生成AIによる“動的なアイテム”の可能性
ゲームのアイテムって、普通はあらかじめマスターデータに登録されたものを使うと思うのですが、
生成AIを使えば「誰も見たことがないアイテム」をユーザーが柔軟に生み出し、それがゲーム内で整合性ある動きをする——そんな設計が実現できるんじゃないか。
僕はそこに大きな可能性を感じています。その仕組みを実現するアイデアの一つとして、実際にAIが生み出したアイテムを、AI冒険者に持たせてダンジョンへ潜らせる手法を考えてみました。
ダンジョンに潜るのは“AI冒険者”、ユーザーは“職人”として装備を提供する
今回のアイデアでは、AI冒険者が潜り、ユーザーは装備を生産し提供する職人というコンセプトで考えました。AI冒険者にはパラメータがあり、ダンジョンに潜れば経験値が溜まってレベルアップしていく。
ユーザーが作るアイテムも、冒険者のスロット数が増えるごとに持たせられる装備の幅が広がっていくわけです。
僕は、まさにこの“曖昧な情報”がスパイスになると思っています。毒攻撃が多いのか、火炎トラップが頻出するのか、ある程度の予測は立つけれど正確にはわからない。
だからこそ、どのようなアイテムを作り、どのような構成で積んでいくかがプレイヤー(職人)ごとの個性や判断となり、ダンジョンでの展開を左右することになります。
多層ダンジョン&シナリオ生成でドラマを生む
今回イメージしているダンジョンは、100階層にも及ぶ“超長丁場”でもいいかなと思っています。
冒険者が潜るときには、それぞれの階層のモンスターやトラップの情報がテキストレベルで設定され、そこに冒険者のパラメータ&所持アイテムの効果を組み合わせて、LLMが冒険シナリオを生成していく仕組みですね。
10階層ずつまとめてシナリオを生成 → HPや状態異常などのパラメータ変化を反映
例えば「20階層目で毒の罠にハマりかけたが、職人が用意した解毒剤でギリギリ乗り切った」みたいな描写がテキストで展開
この“物語の可視化”によって、自分が用意したアイテムがどのように活躍したのかという面白さに繋がり、かつどんな困難がダンジョンに待ち構えていたのかを知る手掛かりとなります。
冒険者との“契約”システムで関係性に深みを
僕としては、ただアイテムを作って渡すだけじゃ味気ないなと思うんです。そこで考えているのが、冒険者ごとに契約スタイルを選べる仕組み。たとえば——
報酬契約
「ダンジョンをクリアしたら素材やゴールドの○割をもらう」
貸与契約
「装備を貸し出す形にして、成功報酬の一部を受け取る」
買い取り契約
「アイテムを売り切りにしてしまい、以後の使い方は冒険者にお任せ」
こうした契約によって、冒険者との“距離感”が変わるんじゃないかと思っています。安全志向の冒険者とは長期的に安定した利益を狙い、冒険好きで無茶するタイプにはハイリスクハイリターンのギャンブルを仕掛ける、といったスタイルが楽しめそうです。
アイテムの“耐久度”と“強化”が作るループ
ダンジョン探索から帰還した冒険者のアイテムは、必ず消耗している。ここに職人の腕の見せどころがあります。僕としては「ただ修理するだけ」ではなく、追加素材でアップグレードできるようにしたい。
たとえば、毒に強い素材を新たに組み込んで「防御を高める代わりに重量が増える」とか、火炎耐性を付与する代わりに別のパラメータが下がるなど、トレードオフ設計で悩むのがゲームの醍醐味だと感じています。
実際、使い続けられているアイテムは“思い出”や“実績”が増えるわけで、それがダンジョンのシナリオ上で語られると、「この武器、3度も毒沼で僕を救ってくれたんだ」みたいな愛着が湧きますよね。
生成AIで作る“レシピ”と素材収集の楽しさ
職人のアイテムは、最初から決まっているわけではなく生成AIが提案するレシピに基づいて作ることを想定しています。ダンジョンログから得た知見をAIが分析して、「こういう特性があると次の階層を突破しやすいですよ」とか「この素材を使うと火力が上がるけど耐久度は下がる」といった新レシピを生み出すイメージですね。
また、ダンジョン内で入手できる素材も日々変化していくため、「素材が足りないから冒険者に回収をお願いしよう」という依頼要素が入るのも面白いと思います。
実際、冒険者が狙った素材を回収してくれるかどうかは“運”や“スキル”にも左右されますし、アイテム開発だけでなく素材調達の工程にまでドラマが発生しそうです。
シーズン制やランキング要素で長期的に盛り上げる
そして僕は「シーズン制のダンジョン更新」を取り入れるのがオススメだと感じています。数カ月おきにダンジョンの構造やモンスターの特徴を変えて、常に新しい戦略を考えなきゃいけない状況を作るわけですね。
そうすると過去に大活躍したアイテムが今シーズンでは通用しないかもしれないし、逆に「この素材が意外な形で生きる!」みたいな逆転もあり得そうです。
“観戦”と“ストーリー共有”で楽しみを拡張
このゲームの面白さは、ダンジョンに潜るAI冒険者を見守る楽しみにもあります。リアルタイムでHPバーや進捗状況を確認できたり、LLMが実況してくれたりしたら、「がんばれ!あと2階層!」と祈るように応援したくなる気がします。
自分では想定していなかった使い方を冒険者がしていたり、あえて危険エリアに挑むAIをサポートしたりと、そこに生まれる物語は一回限りの楽しみを提供してくれます。
AI同士の相互作用(生成AIでアイテムを作り、LLMがシナリオを描き、AI冒険者が潜る)という新しい構造、結構面白いんじゃないかなーと思っています。
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