CPIとは?(簡単にいうと)
CPIは、私たちが普段買っているもの(食料品、洋服、家賃など)の値段が、時間とともにどれだけ変わったかを測るための物差しのようなものです。つまり、物価の変動 を表す指標です。
例えば、1年前には100円で買えていたパンが、今では110円になっているとします。この場合、パンの価格は10%上昇したということになります。このように、様々な商品の価格の変化を総合的に見て、物価が全体としてどのくらい上がったのかを数値化したものがCPIです。
なぜCPIが重要なのか?
経済状況の把握:
CPIが上がると、一般的に物価が上昇している(インフレ)と考えられます。逆に、CPIが下がると、物価が下落している(デフレ)と考えられます。CPIは、経済がどのくらいの勢いで動いているのか、物価が安定しているのか、といったことを判断する上で重要な指標となります。
政策決定への影響:
政府や中央銀行は、CPIの動向を参考に、金融政策や財政政策を決めます。例えば、インフレが進んで物価が上昇しすぎていると判断した場合、金利を上げるなどの対策を講じることがあります。
私たちの生活への影響:
CPIの上昇は、私たちの生活に直接的な影響を与えます。例えば、食料品や光熱費の価格が上がれば、家計の支出が増えてしまい、生活が苦しくなる可能性があります。
CPI(消費者物価指数)の計算方法の詳細解説
1. 品目と地域の分類
品目: 食料品、住居、交通費など、消費者が購入する全ての品目を200以上の細かいカテゴリーに分類します。
地域: 米国を32の地域に分け、地域ごとの物価変動も把握します。
2. 基本指数計算
各品目・地域: 各品目と地域の組み合わせごとに、その品目の価格変動を測る「基本指数」を計算します。
価格収集: スーパーマーケット、百貨店など、様々な販売店で価格データを収集します。
3. アグリゲーション
基本指数を統合: 各品目の基本指数を、その品目の消費支出額をウェイトとして平均化し、より大きなカテゴリーの指数を計算します。
例: 全ての食料品の指数、全てのサービスの指数などを計算します。
4. 価格変動の測定
価格相対値: ある期間の価格を前の期間の価格で割った値を「価格相対値」と呼びます。
平均化: 各品目の価格相対値を、適切な方法(幾何平均法やラスパイレス指数法など)で平均化し、その品目の価格変動を算出します。
5. 特殊な品目: シェルター(住居)
賃貸: 賃貸契約に基づく家賃を測定。
持ち家: 家主が住んでいる場合、その家が賃貸に出されたらどれくらいの家賃になるか(OER)を推定。
複雑な調整: 空室、老朽化、サービスの質の変化などを考慮し、より正確な価格変動を測るための調整を行います。
6. 季節変動の調整
季節商品: 水着や暖房器具など、季節によって需要が大きく変動する商品に対しては、特別な調整を行います。
7. その他の調整
割引、クーポン: これらの影響を考慮し、実際の消費者が支払う価格を反映させます。
品質の変化: 商品の品質が向上した場合、単純な価格比較だけでは正確な物価変動を測れません。そのため、品質の変化を考慮した調整を行います。
8. 指数の計算
ウェイト: 各品目の消費支出額をウェイトとして、全ての品目の指数を統合し、総合的なCPIを計算します。
季節調整: 季節的な要因を除去し、より長期的な物価トレンドを把握できるようにします。
9. 精度の評価
サンプリングエラー: 調査対象となる品目や店舗が限られているため、発生する誤差。
非サンプリングエラー: データ収集や計算過程で発生する誤差。
CPIの利用例
インフレ率の測定: CPIの伸び率がインフレ率を示します。
政策決定: 中央銀行は、CPIを参考に金利政策を決定します。
賃上げ交渉: 企業は、CPIを参考に賃上げ交渉を行います。
政府給付金の調整: 政府は、CPIを参考に社会保障給付金などの金額を調整します。
計算の割合
CPIの各ウエイト(構成比)は、地域や国によって異なりますが、一般的には以下のようなカテゴリーで構成されています。具体的なウエイトは、統計機関や調査方法により異なる場合がありますが、典型的なウエイトの一例としては次のようなものがあります。
住居費: 約30%〜40%
食品・飲料: 約15%〜20%
交通費: 約10%〜15%
医療費: 約5%〜10%
衣類: 約5%〜10%
教育・通信: 約5%〜10%
その他: 残りの割合
CPIの計算方法
https://www.bls.gov/opub/hom/cpi/calculation.htm