる優しい視線も
ほしいものをくれるのは、何の契約も交わしていない恋人たちで
その快楽に溺れたくて
悲しい現実から逃げたくて
私を受け入れてくれる男たちに甘えて
ただ、本当は少し気づいていて
欲しかったのは安定した日常ではなくて
愛してくれる男と一緒に
ずっと一緒に居たい
帰りたくない