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日本の正社員信仰はおかしい【仕事について④】

まだ学生だった頃、大手のホワイト企業に就職することが"勝ち組"であるかのように語る同級生が少なくなかった。

ネットを見渡してみても、この価値観は多くの人々に共有されているように感じる。


ではホワイト企業の条件とはいったいなんだろう?

なかでも気になるのが勤務時間である。

いろいろなサイトを調べてみたところ、どうやら1ヶ月の残業が20時間未満の会社をホワイト企業と呼ぶことが多いらしい。

[……]おおむね20時間程度以下であればホワイト企業といってよいでしょう。
ちなみに、「就職四季報」が実施した調査によると、「月平均の残業時間が15時間未満」かつ「年平均の有給所得日数が10日以上」の企業は1,286社中205社。
このうち、月平均の残業時間が5時間未満の会社は11社だったそうです。

出典:ホワイト企業の特徴とは?8つの基準で企業を分析しよう


つまりホワイト企業と呼ばれる会社ですら、週5日8時間労働は当たり前なのである。

その当たり前が受け入れられない僕からすると、大手企業に採用されることが勝ち組であるかのように語られる風潮が昔から不思議でならなかった。

さらにマイナビの調査ではとんでもないアンケート結果も出ている。

出典:どのくらいまで耐えられる? 残業時間の許容範囲を調査 マイナビニュース


回答者のおよそ半数にあたる46.9%が、20時間以上の残業を許容範囲だと回答しているのだ。

「0時間」以外の選択肢を選んだ回答者はなんと約88%にも上る。

残業ゼロ(=1日8時間勤務)でさえ長過ぎると感じる僕からすれば、信じがたい話である。


驚くのはまだ早い。

ある調査によれば、アンケート回答者のおよそ4分の3が「60歳を過ぎてからも仕事をもちたい」と答えたという。

ひょうご震災記念21世紀研究機構の長寿社会政策研究所(現・研究調査本部)が2007年に1945年から51年生の男女を対象としておこなった1500人規模のアンケート調査によると、60歳を過ぎてからも仕事をもちたいと希望する人は、全体の76.2%を占めた。

阿部真大「職場と居場所」『<若者の現在>労働』日本図書センター


もちろん彼らも仕事に対してある程度の嫌悪感は持っているだろう。

だがその程度は、僕が仕事に対して抱いている嫌悪感よりもはるかに小さいように思える。

そうでなければ「正規雇用信仰」がここまで世に広まるはずがないからだ。


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