ドレスを着た私は何も言えない
4時50分。
お客様にバレないように店内でこっそり携帯の時間を確認する。騒がしい洋楽が流れる店内、目の前には氷の入った冷たいお酒の入ったグラス、隣には年配の男性、髪の毛まで染み付いたキツいタバコの香り、ドレスを着た私。
閉店まであと10分。
店内は今までただでさえ暗かったのに、更に暗くなりムードの良い曲が流れる。
もう閉店だからそろそろ帰れよ、という店の精一杯のアピールだ。
この時間まで粘る客は、閉店してもだらだら居座ろうとする奴もいる。
隣に着いているのは指名の客。建築