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車両通行帯が三以上か一見して判断できない交差点には右折方法標識を設置すべき

車両通行帯はいくつ?

国道1号、愛知県岡崎市 藤川町東川向交差点

一見して車両通行帯の数が三以上か判断できない交差点の手前には

一般原動機付自転車の右折方法(二段階)標識
警察庁 交通規制基準より引用

または

一般原動機付自転車の右折方法(小回り)標識
警察庁 交通規制基準より引用

を設置してください。

二段階右折の法的根拠は車両通行帯の数

5 一般原動機付自転車は、第二項及び前項の規定にかかわらず、道路標識等により交通整理の行われている交差点における一般原動機付自転車の右折につき交差点の側端に沿つて通行すべきことが指定されている道路及び道路の左側部分(一方通行となつている道路にあつては、道路)に車両通行帯が三以上設けられているその他の道路(以下この項において「多通行帯道路」という。)において右折するとき(交通整理の行われている交差点において右折する場合に限る。)は、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。ただし、多通行帯道路において、交通整理の行われている交差点における一般原動機付自転車の右折につきあらかじめ道路の中央又は右側端に寄るべきことが道路標識等により指定されているときは、この限りでない。

道路交通法 第三章 第六節 第三十四条(左折又は右折)5

二段階右折をすべきかの判断材料になるのは車線の数ではなくて車両通行帯の数です。車線の定義は道路交通法にはなく、道路構造令くらいにしか見つかりませんでした。この交差点の青いベタ塗り部分は車両通行帯なのか、この交差点の車両通行帯は三以上なのか調べた過程を抜粋していきます。

車両通行帯の定義

七 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。

道路交通法 第一章 第二条(定義)七 車両通行帯 

道路標示の定義

十六 道路標示 道路の交通に関し、規制又は指示を表示する標示で、路面に描かれた道路鋲、ペイント、石等による線、記号又は文字をいう。

道路交通法 第一章 第二条(定義)十六 道路標示

道路標示は「道路標識等」に含まれる

道路標識又は道路標示(以下「道路標識等」という。)

道路交通法 第一章 第二条(定義)四 横断歩道

道路標識等について必要な事項について

5 道路標識等の種類、様式、設置場所その他道路標識等について必要な事項は、内閣府令・国土交通省令で定める。

道路交通法 第一章 第四条(公安委員会の交通規制)5

ここでいう内閣府令・国土交通省令は「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」になるかと思いますので、そちらを見ていきます。

道路標示についての命令

第八条 道路標示の分類は、規制標示及び指示標示とする。

道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 第三章 道路標示 (分類)第八条

第九条 道路標示の種類、設置場所等は、別表第五のとおりとする。

道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 第三章 道路標示(種類等)第九条

第十条 道路標示の様式は、別表第六のとおりとする。

道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 第三章 道路標示(様式)第十条

別表第五に記載されている車両通行帯の設置場所等

規制標示
種類:車両通行帯
番号:(109)
表示する意味:交通法第二条第一項第七号に規定する車両通行帯であること。
設置場所:車両通行帯を設ける道路の区間

道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 別表第五(第九条関係)規制標示

なるほど?わかりません。

別表第六に記載されている車両通行帯の様式と備考

高速自動車国道についての記載は今回除くとして

規制標示
車両通行帯
(109)
記号:
一 高速自動車国道の本線車道以外の道路の区間に設けられる車両通行帯

(一) ペイント又はこれに類するものによるとき
(一) 又は
(二) 道路鋲びよう、石又はこれらに類するものによるとき

色彩:白

備考
 表示
 (一)ペイント又はこれに類するものによる場合、道路鋲びよう、石又はこれらに類するものによる場合及び標示筒、標示さく又は黄色の灯火のついている道路鋲びようによる場合の様式以外の図示の様式は、ペイント又はこれに類するものによる場合の様式とする

 寸法 道路標示の大きさは、図示の寸法(その単位はメートルとする。)を基準とする。ただし、設計速度が六十キロメートル毎時以上の道路に設置する場合又は道路の形状、交通の状況若しくは駐車する車両の態様により特別の必要がある場合には、図示の寸法を拡大し、又は縮小することができる。

道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 別表第六(第十条関係)備考

以下より引用

道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 別表第六(第十条関係)

https://laws.e-gov.go.jp/law/335M50004002003

と挿入されてる図の品質が悪すぎて、文字が読み取れません。しかし、交差点の青いベタ塗り部分が記号に示された実線・破線とは似つかないことと、色彩が白と指定してあることから、私は青いベタ塗り部分は車両通行帯ではないと思いました。しかし、「これに類するもの」という記述がどこまでが類するものとして許容されてるのか判然としません。

私の解釈

車線の定義

ここで道路構造令における車線の定義を見てみます。

五 車線 一縦列の自動車を安全かつ円滑に通行させるために設けられる帯状の車道の部分(副道を除く。)をいう。

道路構造令  第二条(用語の定義)
https://laws.e-gov.go.jp/law/345CO0000000320

この定義を用いて記述すると、この交差点は3車線ありますが車両通行帯は2つで、原付バイクは二段階右折せずに右折するべき交差点という解釈です。

右側車線に車両が多いと道路標示で判断することが難しい

青いベタ塗り塗装が車両通行帯の様式に沿った道路標示ではないということで、車両通行帯が三ではないと判断しましたが、右側車線に車両が並んでいる場合、車両の下に「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の別表第六に図示されるような実線・破線があるかどうか判断できず、車両通行帯が三あるようにも見えて二段階右折を試みようとするケースは十分ありえます。このT字路交差点の場合

退避スペースがありませんので危険を伴い、交通の安全と円滑が図られているとはいえません。

公安委員会が車両通行帯を設けるとき

道路交通法施行令に次のような記述があります。

第一条の二
5 法第四条第一項の規定により公安委員会が車両通行帯を設けるときは、次の各号に定めるところによるものとする。

一 道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に二以上の車両通行帯を設けること。

三 車両通行帯の幅員は、三メートル以上(道路及び交通の状況により特に必要があると認められるとき、又は道路の状況によりやむを得ないときは、一メートル以上三メートル未満)とすること。

道路交通法施行令 第一章 第一条の二(公安委員会の交通規制)

したがって、この交差点のように3m以上の車両通行帯を3つ作れない道路状況において、幅員が1m以上3m未満の車両通行帯を設けることが可能となっています。この狭い幅員で「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の別表第六に図示されるような実線ないし破線があったとしても、右折車線が渋滞していたら目視できません。

一般原動機付自転車の右折方法(小回り)標識を設置すべき

車両通行帯が二であろうと、一見して車両通行帯の数を判断できない交差点であるため一般原動機付自転車の右折方法(小回り)標識を設置すべきだと思います。

一見して車両通行帯の数がわからず、右折方法標識がない交差点は沢山ある

車両が右側の車線に沢山いたら道路標示は見えにくいものという前提を理解したうえで見ていただきたいです。

国道1号 愛知県岡崎市 宇頭町交差点

国道1号 愛知県岡崎市 舞木町東交差点

国道1号 愛知県豊橋市 瓜郷町北交差点

国道1号 愛知県豊橋市 殿田橋交差点

国道1号 愛知県豊橋市 岩西歩道橋南交差点

愛知県道400号 愛知県豊橋市 交差点名不明

原付バイクの交通に関する現状確認が必要

二段階右折を行う判断基準の一般的認知と法律とのズレがある

「3車線以上の交差点では二段階右折」という認知が一般的だろうと思いますが、法律を調べると道路交通法に車線の定義はないうえに車線の数ではなく、車両通行帯の数が基準でした。車両通行帯について調べると様式が定められており、「これに類するもの」の許容範囲が定かではないものの、様式に沿わない道路塗装は車両通行帯ではないと解釈しました。愛知県岡崎市にある国道1号藤川町東川向交差点はT字交差点であり、仮に青い塗装が車両通行帯であると仮定すると退避スペースのない場所で二段階右折を強いることになってしまうことも、青いベタ塗り塗装が車両通行帯ではない裏付けになるのではないでしょうか。

情勢的にも現状確認すべき

電動キックボードがなぜかすんなり認められ、外国語による運転免許の学科試験実施がなぜか開始し、50ccバイクの生産終了に伴うパワーを抑えた新基準125ccバイクにも二段階右折が求められるという情勢があります。
一見して車両通行帯が3以上あるか判断がつかず、二段階右折すべきなのか一般の認知が分かれる交差点については一般原動機付自転車の右折方法標識を設置すべきだと私は思います。
一度ここらで原付関連の道路標識・区画線・道路標示・案内設置等を含む交通に関して現状確認して欲しいです。具体的には原付が車両通行止めになる道の入口付近、自動車専用道路入口付近、3車線(車両通行帯が3つ)以上ある交差点、車両通行帯が3つなのか2つなのか一般の認知が分かれる交差点についてです。一斉確認を一度行った後はそういった点に主眼を置いた警らを1年に1回、1組が行う日を設けるくらいで十分だと思います。

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