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情報公開によって競合優位性がなくなるのでは?というテーマについて考えてみました

こんにちは!これまでの記事では「無限もじおこし」の利用数や運営の裏側について、数字感も交えながら思いっきりオープンにお話してきました。

今回は、そんな「情報公開」をして大丈夫なのか? 競合優位性を失うリスクはないのか?という点について、僕自身の考えをまとめてみたいと思います。

実はこのテーマ、僕の中でけっこう考え抜いた部分でもあるので、ちょっと長めですが、もし「サービス開発や運営の裏側をオープンにするメリット・デメリット」に興味がある方は、ぜひ読んでみてください!


そもそも、なぜ無限もじおこしは無料で提供できているのか?

まずは改めて、「なんでそんなに無料で時間無制限に文字起こしができるの?」というところを簡単におさらいします。実はこれ、以下のような構造で成り立っています。

  • アプリ内で録音した音声の文字起こしは無料
    アプリを起動して録音した音声については、何度でも文字起こしし放題にしています。ただし、僕自身もボランティアではないので、アプリを使っている時間=広告収入という形で、費用に関しては少なくとも支払える程度の収益が見込めるようになっています。

  • 追加の収益源として月額500円のサブスク
    音声ファイルのインポート機能や、AI変換のオプションを使いたい方は有料契約へ、という仕組みにしています。これによって「完全無料でもOKだけど、サブスクならさらに便利」が実現できており、実際に収益的にも十分ペイできる形が作れています。

  • コストを抑えるためにGeminiを活用
    文字起こしには、GoogleのLLM「Gemini」を使っているのですが、音声認識として活用することで、従来よりも相当安いコストで提供できています。この「コストの安さ」が“時間無制限&無料”を可能にしている、大きな要因の一つです。

つまり、「アプリに滞在してもらうことでの広告収入」「サブスク」という複数の収益源を組み合わせて、低コストな文字起こしを実現しているというわけですね。

おかげさまで、5ヶ月ほど経った今も黒字をキープできています!

情報公開による「競合に真似される」リスクはあるのか?

さて、本題の「そんなに裏側をオープンにしてしまって大丈夫なの?」というところを考えていきます。実は僕も情報公開し始めた頃は「これって競合に真似されたらどうするんだろう?」とちょっとビビってました笑

しかし、今ではあまり心配していません。理由は大きく2つに分けられます。

既存サービスの場合

1)Geminiに切り替える難易度が高い

既存の文字起こしサービスを展開している企業やプロダクトが、一気にGeminiに切り替えてコストを下げるのは、意外と難しいんじゃないかと思っています。

  • Geminiの利用契約で18歳以上限定
    無限もじおこしでは、アプリの利用契約に「18歳以上」と明記してリリースしています。しかし、既存サービスで年齢制限をあとからつけ直すとなると、ユーザーへの告知や利用規約の変更など、けっこう面倒なハードルがあります。

  • ビジネスモデルごと変える覚悟が必要
    「時間無制限」「無料文字起こしし放題」というプランを導入すると、既存サービスの料金体系にも大きな影響を与えます。たとえば営業・サポート人件費やサーバー維持コスト、マーケティング費など、簡単には削れない固定費も多いですよね。いきなり全部無料にするのは経営判断としてリスキーすぎるはずです。

2)費用対効果が合わない

既存の企業ほど、すでに大きな組織体制が整っていたり、他のプロダクトも抱えていたりするので、無料&無制限というビジネスモデルに一気にシフトするのは正直現実的じゃないと思っています。

結局「真似しよう!」と思っても、それが自社の利益や組織構造と合わないと判断すれば、そのまま進まないんじゃないかな、と。

新規サービスの場合

1)新規アプリで同じ土俵に立つ可能性

新たに文字起こしサービスをリリースする場合、確かに「無限もじおこし」と競合する可能性はあります。Geminiのコストの低さを活用し、「アプリ上で録音した音声は無料で無制限」などのモデルを取り入れることができれば、少なくとも同じレベルの料金体系を提示できるからです。

しかし、「無限もじおこし」が既に“無料&無制限”を最大限に振り切っている以上、これ以上安くするなどの差別化は難しく、戦いの軸は「アプリの使いやすさ」「認知度」「評価」に移ってくると思っています。

2)差別化要素と競合優位性

とくに、仕事での利用シーンに絞った使いやすさ(たとえばPC録音データの取り込み、ミーティング音声の文字起こしなど)は、まだまだ改善の余地が大きいので、ここを攻められると「無限もじおこし」も危ういかもしれないです。

一方で、市場での認知度ストア上での評価はすでに大きな強みになっていて、AppStoreの「文字起こし」で2位、「議事録」で4位に表示されるポジションは、そう簡単には崩せないと考えています。さらに、約280件のレビューで星4.7という評価もあるため、新規アプリがこれを上回るには相当なマーケティング費用や拡散力が必要だと思います。

あとは、もしもGoogle社が専用の文字起こしアプリを無料で提供し始めるなら、正直いちばん脅威かも…というぐらいですね笑

そういうインパクトのある動きがない限り、「無限もじおこし」が築いた優位性はまだしばらく続くんじゃないかなと思っています。



というわけで今回は、「情報公開で競合優位性がなくなるんじゃないの?」という疑問に対して、僕なりの考えを整理してみました。

  • 既存サービスが無料&無制限モデルに舵を切るのは難しい

  • 新規参入アプリが同じ土俵に立つことは可能だけど、最終的にはアプリの使いやすさ・認知度・信頼性が決め手になる

こういった理由から、「裏側をオープンにしても、そんなにリスクはないかな」と判断しています。それよりも、実際にユーザーがどんな風に使っていて、どういう課題感や楽しさを持っているかを公開し続けることで、“身近なアプリ”として信頼を獲得していくほうが大事だと思っています。


おわりに

このマガジンでは、「無限もじおこし」の運営や、個人開発から得られた学びなどを、ゆる〜く週1回くらいのペースで発信しています。

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