カエルの女神と夜の王 第七話
朝早くには立ちこめていた霧もすっかり晴れていて、薄い雲ごしに陽の光が届いていました。昨日は薄暗くなってから着いたからよく見えなかったけれど、闇の館の庭には様々な植物が生い茂っていました。まず目についたのは血のように赤い薔薇の花で、その鋭い棘で侵入者を阻むためか屋敷の周りをぐるりと囲うように植えられていました。ラナデアはそんな薔薇の壁にひとつだけ造られたアーチをくぐりましたが、そこの棘はちゃんと手入れされていたので新しい服を破かないですみました。
「なんてきれいなんでしょう」