ボドゲと火星とパズルの話
この記事は、ペンシルパズル Advent Calendar 2024の20日目の記事です。
(昨日体調を崩しておりました…。公開が遅くなりましてすみません)
はじめに
お久しぶりです。パズル作家のにょろっぴぃです。
突然ですが、この記事を読んでいる皆さんは、ボードゲームで遊んだことがどれぐらいありますでしょうか?
子供のころに遊んだウノと人生ゲームだけという方も、ブロックスやカタンというゲームなら遊んだことがあるという方も、普段から頻繁に遊んでいるという方も、色んな方がいるんじゃないかと思います。
私は元々は、たまーーーに(年1,2回ぐらい)友達とボドゲカフェで遊ぶぐらいだったのですが、2022年に引っ越したのをきっかけにボドゲカフェに通うようになり、今でも大体月1~2回はボドゲカフェに行っています。
ボドゲカフェには通常、数百種類のボードゲームがあります。
数分で遊べるものから数時間かかるものまで様々ですが、ボドゲカフェに1日いると大体5~10種類ぐらいのボドゲを遊ぶことになります。
私がボドゲカフェに通いだした頃は、それまで遊んだことがあるボドゲは20~30種類ぐらいしか無かったと思いますので、ほとんどが遊んだことがないボドゲで遊ぶことになります。
段々とルールが分かるものが増えていき、そのうち好きなジャンルが分かるようになり、特定のボドゲを研究したくなります。これが沼です。
…そう、これってペンシルパズルを始めた時の感覚に似ているんですよね。
はじめて「パズル通信ニコリ」を手に取った時、あるいは最近ではパズスクでとりあえずパズルを解いてみよう、となった時、最初はほとんど知らないパズルだった方が多いんじゃないかと思います。
解いているうちに段々ルールが分かるようになったり、手筋を覚えて上達したり、他の種類のパズルを解いた経験が役に立つようになったり、種類の多さや上達感は割と似ている気がします。
さて、ボードゲームと言ってもその幅はかなり広く、1回1分で終わるゲーム(軽量級)から、数時間かかるゲーム(重量級)まで様々です。
そんな重量級を代表するボードゲームとして「テラフォーミング・マーズ」というボードゲームがあります。
初見だと3~4時間ぐらいはかかるゲームなので、ハードルはどうしても高いのですが、重量級ではかなり有名なゲームなので、遊んだことがある方も少なくないかもしれません。とても面白いゲームなので、全人類遊びましょう。
謎解きだとSBGCという団体が謎解き公演にしていたので、これで知っている方もいるかもしれません。
重量級だけあって、ルールを説明しようとすると、それだけで1記事になってしまうので、ここでは詳細は割愛します。
簡単に言ってしまえば、色々な企業を使って火星を開拓するゲームで、温度・海・酸素の3つのパラメーターを最大値まで上げ、火星の開拓を完了させることが目的となります。
ここで、舞台となる火星の盤面を見てみましょう(1人用なので何か置かれているマスがありますが、2人以上の場合は最初はまっさらです)。
右の温度計が温度、上の%ゲージが酸素です。他にも色々書いてありますが、細かいことは気にせず、まずは盤面だけ見てみましょう。
特に、テラフォーミング・マーズを全く知らない、かつパズルを知っているという方は、盤面を見てどう思ったでしょうか。
おそらく、ほとんどの方はある強烈な既視感を感じたはずです。
そう
それは…
間違いありません。
そうです。
ハニーアイランドです。
1辺5の六角形盤面、何か色が付いているマスと何も無いマスがある盤面。
ミルクボーイのおかんがボードゲームを思い出そうとして「1辺5マスで六角形のマスが敷かれている」と言えば、間違いなく「そんなのハニーアイランドで決まりや!」と言われるに違いありませんし、火星かボードゲームカフェに行った袁傪がこの盤面を見たら「その盤面は、わが友、ハニーアイランドではないか?」と言っていたに違いありません。
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本題
前置きが長くなりました。
ここでもう1度、テラフォーミング・マーズの先ほどの盤面を見てみましょう。そこには、水色のマスが12個あります。
これは、海タイルを置くことが出来るマスで、海を9個置くことが、このゲームの終了条件の1つとなっています。つまり、ゲームが終わる時には、12個のうち9個、必ず海が置かれることになります(ごく一部、例外的にそれ以外の場所に海を置けるカードや、海のマスに海以外のものを置けるカードもあるのですが、ここでは無視します)。
そこで、海の置き方のうち、ハニーアイランドとして成立する盤面はどれぐらいあるのか、調べてみよう!というのがこの記事のテーマです。
海は12マスありますので、便宜上上からアルファベットを付けます。
また、海を9マス置くということは、裏返せば3マスだけ海を置かないマスを残すということになります。3つだけの方がわかりやすいので、ここからは、海を置かないマスをどこにするかという形で整理します。
この盤面ですが、中央に6マスのカタマリがある一方で、外周にも6マス、比較的バラバラに海が置かれているのが特徴です。
F~Kの6マスを埋めてもまだ15739通りも解があり、カタマリ部分の制約は比較的小さいようです。
一方で、外周部の制約は極めて強く、A~Eの5マスを埋めるとすでに解は8個しかなく、A~Fの6マスを埋めるとなんと唯一解です。
あとは12C3=220通り、いつものとおりハニーアイランドリアルタイムソルバーのお世話になりながら、ひたすら調べるだけです。
調査結果
・唯一解 20/220
ABH、ACH、AGL、BCJ、BDF、BDJ、BDK、BFK、CDJ、CDK、CFK、CJK、DEF、DJK、EFG、EFH、EFI、EFJ、EFK、FKL
・複数解 56/220
2解×8、3解×2、5解×8、6解×2、7解×7、10解×2、12解×1、14解×12、
15・16・19・22・29・32・58・59・70・98・189・236・241・252×各1
・解なし 144/220
…調べた感想としては「意外と成立する盤面が多いな」と思いました。
76/220で解があるので、ほぼちょうど1/3の確率で、海を置き終わった盤面をハニーアイランドとして解くことができ、1/11の確率で唯一解のハニーアイランドとして解くことが出来ます。
特に、下記の盤面は6つで唯一解なので、G~Jのうちどの1つを残しても唯一解となり、これだけで4パターン唯一解の盤面を作ることが出来ます。
また、解の多い盤面上位はこんな感じです。
やはりというか、中央に固まっているF~Kを全て埋めるパターンが強く、
逆に多くの場合、Eは残さないといけないことが分かります。
逆に唯一解はこんな感じです。
F~Kで1~2個と、外周で1~2個残すと、ちょうどいい塩梅のようです。
実践を考える
ところで、ここでテラフォーミング・マーズの盤面をもう1度見てみましょう。海のマスは全部で12個ありますが、よく見ると、多くの海マスには何らかのアイコンが付いています。
これはそれぞれ資源やカードが手に入ることを意味しており、
例えばDマスに海を置くと、ボーナスとしてカードが2枚手に入ります。
どのボーナスが有用なのかは盤面によって異なりますが、少なくとも、Dマス(カード2枚)と、Lマス(チタンというこの中では一番価値の高い資源2つ)の2つは特に価値が高く、大体は序盤で埋まります。
また、E~Kマスのボーナスはいずれも植物という資源ですが、当然ながら1つよりも2つのマスの方が価値が高いマスになります。
もちろん、展開によって異なるのですが、素直に考えると、何もないCマス、または植物1つのI~Kマスが残ると考えるのが素直でしょう。
さて、そんな条件を満たす唯一解盤面はあるのでしょうか。
なんと、1つだけありました。それが、こちらの盤面です。
ちなみに、CIJK以外の8マスを埋めるとその時点で唯一解だったため、
他の3パターンは解なしです。
ということで、今回は文句なしでこちらの盤面が優勝です。
読者の皆さまも、もしテラフォーミング・マーズを遊ぶことがありましたら、海の配置はこの盤面を目指してみましょう。これで無事に火星に唯一解ハニーアイランドを生み出しながら、火星を開拓することが出来ます。
終わりに
今回は一番基本のマップを使いましたが、実はテラフォーミング・マーズは拡張でいくつかのマップが追加されています(いずれも、海9マスの終了条件は変わりません。さらに追加されたマップがあと2つあります)。
これらのマップでも、とりあえず唯一解の盤面が存在することは確認できました。いずれのマップも、適度に海の位置が固まっていたりばらけたりしているので(火星全体の開拓にもかかわるので、海を極端に偏らせるとゲーム性が落ちてしまいます)、この記事を読んだ多くの読者の希望を叶えるべく、ハニーアイランドとしても遊べるようになっているようです。
ところで、今回はペンパアドベントカレンダーの記事として書いたため、テラフォーミング・マーズそのものの話ではなく、ハニーアイランドの記事として書きましたが、テラフォーミング・マーズはとても面白いゲームです。
この記事をここまで読んで下さった全世界のハニーアイランドファンの方には申し訳ありませんが、正直、ハニーアイランドよりもテラフォーミング・マーズの方がずっと面白いと思っています。
ルールは複雑で時間のかかるゲームではあるのですが、とっても面白いゲームなので、この記事を読んで下さった方で、テラフォーミング・マーズをはじめ、ボードゲームに興味を持って下さる方が増えると幸いです。
良かったら一緒に遊びましょう。
それでは!!