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月がふたりを探すから

言葉にしなくても伝わる想いなんて、ある程度のコミュニケーションの上に成り立つものだと思ってた。もちろん今でも思ってる。
そして最後はいつだって言葉にしないと伝わらない。
確信を持った時点で想いはようやく100%になるから。

あなたはいつも、あなたの頭の中で喋ってる。
自信満々に言葉をさぼるあなたと、エスパーみたいなわたし。
まるでメッセージの返信を、アイコンタクトで返すような。
いつから月が二人の共通言語になりましたか。

わたしは月が好きです。
満月も半月もきれい。
きっとうさぎが住んでると思うから、いつも手を振るほどには好き。
その感性が好きと言ってくれた大切な人がいるから、もっと自信持って好き。
大切な誰かがいれば、
どこにいても確実に見える同じものって、月しかないと思うからさらに好き。

初めて月について話したのはいつだったかな。
帰宅時間に合わせて、今日はすごく月が綺麗だよって送ったわたし。
帰宅してから見たらしいあなた。
「外に出たけど見えませんでした・・・」
って返信してきたあなたに、
キュンとしたから、「きゅん」って送った日。
多分その日。
「え、それだけで(きゅんってしてくれるの)?!」
って返ってきたあの時。

メッセージを見て、部屋を飛び出していつものあの顔で空を見上げてる
あなたの姿がなぜか浮かんだ。
無防備すぎるあの顔で。
ベッドの上から適当に返した訳じゃないでしょ。
なんか分かったよ。
なんで分かるんだろうね。

「月がふたりを探すから」

毎回その瞬間、あなたは疎通できたつもりでいますか。
あなたの頭の中を具現化してるのはいつもわたしの努力だよ。
わたしのための努力かもしれないけど、
あなたの出す小さなシグナルを拾ってる。
あなたはシグナルを拾われ慣れた人なんですか。
愛されるっている前提が大きすぎるほどに大きい人。
自分のことをきっと分かってもらえるって。
あとで説明すれば、わたしはまるごと受け入れてくれるって。
いつもそう思っていますか。
安心感だけ受け取って、わたしはそんな安定的な人間に見えますか。

あなたとわたしはまるっきり違う。
でもわたしも疎通できたつもりでいます。
小さなシグナルを言語化してあなたに返してる。
わたしが愛して届かないわけなんかないって、
お前(あなた)にとって夢みたいな展開ってこと忘れんなよって、
どこか自信ありげに思ってる。
この感覚が、わたしを生かす。

これは今のわたしに課せられた試練なのかな。
愛されて当然、愛されるべき存在って、
なんの疑いもなく思えるようになった今のわたしに向けた
実践練習か何かなの。
ちょっと荒療治すぎない?
どこにも答えが落ちてない。

それでも今はこれしか方法がないと思うから。
そして、小さな小さな答え合わせが、
自信を生むのと同時に
カンフル剤のように
鎮痛剤のように
心の平穏を引き延ばす。

フラットな感覚で得た新しすぎる知見と、
そうは言っても普通はこうでしょ、セオリーから言ったらこうでしょが
薬が切れた頃に喧嘩しだす。

全てはコミュニケーションで解決できるっていう前提を
見事に忘れそうになる。
でもあなたとは、コミュニケーションというより、「答え合わせ」っていう方がしっくりくるよね。
答え合わせすると、大体9割は正答だよね。

途中式が違っても、結果的に解はあってるようなことも含めて。

目に見えないものを見落とすあなたと、
目に見えないものを何より大切にするわたし。

わたしがあとどれだけおめでたい人になれば
自信を持って愛せますか。
あなたがわたしに対して
どこか畏れを抱いているかのように見える時と同じく、
もっと自惚れても大丈夫ですか。

わたしは先に全ての安心をあげるつもりできたよ。
今度こそ本当に、あなたの番だと思っているだけ。

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